「熱を持て」小野秀二HCが語る、指導者育成への情熱とバスケットボール界の未来
現在、小野氏は同大学の指導に加え、日本バスケットボール界全体の底上げを目的に、指導者向けクリニックであるこのキャンプを主宰。トップレベルの戦術・指導哲学を現場に還元し続けている。
本稿では、SHU’s BASKETBALL CAMP開催直後の小野氏に、キャンプに込めた思いや、今後の日本バスケットボール界への展望について語ってもらった。
ナイキキャンプの衝撃が、日本の指導者を変えた——小野秀二の挑戦
現在に至るまで、B.LEAGUEのバンビシャス奈良をはじめとしたプロリーグ、大学、高校、中学とあらゆるカテゴリーのチームを率いてきた小野氏は、2003年に『SHU’s BASKETBALL CAMP』を立ち上げた。その背景には、自身がアメリカのキャンプで受けた刺激と、日本の指導現場をもっと元気にしたいという熱い想いがあった。
「ナイキ主催のキャンプでは、名門大学のコーチが自ら現場に立ち、参加者との双方向的なセッションが展開されていた。それを日本にも持ち込みたかった」
この言葉どおり、小野氏が目指したのは、単なる座学ではない、指導者と現場をつなぐ“実演型”のキャンプだ。
「熱こそがすべて」情熱の伝播こそ、指導者の原点
小野氏は何度もそう繰り返した。勝利だけを追うのではなく、「この子たちを上手にしたい」という情熱が、指導者としての原動力だと語る。
「その熱があるからこそ、自ら学び、変化に対応できる。それが指導者の使命でもある」と力強く語った。
デモンストレーターを起点に学び合う、実践的アプローチ
講師の“声がけ”や“プレーの意図の汲み取り”など、普段なかなか可視化されない指導技術を、受講者が目の前で体感できる。
「たとえ同じ練習メニューでも、指導者によって伝え方もアプローチも異なる。そこにこそ“指導の質”が宿る」と小野氏は語る。
成長とつながりを生む“横の連携”
全国から集まった指導者たちの間には、自然と横のつながりが生まれ、実際に遠征時などで情報交換や支援が行われるケースも増えているという。
「キャンパー同士の関係性が強まり、全国の指導のレベルを底上げする力になっている。これこそが、継続してきた理由の一つ」と話す。
「指導者は“ともに学ぶ者”であるべき」
「指導者は、選手の上に立つ存在ではない。指導者は選手がいないと指導ができない。上下関係ではなく、リスペクトして選手とともに学び、共に成長していく存在であるべきだ」
その言葉の背景には、全国の現場で目の当たりにした“変わりゆく育成環境”への理解がある。現代では、選手の家庭環境や教育的背景までを含めた指導が求められているという。
「“できない”のではなく、“教わっていない”という可能性もある。だからこそ、選手の背景まで理解し、指導者自身もアップデートし続けなければならない」と語った。
日本代表強化への願いと、次世代への想い
「やはり代表チームが強くなってこそ、日本のバスケットボールは盛り上がる。自分たち指導者ができるのは、その土台を築くこと。日の丸を背負う選手を一人でも多く育てたい」
子どもたちが「バスケットボール選手になりたい」と夢を描ける未来のために。
その情熱が、SHU’s BASKETBALL CAMPという“舞台”を動かし続けている。
【プロフィール】
<氏名>
小野 秀二(おの しゅうじ)
<生年月日>
1958年1月31日
<出身地>
秋田県
<コーチ歴>
1988-01 愛知学泉大学男子バスケットボール部 監督
2000-05 トヨタ自動車アルバルク ヘッドコーチ
2005-13 日立サンロッカーズ ヘッドコーチ
2014-17 アースフレンズ東京Z ヘッドコーチ
2018-20 秋田県立能代工業高校(現:能代科学技術高校) ヘッドコーチ
2021-23 大阪エヴェッサアカデミー校長(ゼネラルアスレティックマネージャー)兼U15ヘッドコーチ
2023 バンビシャス奈良(B2) アドバイザリーコーチ
2023-25 バンビシャス奈良(B2) ヘッドコーチ
2023-24 びわこ成蹊スポーツ大学 男子バスケットボール部 総監督
2025- びわこ成蹊スポーツ大学 男子バスケットボール部 ヘッドコーチ
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