中央競技団体、7割以上の団体で正規雇用者不足
人材の動向
・人材不足の現状に対して、採用意欲のある団体は約3割にのぼった。
・人材育成に関する課題は、「育成にかける時間の不足」が76.0%で最も多い。
・人材確保や労務環境の改善等は、「テレワークの導入」50.7%「在職者の労働条件の改善(賃金)」46.7%など。
【人手過不足の状況】
正規雇用者の過不足状況は、「やや過剰である」が2.4%、「適正である」が25.3%、「やや不足している」が33.7%、「不足している」が38.6%であった。契約/嘱託職員では「やや不足している」25.3%、「不足している」22.9%、派遣職員・アルバイトでは「やや不足している」24.1%、「不足している」20.5%となった。正規雇用者では不足が7割を超え、過剰と適正を大きく上回った。なお、いずれの雇用形態においても「過剰である」と回答した団体はなかった。
小売業、飲食業、宿泊業およびサービス業の業種を対象に実施した労働政策に関する調査では、正社員の不足が57.7%、適正が40.7%、過剰が1.6%を示し、中央競技団体の人手不足が民間事業者より厳しい状況にあるとみることもできる。
2023年度の正規雇用者および契約/嘱託職員の新卒採用もしくは中途採用の動向をみると、「募集を行い、予定した人数を採用できた」が20.5%、「募集を行ったが予定した人数の採用には至っていない、または引き続き募集している」が15.7%で、採用意欲のある団体は約3割にのぼった。
【人材育成に関する課題と職員のスキル等向上のための取り組み】
人材育成に取り組む上での課題は、「育成にかける時間の不足」が76.0%で最も高く、「育成のための資金がない」(62.7%)、「指導する人材の不足」(54.7%)、「育成のためのノウハウがない」(41.3%)、「育成しても離職してしまう」(8.0%)と続いている。時間、資金、人材と育成にかかるリソースが不足している実態がわかる。
人材確保や労務環境の改善等への対処方法をみると、「テレワークの導入」が50.7%と最も多く、職員等の勤務継続を確保する多様な働き方を選択できる制度を整え、業務の効率性や生産性の向上を図る取り組みが進んでいる。次いで、「在職者の労働条件の改善(賃金)」(46.7%)、「在職者の労働条件の改善(有給休暇の取得促進、所定労働時間・残業時間の削減、育児視線や復帰支援制度の充実等)」(36.0%)、「正規職員採用・正職員以外からの正職員への登用の増加」(25.3%)と続き、在職者の雇用に係る条件面での改善を図る様子がうかがえる。
【調査対象】(公財)日本スポーツ協会、(公財)日本オリンピック委員会、(特非)日本ワールドゲームズ協会に加盟、準加盟している中央競技団体95団体
【調査項目】①競技人口と登録制度 ②役職員数 ③経営状況 ④収支予算
【調査期間】2024年11月~12月
【調査協力】(公財)日本スポーツ協会、(公財)日本オリンピック委員会、(特非)日本ワールドゲームズ協会
【調査体制】三浦 一輝 愛知学院大学総合政策学部 准教授、吉田 智彦 笹川スポーツ財団 シニア政策ディレクター ※肩書は調査当時のもの
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