「昨年の優勝者のザックのことは覚えていても、準優勝が誰だったのか忘れてる人も多いと思う。だからこそくやしいし、今年こそはという気持ちは強い」1年越しのリベンジなるか?悲願の『G1』初制覇を狙う辻陽太選手に直撃インタビュー!
『G1』3年連続3回目の出場、昨年度の準優勝者“GENE BLAST”辻陽太選手に直撃インタビュー!
テキスト/鈴木佑
撮影/中原義史
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■一応、L・I・Jとしてケジメをつけてきたみたいなかたちにはなってますけど……、どうなんですかね?(笑)。
辻 いままでとそんなには変わらないですよ。内藤(哲也)さんとBUSHIさんがいないだけっていう感じで。もともとL・I・Jは各々が自由なユニットで、常に一緒に行動するとかではなかったですし。だからとくにさびしさはない……、って言ったらL・I・Jのファンだった人はさびしいかもしれないですけど。
――無所属としては6.29愛知でDRAGONGATEのシュン・スカイウォーカー選手と鷹木信悟選手を含めトリオを組んだり、7.6後楽園で若手の永井大貴選手が共闘を申し出たりと、新たな動きも見られました。
辻 徐々に無所属らしいことが始まってきているとは思います。ただ、もっとほかのユニットと絡んだりしてみてもおもしろいなっていうのはありますね。たとえば1試合だけちょっと一緒に組むとか。
辻 同年代もそうですし、上の選手でも。それこそ棚橋(弘至)さんとか。べつにファイナルロードとか関係なく、個人的に思い入れのある人なんで。
――あと、6月後半には無所属のメンバーでメキシコCMLLに遠征に行き、最後の“デ・ハポン”締めを行いました。
辻 一応、L・I・Jとしてケジメをつけてきたみたいなかたちにはなってますけど……、どうなんですかね?(笑)。
――メキシコはL・I・Jのルーツであるロス・インゴベルナブレス生誕の地ですし。
辻 まあ、ティタンが最後の“デ・ハポン”締めをやって、会場のファンも一緒に合唱しましたけど、すでに本家のロス・インゴベルナブレス自体がないですし、どこまでL・I・Jに思い入れがあるのかわからなかったというか。でも、とりあえず俺たちの中でL・I・Jを完結させたという感じですかね。
辻 すごくうれしいことだと思ってます。知名度と実績のある方が新日本プロレスに入ってくれるということは、こちらにとってもいい刺激になるし、世間に対しても新日本プロレスというものをさらに広めることができるので感謝してます。
――実際にウルフ選手と面識は?
辻 いや、まだ会えてないんですよ。(6.29)愛知に来てたみたいですけど、選手控室にはデビューしてからじゃないと入れないこともあって、会うタイミングがなかったというか……自分は“メキシカンタイム”で行動するんで基本的に会場入りが遅いのもあって(笑)。
――ウルフ選手は一流アスリートですし、やはり素材として気になりますか?
辻 そうですね。彼は柔道で強さを極めてるわけじゃないですか。会見では「生きざまを見せるのがプロレス、自分を表現できるのがプロレス」って言ってたと思うんですけど、柔道で世界一の男が、この新日本プロレスのリングで何をしたいのか気になりますね。
■俺はJust 5 GuysのSANADAさんよりも、いまは活き活きしていてレスラーとしておもしろいなと思います。サラリーマンみたいな風貌だったSANADAさんよりは、いまのほうが魅力を感じますね。
辻 もちろん、どの選手も出るからには優勝を狙ってるでしょうし、それだけ『G1』制覇は名誉ある称号であり、そのあと1.4東京ドームまでの道が開けるものなので。新しい時代の新日本プロレスを引っ張っていく人間としても、ここを獲るのは不可欠だと思ってます。
――去年は新世代の選手の中では初めて、優勝決定戦に進出しましたね。
辻 でも1年経ってみて、ファンの人は優勝者のザック(・セイバーJr.)のことは覚えていても、準優勝が誰だったのか忘れてる人も多いと思うんですよ。だからこそくやしいですし、今年こそはという気持ちは強いです。
――今年の辻選手は1.4東京ドームでデビッド・フィンレー選手を破りIWGP GLOBALヘビー級王座を初戴冠し、6.15大阪城でゲイブ・キッド選手に敗れるまで、4度の防衛に成功しました。
辻 やっぱりIWGPの名のつくベルトを初めて獲ったのは、チャンピオンとしての誇りや責任を感じましたし、自分にとっては一つの大きなことでした。ただ、いま気になってるのが、IWGPの価値がブレてるってことなんですよね。とくにIWGP世界ヘビーなんですけど。
辻 はい。STRONG女子王座戦やノンタイトルマッチにメインから押しのけられてますから。これは(6.29)愛知のバックステージコメントでも言いましたけど、ダブルメインイベントっていう表現は、もうやめたほうがいいと思うんですよ。“ダブルメインイベントⅠ”を闘う選手に失礼だと思うので。
――ダブルメインの意味合い的には、通常のセミファイナルよりもメイン級の価値があるということかと。
辻 そうなんでしょうけど、逆に“ダブルメインイベントⅡ”より下だというのが強調されると思うんですよ。だったら最初からそう謳う必要はないんじゃないかって。
――少し前は3大王座戦で“トリプルメイン”というのもありました。
辻 もはやメインでもセミでもなんでもないじゃないですか(笑)。まあ、自分は
残念ながらIWGP GLOBALのベルトを落としましたけど、『G1』で結果を残せば、また自ずと次の展開が待ってるはずなので。
――今回、辻選手はAブロックに出場されますが、気になる選手は?
辻 けっこういますね。とくに上村(優也)、EVIL、タイチ、大岩(陵平)あたりが気になります。それ以外の選手も楽しみですし。
辻 じつはシングルで1回も勝ったことがないんですよ。あれからSANADAさんはH.O.Tに入ってスタイルは変わりましたけど、彼が実力者であることは間違いないですし、やっぱり2年前の雪辱を果たさないといけない相手ですね。あとは俺も負けじとギター弾いてやろうかなと(笑)。
――あ、ギターが弾ける辻選手からすると、SANADA選手のギターの扱いはよろしくないですか?(笑)。
辻 いや、ああいう感じはべつに嫌いじゃないですよ(笑)。自分が負けといてこういうのはなんですけど、俺はJust 5 GuysのSANADAさんよりも、いまは活き活きしていてレスラーとしておもしろいなと思います。サラリーマンみたいな風貌だったSANADAさんよりは、いまのほうが魅力を感じますね。
――続いて7.20札幌はEVIL戦となります。今年の『NEW JAPAN CUP』1回戦で辻選手の『NJC』2連覇を阻んだ相手となりますが、そのあとの4.5両国のIWGP GLOBAL王座戦で雪辱勝利を飾りました。
――EVIL選手率いるH.O.Tは、BC WAR DOGSにBULLET CLUBを追われたにも関わらず、戦力を補強し勢いを増しているというか。
辻 そもそも追い出されたという感覚はないんでしょうね。べつにもうBULLET CLUBである必要がなかったというか、EVILも「こっちから願い下げだ!」みたいなこと言ってましたけど、そのとおりだと思います。 メンバーが増えているのも、あのH.O.Tの自由な感じが、L・I・Jもそうでしたけど、レスラーからすると魅力に映るんだと思います。本隊みたいに何かを背負って縛られているような感じがしないんじゃないですかね。
■上村には今回、逆に「辻を引っ張り上げてやる」っていう気迫で向かってきてほしいですね。
辻 これは会社が仕組んでますね(笑)。しかも去年と同じくメインなんですね。上村には今年、IWGP GLOBALの防衛戦(5.4福岡)で勝ちましたけど、今度はどんな闘いになるのか。EVILもそうですけど、自分が直近で勝ってる相手に、もう一度勝ちにいくのは難しいことではありますから。
――上村選手は辻選手との抗争で、注目度と期待を高めてきた印象があります。
辻 正直、ここまでの上村は俺に引っ張り上げられてきたと思ってます。だから彼には今回、逆に「辻を引っ張り上げてやる」っていう気迫で向かってきてほしいですね。
――次の7.25大田は、大岩選手との初シングルとなります。大岩選手は今回、小島聡選手との出場者決定戦(7.4東京武道館)を勝ち抜き、初エントリーをはたします。
辻 俺の中で大岩には、もっとがんばってほしいというのがあって。彼はあれだけ身体もデカくてポテンシャルもあるのに、自分というものをリング上で解き放っていない気がするんですよね。試合を観ていると「それでいいの?」って言いたくなるというか。
辻 彼はヘンにNOAHの影響を受けすぎているというか、自分で“新日本生まれ、NOAH育ち”って掲げてますけど、「そんなにNOAH好きなの?」っていうのはありますね。いや、好きなのはいいんですけど、彼はあくまで新日本プロレスのレスラーなんで。なんだろうな、本当の自分をまだ見つけられてないのかなと。
――本当の自分、ですか。
辻 ええ。あと一つ何かが変われば、彼はもっと突き抜ける選手なんじゃないかなと思います。この前の(7.6)後楽園で永井にも言いましたけど、結局リングの上って“やったもん勝ち”なんですよ。周りに何を言われようが、自分のやりたいことをやって、それがお客さんに受け入れられるか受け入れられないか、そこだけなんで。
――大岩選手が昨年9月に新日本に凱旋して以降、新世代と言われる日本人選手とシングルで当たるのはこの試合が初なので、そこも注目点というか。
辻 そうなんですね。大岩には俺との試合が何かのきっかけになればなって思います。
――そして7.27愛知は現NEVER無差別級王者のボルチン・オレッグ選手との一戦です。昨年の『G1』公式戦(7.31山口)では、辻選手が一瞬のスキをついたジーンブラスターで辛勝を収めています。
――そのくらい警戒していると?
辻 去年も最初は力で対抗しようとしたんですけど、向こうのほうが格段に上だった(苦笑)。どう考えても力じゃ太刀打ちできないので、頭を使って崩すしかないでしょうね。
――続く8.1高松は、現IWGPタッグ王者のタイチ選手と対決します。タイチ選手は6.23後楽園の『G1』進出者決定戦でカラム・ニューマン選手に惜敗。しかし、後藤洋央紀選手の負傷欠場を受け、7.6後楽園で急遽行われた出場者決定ガントレットマッチを制し、2年ぶりのエントリーへとこぎ着けました。
――タイチ選手とのシングル対決は、辻選手が若手時代の2021年の6.15後楽園以来となります。
辻 タイチさんとシングルでやったのはあれだけですね。4年前は歯が立たなかったですけど、それから俺も海外で修行し、凱旋してからもそれなりに実績も残してきたので。
――今年は後藤洋央紀選手のIWGP世界ヘビー戴冠が、タイチ選手などベテラン選手に大きな刺激を与えたというか。
辻 それはいいことだと思いますよ。このままサクッといなくなられてもおもしろくないですし、いろんなキャリアの選手がしのぎを削るのが新日本プロレスだと思うので。
■棚橋さんと今回『G1』で当たって、「もう辻とやりたくないな」って思い知らせた上で、あらためてシングルの舞台が作れればと思います。
辻 棚橋さん、引退するまでに所属の全員とシングルでやるって言ってたじゃないですか? 個人的にこの『G1』の公式戦だけで、自分とのシングルを消化させるというか、終わらせてほしくはないんですよね。今回はあくまで『G1』公式戦であり、引退までのどこかで俺は必ずシングルマッチで闘う機会を作りたいです。
――それだけ思いが強いと。では棚橋選手の『G1』出場が発表されたときは、率直にどのような気持ちでしたか?
辻 そこは去年出られなかった選手が、いきなり本戦から出場するのはおかしいとは思いました。社長と言えども、そのへんの筋は通したほうがいいのかなと。わかるんですけどね、引退前の最後の『G1』だからっていうのも。まあ、棚橋さんと今回『G1』で当たって、「もう辻とやりたくないな」って思い知らせた上で、あらためてシングルの舞台が作れればと思います。
辻 あのときはやっぱり、棚橋さんの凄さを感じました。何が凄いかって、言葉では表せないんですよね、身体で感じ取ったもので。いま、自分がIWGPのベルトを獲るような実力をつけた上で、棚橋さんと闘って何を感じるのか、すごく楽しみです。
――続いて8.7後楽園ではメインでフィンレー選手と対戦します。トップ外国人の一角であるフィンレー選手に辻選手は、昨年の『G1』で公式戦(7.21大阪)と準決勝(8.17両国)と勝利。さらに今年の1.4東京ドームのIWGP GLOBAL王座戦も制し、目下3連勝中です。
辻 フィンレーに一番強い男です(笑)。たぶん相性がいいんでしょうね。
――常に紙一重の勝負というか、好敵手同士という印象はあります。
辻 フィンレーはテクニックもスピードもあって、何よりスタミナがすごい。でもそれ以上に俺、フィンレーのプロレスは品があってすごく好きなんですよ。
辻 でも、たまにシレイリやテーブルを使うくらいで、俺にはそんなにラフのイメージはないですね。去年の(5.3)福岡で負けたときにシレイリを使われたくらいで、そのあとに3試合やった中ではなかったので。そういうフィンレーとだったらいい試合ができるし、勝つ自信もあります。
――ただフィンレー選手としては4連敗するわけにはいかないというか。
辻 当然そうでしょうし、どういう闘いを仕掛けてくるのか警戒は必要ですね。
辻 最後がカラムなんですね。まず、この試合をやるGメッセ群馬は展示場タイプの会場ですけど、またちゃんと照明業者を呼んでなかったら、俺、怒りますよ。これは必ず書いておいてください。
――場内の演出に関して苦言を呈したいと?
辻 そうです。去年、同じ展示場タイプの(8.15)幕張メッセで、天井の照明だけで開催したんですよ。『G1』は注目を集める大会ですし、会社としてもやる気を見せてほしいというのを、声を大にして言いたいです。……で、カラムのことでしたっけ?
――はい。カラム選手は今年、IWGPタッグ戴冠や5.4福岡でIWGP世界ヘビー初挑戦を果たすなど、成長著しいというか。
辻 率直にすごいと思います。彼が日本に初めて来る前、イギリスでがんばってた頃から知ってるんですけど、当時からすごいヤツだなと思ってました。シングルでやったことはないですけど、タッグで何回か当たっていて。
辻 だいぶデカくなりましたよ、当時は70kgちょっとしかなかったんじゃないですかね。いまは立派なヘビー級ですけど、スピードはそのままなのが驚異的ですね。ただ彼のウィークポイントとして、痛みに弱いんですよ。それはイギリス時代から感じてたんですけど。
――ハードヒットな攻撃が苦手じゃないかと。
辻 なのでチョップ合戦に持ち込むとか、“痛みの伝わるプロレス”をしたいなと思います(笑)。
■やっぱりいまのザックは強いだろうなとは思いますね。俺としても『G1』の借りは『G1』で返したいというのもあります。
辻 そう、一番ハードスケジュールだったんですよ。でも、個人的には単発で試合をやるよりも、こういうシングルの連戦のほうがコンディションはいいんですよね。自然と集中できるというか、本能が目覚めてくるというか。追い込まれれば追い込まれるほど、研ぎ澄まされるような感覚です。
――では、対抗のBブロックで気になる選手は?
辻 そうですね……、海野(翔太)、(KONOSUKE)TAKESHITA、鷹木(信悟)さんですかね。
――今年、IWGP GLOBALを懸けて2.11大阪府立、そして6.15大阪城と対戦したゲイブ・キッド選手については?
――では、気になる選手の中で現在の海野選手のことは、どのようにご覧になっていますか?
辻 なんか、“Second Chapter”、終わっちゃったなって感じですね。というか、結局Second Chapterって何がしたかったのかなと。丸坊主にして、自分の中で覚悟を決めたのか、『NEW JAPAN CUP』のときは「コイツ、変わってきたな」って思ったんですよ。でも、最近はエル・ファンタズモのサングラスをかけて入場してきたり、髪も伸ばしはじめたり、戻っちゃったなって。
――そこが疑問だと?
――親父問題というと、レッドシューズ海野レフェリーについてですか?
辻 そうです、俺は言い続けますけど。前提として俺は海野レフェリーのレフェリングは好きです。でも、世の中に息子の試合を裁くプロスポーツって、どこにあるんだろうなって思うので。べつに息子に忖度あるレフェリングをしてるとは思わないですけど、俺はやっちゃいけないことじゃないのかなって。
――辻選手の中で違和感は拭えないと。
辻 これに関しては会社も言うべきだし、それよりも本人たちが自覚しケジメをつけなきゃいけないところだと思うんですよ。少なくとも自分だったらそうしますね。
辻 正直、闘いたくない相手No.1です(苦笑)。体力的にも精神的にも一番削られる相手なので。彼って、俺の“上位互換”だと思うんですよ。運動神経は俺も負けてないと思いますけど、向こうは体格が大きくてキャリアもあって。だからこそ、違うところで勝負しないといけないというか。
――TAKESHITA選手は今年からDDT、AEWに続き新日本所属にもなりました。無所属から見て、3団体所属というのはいかがですか?(笑)。
辻 俺の無所属は団体じゃなくユニットなんで意味合いは違いますし、いっぱい所属してることについてべつに嫉妬はしてないですけどね(笑)。でも、彼はビッグマッチしか来ないので、あんまり新日本所属っていう感じはしないです。まあ、彼とはまた大きな舞台で当たりたいですね。それこそ『G1』の優勝決定戦とかタイトルマッチとか、気軽な気持ちでは闘えない選手の一人です。
――もう一人の気になる選手であり、行動を共にしている鷹木選手とは辻選手の凱旋以降、まだシングル対決は実現していません。
――無所属独身対決でもあると(笑)。『G1』連覇を狙うザック選手についてはいかがでしょうか?
――ザック選手は現在、IWGP世界ヘビーのベルトも保持しています。
辻 やっぱり新日本のレスラーなら一番目指すべきところは、あのベルトじゃないとダメだと思うんですよ。よく、「ベルトの価値を上げる」とか聞きますけど、俺としてはベルトの価値を取り戻したいですね。そのためにも、今年こそ俺が『G1』で必ず優勝します。(了)
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