筋トレ推計人口、2000年から倍増
本文:水野 陽介(笹川スポーツ財団 シニア政策オフィサー)
年1回以上の「筋力トレーニング」実施率の年次推移:全体・性別
性別にみると、総じて女性よりも男性のほうが高いものの2020年までは男女ともに上昇していた。特に女性は2000年の4.4%と比べて約3.5倍の16.2%まで増加した。2024年は男性の増加(前回比0.4ポイント増[18.9%→19.3%])に対して女性は減少(前回比0.5ポイント減[12.9%→12.4%])し、いずれも僅差ではあるものの男女で異なる傾向がみられた。2000年と2024年で比較すると全体で8.6ポイント増(7.3%→15.9%)となり、この四半世紀の間に性別を問わず広く浸透が進んだものとみられる。
年1回以上の「筋力トレーニング」実施率と推計実施人口(万人)の年次推移:全体・性別
年1回以上の「筋力トレーニング」実施率の年次推移:年代別
週1回以上の「筋力トレーニング」実施率の年次推移:全体・性別
女性の実施率は2014年以降の伸び幅が大きく、これまで最大で5.1ポイント差(2014年)あった男女差が2020年には2.0ポイントまで縮まった。しかし2020年以降は減少が続き、再びその差は開いている。年1回以上実施率の推移とグラフを重ねてみると、定期的な実施層においても新型コロナウイルス感染拡大に関する影響が一定程度あったことが推察される。
■研究担当者コメント:水野 陽介(笹川スポーツ財団 シニア政策オフィサー)
筋力トレーニング実施率は2000年以降、近年まで右肩上がりで増加してきた。2000年当時のフィットネス業界ではターゲット層の拡大に向けた業態開発が大手企業を中心に積極的に行われ始めていた。マイクロジムやパーソナルトレーナーといったオーダーメイド型のトレーニングにも注目が集まったが、現在ではそうしたコアユーザーだけでなく、実施頻度の低いライトユーザー向けの低価格サービスも展開され、より気軽に筋力トレーニングを実施できる環境が整いつつある。
しかし、昨今の実施率をみると2020年から2022年にかけて全体として減少傾向にある。20~30歳代の若年層、特に20歳代女性で顕著であり、コロナ禍に始めた人たちの多くが継続的な実施には至っていないとみられる。2024年も前回から大きな変化はないが、50歳代では男女ともに2020年から緩やかな減少が続いている。厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では成人および高齢者に対して週2~3日の筋力トレーニング実施を推奨すると同時に、その目的は運動機能の維持・増強から疾病予防まで幅広いことから、個人の特性や能力に合わせた「個別性の原則」の重要性を唱えている。しかし実際には、自身の運動能力や目的に見合った方法がわからず二の足を踏んでいる人や思うように継続できず途中でやめてしまう人も一定数いると推察される。
「スポーツライフ・データ2024」調査概要
【調査内容】運動・スポーツ実施状況、運動・スポーツ施設、スポーツクラブ・同好会・チーム、スポーツ観戦、スポーツボランティア、日常生活における身体活動、生活習慣・健康 他
【調査対象】全国の市区町村に居住する満18歳以上の男女3,000人(男性: 1,498人、女性1,502人)
【地点数】300地点(大都市90地点、人口10万人以上の市122地点、人口10万人未満の市64地点、町村24地点)
【調査時期】2024年6月7日~7月7日
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ