中央競技団体、ガバナンスコード遵守が進む

笹川スポーツ財団
チーム・協会
 笹川スポーツ財団は、2010年度から2年に1度実施している「中央競技団体現況調査」の 2024年度調査結果を発表いたしました。調査結果では、中央競技団体の役職員数、中長期的な経営戦略策定状況、人材の動向、収支状況などの現況をまとめています。

【写真:Adobe Stock】

役職員数・経営状況

・「女性役員が存在しない団体」の割合は3.6%と、2010年度調査44.3%から女性の役員登用が進む。
・中長期基本計画は、回答を得た83団体のうち「策定している」団体は60団体(72.3%)。2022年度調査の35団体(46.1%)から大幅に増加。


【役職員および評議員】
 団体の役職員および評議員は、83団体で4,498人となった。「理事(常勤)」「理事(非常勤)」「監事」(3役職を合わせて以下、役員とする)が1,737人、「評議員」が1,473人、役員および評議員を除いた職員等は1,288人であった。83団体のうち女性役員が存在しないのは3団体(3.6%)である。分析対象となる団体が異なるため単純な比較は難しいが、女性役員が存在しない団体の割合は2014年度19.1%、2016年度17.7%、2018年度11.1%、2020年度11.5%、2022年度3.9%と減少傾向にあり、女性理事の割合目標を示した「スポーツ団体ガバナンスコード(中央競技団体向け)」(スポーツ庁、2019)が一定の組織改編に寄与している状況がうかがえる。

【中長期基本計画の有無】
 団体の中長期な経営戦略の策定状況は、83団体のうち、「策定している」は60団体(72.3%)であった。「策定中」は15団体(18.1%)と9割の団体で策定が進んでいる。策定状況を過去の調査と比較すると、「策定している」団体は、2020年度調査27.8%、2022年度調査46.1%となり、着実に策定が進んでいる。ガバナンスコードの遵守事項への対応に向けた団体の努力や、スポーツ庁の中長期計画策定支援事業などが、団体運営の基盤整備につながっている。

収支状況

・支出における人件費比率は、「事業費人件費」7.8%、「管理費人件費」2.3%、合計10.1%であった。

 中央競技団体の予算書(2024年調査では71団体の予算書を入手)をもとに、収支予算の分析を行った。

 71団体の総収入合計は761億2,500万円、総支出合計は789億6,100万円であり、28億3,600万円の支出超過となった。2022年度調査は66億7,000万円、2020年度調査は26億2,700万円の支出超過であり、過去の調査と同様の傾向を示した。

 支出構成、また、人件費の割合をみる。71団体の総支出合計789億6,100万円のうち、「事業費」が約702億円(88.9%)を占めている。非常に高額な支出がある1団体を除外した70団体の総支出合計は572億2,600万円となり、「事業費」の占める割合は90.9%に上昇する。人件費全体の構成比(70団体)は、「事業費人件費」が7.8%、「管理費人件費」が2.3%で、合計は10.1%となった。支出が大部分、競技運営・大会開催・普及啓発等の直接事業費に充てられていることを示すと同時に、人件費は比較的小さな割合に抑えられているという特徴がわかる。

 人件費比率の水準は、おおむね16%程度である中小企業全体の人件費率より著しく低いものではないものの、特に人的資源の安定確保や雇用環境の整備が今後の重要課題となる。

中央競技団体の支出構成における人件費比率: 支出合計が最大値の団体を除く ※注)支出合計が最大値の団体を除く。「事業費」=「事業費( 人件費を除く)」+「事業費人件費」、「管理費」=「管理費( 人件費を除く)」+「管理費人件費」である。 【資料:笹川スポーツ財団「中央競技団体現況調査2024」】

■「中央競技団体現況調査2024」調査概要
【調査対象】(公財)日本スポーツ協会、(公財)日本オリンピック委員会、(特非)日本ワールドゲームズ協会に加盟、準加盟している中央競技団体95団体

【調査項目】①競技人口と登録制度 ②役職員数 ③経営状況 ④収支予算

【調査期間】2024年11月~12月

【調査協力】(公財)日本スポーツ協会、(公財)日本オリンピック委員会、(特非)日本ワールドゲームズ協会

【調査体制】三浦 一輝 愛知学院大学総合政策学部 准教授、吉田 智彦 笹川スポーツ財団 シニア政策ディレクター ※肩書は調査当時のもの
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著者プロフィール

笹川スポーツ財団は、「スポーツ・フォー・エブリワン」を推進するスポーツ専門のシンクタンクです。スポーツに関する研究調査、データの収集・分析・発信や、国・自治体のスポーツ政策に対する提言策定を行い、「誰でも・どこでも・いつまでも」スポーツに親しむことができる社会づくりを目指しています。

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