運動・スポーツ実施率、コロナ禍前の水準には戻らず。国民の3割が過去1年間にまったく運動・スポーツをしていない結果に。

笹川スポーツ財団
チーム・協会
笹川スポーツ財団では、1992年から全国の18歳以上を対象に、「スポーツライフに関する調査(スポーツライフ・データ)」を隔年で実施し、運動・スポーツ実施状況、スポーツ観戦、好きなスポーツ選手、生活習慣など、国内のスポーツライフの現状を明らかにしてきました。最新の2024年調査は、新型コロナウイルス感染症が5類移行後、初の実施で、年1回以上の運動・スポーツ実施率は2006年以来の6割台に減少しました。

運動・スポーツ実施率の年次推移 【写真:Adobe Stock】

運動・スポーツ実施率の年次推移

 年1回以上の運動・スポーツ実施率をみると、1992年調査では50.9%と半数をわずかに超える程度であったが、2000年には70.7%に上昇した。その後、2006年までは60~70%台の間を行き来し、2008年以降は70%台での横ばい状態が続いていた。2024年調査では69.8%であり、前回の2022年調査から3.1ポイント減少して2006年以来の6割台となった。

運動・スポーツ実施率の年次推移 【資料:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」2024】

運動・スポーツ実施レベルの年次推移

 運動・スポーツ実施レベルは、「実施頻度」「実施時間」「運動強度」をもとに、運動・スポーツ実施状況を量的・質的観点から捉える笹川スポーツ財団独自の指標である。

運動・スポーツ実施レベルの設定 【資料:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」2024】

 運動・スポーツ実施レベルの年次推移をみると、「レベル4」(アクティブ・スポーツ人口)は、1994年調査の7. 6%から漸次増加し、2012年では20. 0%に達した。2018年は20.7%、2020年の22. 1%で過去最高を示したが、2024年は18. 3%であった。運動強度・時間に関係なく、週2回以上運動・スポーツを行う「レベル2」は9.4%と、1994年調査以降6~10%の間を推移しており、コロナ禍前の2018年9.5%から横ばいである。過去1年間にまったく運動・スポーツを実施しなかった「レベル0」は、1994年は50. 1%と全体の半数を占めていたが、2022年は4分の1程度まで減少した。しかし2024年は30. 2%に増え2006年以来の3割超えとなった。

運動・スポーツ実施レベルの年次推移(全体) 【資料:笹川スポーツ財団「スポーツライフに関する調査」2024】


■研究担当者コメント:水野 陽介(笹川スポーツ財団 シニア政策オフィサー)

 今回の調査は2024年6~7月に実施された。新型コロナウイルス感染症5類移行後の過去1年間を振り返る質問を中心に、コロナ禍で実施された過去2回の調査を含む年次推移の把握が可能となった。
 
 「する」の主な指標である運動・スポーツ実施率(年1回以上)は7割を下回り、2022年からさらに減少した。コロナ禍以降、身近な場所で一人でも実施できるエクササイズ系種目(散歩、筋トレ等)の実施率は高く、実施場所も道路や自宅の利用率が高い。

 コロナ禍を経たスポーツライフの現状は、全体として大きな回復の兆しはみられていない。仕事や学校が通常の動きを取り戻したことによって家庭での生活を含め多くの人がより時間に追われ、「する・みる・ささえる」すべてにおいて関わる余裕がない可能性が高い。一方でコロナ禍を契機として、運動・スポーツに参画しやすい環境やサービスの拡充も進んでいる。それらを有効活用し、限られた時間の中で少しでも身体を動かしたり、観戦を楽しんだり、活動をサポートしたりすることで心身ともにより健やかな生活を送れる社会の実現に向けたターニングポイントとなり得る結果とみている。


■「スポーツライフ・データ2024」調査概要
【調査内容】運動・スポーツ実施状況、運動・スポーツ施設、スポーツクラブ・同好会・チーム、スポーツ観戦、スポーツボランティア、日常生活における身体活動、生活習慣・健康 他

【調査対象】全国の市区町村に居住する満18歳以上の男女3,000人(男性: 1,498人、女性1,502人)

【地点数】300地点(大都市90地点、人口10万人以上の市122地点、人口10万人未満の市64地点、町村24地点)

【調査時期】2024年6月7日~7月7日

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著者プロフィール

笹川スポーツ財団は、「スポーツ・フォー・エブリワン」を推進するスポーツ専門のシンクタンクです。スポーツに関する研究調査、データの収集・分析・発信や、国・自治体のスポーツ政策に対する提言策定を行い、「誰でも・どこでも・いつまでも」スポーツに親しむことができる社会づくりを目指しています。

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