【ママさんバレーボール】白いボールを追いかけて⑪愛知編(前編)「真夏の祭典を彩ったリベンジの誓い」 ~ママさんバレーの祭典:第56回全国ママさんバレーボール大会、第30回全国ママさんバレーボールことぶき大会、第10回全国ママさんバレーボールおふく大会

チーム・協会

「全国ママさん大会」で優勝したのは経験豊かな一宮 【プロフォートサニー】

スポ少年時代のコーチと再会

 木曽川のほとりにある大アリーナに600人を超えるママさんバレーファミリーが集った。蝉しぐれがほのかな川風に乗る夏盛り。6つのコートに散った20代から70代選手の白いボールをめぐるしのぎ合いは、例年にも増して熱い。「ママさんバレーの祭典」(全国ママさんバレーボール連盟主催、朝日新聞社など後援)は、56回目を迎える伝統の「全国ママさんバレーボール大会(全国ママさん大会)」に加えて、60歳以上の「ことぶき大会」と70歳以上の「おふく大会」を、8月7日の開会式に続いて8日と9日の2日間で同時に開く初の試みだ。
 2日目の夕方、アリーナ中央の特設コートで歓喜の涙を流したのは、地元の人々の声援を背に戦った一宮(愛知3)だった。平均年齢が50歳に迫る経験豊かなメンバーで臨み、グループ戦の初戦で滋賀2を相手に逆転すると、第2戦も岐阜3に競り勝ち、準決勝に進出。再び滋賀勢とのゲームになった準決勝は第1セットで突き放して京都の修学院との決勝に臨んだ。
 第1セットは中盤までペースを握られ、一時は4点差のリードを許したが、そこからセンターの速攻で挽回。17-19からの連続4ポイントで鮮やかに逆転した。攻撃のタクトをふるったのは最年少のセッター、麻生麻友さん②(34)。「中央が空くのがわかってこだわりました。自由にのびのびやらせてもらえる年上のお姉さんたちの支えのおかげです」と話した。コロナ禍前にチームに加入した麻生さんにセッターの任を託した櫻井ゆかり監督は「中央の攻めは息が合わないときもありますが、今日はマユが丁寧に上げてくれた」と褒めた。
 その麻生さんを特別な表情で見守っていたのが、櫻井監督と同学年の野田秀美さん④(59)だ。安定したレシーブからセッターにつなぐ役の野田さんは、麻生さんがバレーを始めたスポーツ少年団時代のコーチ。長じて教員になった麻生さんが、保護者の紹介で入ったチームに野田さんがいて再会した。「おとなしい印象しかない女の子が頼りになる選手に成長した。娘世代のマユたち若手が入って攻撃に厚みが出たところでコロナに見舞われたけど、ようやく結果が出せました」と野田さんは話す。

一宮は地元開催のプレッシャーを乗り越えて優勝 【プロフォートサニー】

緊張と主力の離脱が響く

 第2セットは持ち味のサーブで序盤からリズムをつかみ、最後は麻生さんが、大会を通じて効果的なポイントをレフトから決めた浅井久美さん⑨(40)につないでゲームを締めた。左手の骨折を押してチームを引っ張ったキャプテンの青井利枝子さん⑦(52)が「ケガ人も多かったけど、大会の最初から勝つ気持ちで臨んでいました」と話せば、地元開催のプレッシャーから解放された櫻井監督は「ホッとしました。緊張で背中がバキバキです」と笑った。
 一宮に準決勝であと一歩およばなかった河西クラブ(滋賀1)は、守山市にある伝統のあるチーム。全国大会は3回目の出場だったが、西本加月香監督は「ひさびさの全国で、緊張があったかも」と振り返った。初日の後に主力2人が負傷などで離脱したのが響いた。それでもグループ戦4セットで30失点台と拾うバレーを貫いた。「20代から70代までが一体となるのがうちの強み。歴史の長いチームですが、若い選手の子どものお守りをみんなでする姿は今も変わりません」。それは若い時分の西本監督が助けられた光景でもある。

準決勝で敗れた河西クはチーム一体で健闘した 【プロフォートサニー】

準優勝でも「優勝をあげたい」

 準優勝の修学院はブロック2位だった1年前の全国ママさん大会の悔しさを晴らそうと臨んだが、第1セット終盤の競り合いをものにできなかった。キャプテンの小畑裕美さん⑫(46)は「バレーはやはりサーブとサーブカットと思い知りました」と淡々と話した。昨年の決勝、セットカウント1-1で迎えた勝負どころで山形の若手選手の強サーブに崩されて連続ポイントで屈した。その苦い体験をチーム全員が共有していたが、向畑悦子監督は「第2セットになって相手サーブがスピードを増した」と脱帽。「昨年からベテラン3人を若手に入れ替えて、力は出せた。準優勝ですが、私からは優勝としてあげたい」と話した。グループ戦から150センチと小柄な辻あゆみさん⑩(39)を中心に堅守が光り、失点数の差で4強に勝ち残ったのは持ち味を出した結果だ。課題は次回以降に持ち越しだが、「具体的な目標は定めずに、次の相手に集中して戦って、成長した結果として頂点をめざしたい」と小畑さんは前を向いた。

堅守で勝ち上がり、準優勝した修学院 【プロフォートサニー】

大会中に再スタートを切る

 修学院がしぶとく抜け出たグループで敗退しながら、前回の悔しさを晴らしたのは、愛知2のKASUGAIだ。昨年冬の全国大会「愛・チャンピオンズリーグ」のブロック決勝では、攻守に隙がないKAYOクラブ(岐阜1)に、東海大会に続いて完敗。抜群のバネで強烈なアタックを連発した右エースの吉田若菜さん②(31)も相手の堅守に阻まれ、「強打だけでないテクニックを身につけないと」と唇を噛んだ。今回、抽選会でKAYOクと同組になり、「三度目の正直」のチャンスが到来。吉田さんの強打を中心にペースを渡さず、2-0の快勝でリベンジを遂げた。2試合合計の失点数で修学院におよばなかったとはいえ、吉田さんが大会屈指のアタッカーであったことには変わりない。「KAYOの同じ左利きの選手がお休みで個人的なリベンジは果たせなかったけど、プッシュやブロック裏を狙う工夫はできるようになったかな」。強打でチームをリズムに乗せるのも自らの役割とエースの自覚ものぞかせる。昨年、笑顔で臨んだ表彰式の後に通路で悔し涙を流したキャプテンの青山亜希子さん⑫(44)は「成績はおよびませんでしたが、やり切った感覚はあります」と振り返った。

KASUGAIは吉田さん②の強打とまとまりでリベンジ 【プロフォートサニー】

 昨年、2度の全国舞台を制して攻守に盤石な強さを誇ったKAYOクのキャプテン南谷利恵さん③(45)は「攻撃面が連携不足。勝ち続けることでモチベーションを保つ難しさがあった」と完敗を認めた。左の大型アタッカーで昨年からチームに加わった浜野奈那さん⑫(28)の成長はあったものの、全体に攻撃の精度を欠いた。昨年のレギュラーメンバーのうち、2人が産休中。ほどなく復帰の予定で、「このままでは終わらない」とキャプテンの顔には書いてあった。
 4強以外が2試合を戦う2日目の親善試合は、KASUGAI、KAYOクともに完勝で2連勝。大会中に再出発へのスタートを切った。
取材・文/伊東武彦
※年齢はすべて大会登録時

KAYOクは悔しさを胸に南谷さん③を中心に再スタート 【プロフォートサニー】

第56回全国ママさんバレーボール大会結果

決勝 愛知3(一宮)2(21-19、21-12)0京都(修学院)
準決勝 愛知3(一宮)2(21-11、21-18)0滋賀1(河西クラブ)
準決勝 京都(修学院)2(21-16、21-17)0兵庫2(網干クラブ)
=グループ戦とその他の大会の記録は下記公式サイトへ
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著者プロフィール

バレーボールを通して会員の心身の健全な発展と、その輪の広がりを願いあわせて、社会的価値のあるものとして生涯スポーツに導くことを目的としてガイドラインの設定と各種大会の運営を行っています。

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