“親友”の恩納村とフロンターレが築くこれからの関係
最高の環境
そう言って笑った恩納村観光課の安富祖匠平さんの隣にいたフロンターレのスタッフは「でも不思議と暑さは感じないんですよ」と川崎市と恩納村の体感温度の違いの話で盛り上がっていた。
最近の沖縄は関東に比べて少々低い気温だが、80パーセントを越える湿度の高さは息苦しさを感じるだろう。それでも過ごしやすさを感じてしまうのは沖縄の綺麗な海、爽やかな潮風、人柄のあたたかさ、最高のロケーション──。挙げればキリがないほど “沖縄マジック”を感じる要素が恩納村にはたくさんある。
フロンターレは、そんな場所で2021年からオフシーズンのキャンプ地として拠点を置くようになった。ここでトレーニングをするメリットとは。それは監督、選手が口を揃える環境のよさだ。
「おいしい食事、快適なホテル、整備された完璧なピッチ、皆様のあたたかく見守ってくださる視線や声援が自分たちの力になりました」(長谷部茂利監督)
「暖かい気候でいい練習ができましたし、恩納村の方々にもあたたかく迎え入れてくれました。ピッチの芝生もトレーニングに励みやすい環境でしたし感謝しかないです」(脇坂泰斗)
友好協定「おんなフロンターレいちどぅしップ」
“いちどぅし”は沖縄の方言で“親友”を表す言葉。「私たちはフロンターレさんの地域や社会にいい影響をもたらし、一緒によりよい社会を作ろうとしている姿に共感しました。これから一緒に地域や社会にいい影響をもたらしていきたいと思っています」と安富祖さんが話すように、お互いの目標に向かって協力をし合いパートナーとして様々な活動を行っていく。
内容はホームゲームイベントでのコラボや川崎市で実施している「算数ドリル」や「GIGA端末教材」の提供やサッカー教室を通じた学びの支援など。そのなかで今回注目したいのは恩納村が日本で始めて取り組んでいる「サンゴの村宣言」への協力だ。
「サンゴの村宣言」とは恩納村の海洋資源であるサンゴが、昨今の気候変動の影響による白化や魚の生育に大きな被害が出ている現状から解決の一助となるべく、観光客へサンゴを大切にしてもらう啓蒙活動や、生育被害の要因である沖縄の赤土が雨などで畑からの流出を防ぐため根が深く張るイネ科植物「ベチバー」で食い止めるなどサンゴを守る活動をしている。
ベチバーは3ヶ月ぐらいで3メートルの高さになるまで成長するため定期的に伐採が必要になるが切り取った葉は敷き草やしめ縄の材料として再利用。住民・企業・学校が「植える・使う・守る」サイクルに参加できる環境が整えられている。
「フロンターレさんが協力をしていただいてくれることで恩納村がサンゴの村宣言をやってる、サンゴの保全活動をしていると県外の方にも知ってもらえる機会になっています。これからも、どんどん活動を広げていきたいですし、本当に感謝しかありません」
「互いに支え合い、長く続く関係を築く」(長浜村長)
吉田明宏社長は「いま世界的にサッカー界は環境問題に取り組んでいるなかで私たちはJリーグでトップランナーになっていきたい。そしてスポーツを通じて出会い、地域とつながり、そして”いちどぅし“として気候変動にも向き合う。そんな関係をこれからも大切に育んでいきたいと思います」と意気込み、恩納村村長の長浜善巳さんも太陽のような笑みで目を細めた。
「沖縄でもサッカーが盛り上がってます。そのなかでフロンターレさんが恩納村でキャンプをやっていただけているのは村民にとっての誇りです。本協定は地域社会や未来の子どもたちのために、互いに支え合い、長く続く関係を築くという強い想いのもとに結ばれるもの。これが村の未来にとっても、川崎フロンターレの皆さまにとっても、かけがえのない”いちどぅし”としての第一歩になることを心より願っております」
ともに環境問題に取り組み、ともにシーズンを戦っていく“いちどぅし”。これからも恩納村と一緒にクラブを育んでいく。
(取材:高澤真輝)
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