【仙台大学】「東京2025デフリンピック」陸上日本代表内定記念特集
佐々木琢磨選手が誰よりも速く走り続ける理由
金メダリストとなり3年が経つ。「世界一になる夢を叶えたことで、次の目標が見えなくなった時期がありました」と語る。その状況を打開できたのは、新入部員の存在だったという。大学時代ろう学校を訪問し指導した陸上選手が、佐々木選手に憧れて本学に入学してきたのだ。「それが長谷川翔大選手。いろんな壁を乗り越えながら陸上と向き合ってきたのだなぁと、かつての自分を見ているようでした」。それ以降、「皆頑張っている。自分も頑張る姿をしっかり見せたいと思うようになりました」。その後部員が増え、現在本学陸上競技部にはデフ陸上選手は6人在籍しており、名取英二部長の指導のもと、ともに練習を行う。「同じチームとなったことで、全体のレベルアップを実感しています。皆の表情も引き締まり、今は勝負師の顔に変わってきています」。そうした後輩たちの真摯な姿から刺激を受けた佐々木選手、「頑張る人を応援するために走る」という使命感が新たなモチベーションとなった。
2022年に結婚、昨年10月に男の子を授かった。「いつもニコニコ笑ってくれるので、練習を終えて家に帰るのが楽しみです」。パパとなったことで、世界新を出したいという気持ちがより一層強くなったという。「息子は、耳が聞こえるので、親の私たちとは価値観が異なるかもしれません。でも、そうした違いにとらわれず、さまざまなものをつなぐ存在になってほしいと願っています」。育児書も読んで勉強したという。「10歳までの出来事がその後の人生に影響すると書いてありました。なので10歳までは家族の時間を大切に過ごしたい。その先は、息子の人生だから好きなことができるよう応援したい」とパパの顔をのぞかせる。
子どもの頃はプロ野球選手が夢だったという。しかし、友だちと会話ができず、次第に寂しさや心細さを感じるようになった。「皆が盛り上がっている時にその輪に入れない。野球は好きでも離れるしかないと思いました」。聞こえない苦しみ、ネガティブな思考、立ちはだかる壁。それを変えてくれたのが陸上だった。「デフ陸上ならできることはあるはずと思いました」。さらにデフリンピックを知る。「デフリンピックはろう者のプライドを賭けた夢の舞台。自分の持てる力をすべて出し切る場だからこそ、トップに立ちたいと思いました」。そんな佐々木選手は東京デフリンピックの目標について「2連覇、世界新ですが、もう一つの目標は多くの人に見てもらうこと。ろうの僕が走る姿を見て、耳が聞こえなくても幸せになる道はあると知ってもらいたい。東京大会で僕の存在を知って、検索して仙台大学に見学に来る、楽しそうと思って大学に入る、そうなったら嬉しいですね」。多くの人の夢と希望を背負って、佐々木選手は東京デフリンピックに向けて走り出している。
青森県五戸町出身。盛岡聴覚支援学校高等部、仙台大学卒。 現在仙台大学職員。妻と長男の3人暮らし。
【主な戦績】
2024世界陸上競技選手権大会 4×100mR 優勝 世界新
2022デフリンピック ブラジル大会 100m 優勝
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世界王者「琢磨先輩」の背中を追って、夢舞台「デフリンピック」での活躍をめざす!
走る喜びに支えられ本学に集ったデフ陸上選手たち。その視線の先には金メダリスト佐々木琢磨先輩の姿がある。「東京2025デフリンピック」に向け、練習により一層熱が入る選手たちを紹介する。
選手への質問
❶陸上を始めた時期ときっかけ ❷本学を選んだ理由 ❸デフリンピックへの意気込み ❹好きなこと・好きな食べ物・好きな言葉 ❺目標・夢 ❻陸上好きなキミへのメッセージ
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健康福祉学科4年 宮城県立聴覚支援学校高等部出身
「琢磨さんが教えてくれた夢の大切さ 全員でゴールめざして駆け抜けたい!」
全国聾学校体育大会100m優勝
2024年全国障害者スポーツ大会100m優勝ほか
❶小4の時リレーで負けた悔しさから速くなりたくて陸上を始めました。中3の時、琢磨さんに出会い、「デフリンピック」で世界のトップアスリートが全力で戦う姿を想像し、「自分もその場に立ちたい」という夢を持ち続けていました。
❷一つ目は、憧れの琢磨さんと練習したり、指導を受けられること。二つ目は「体育の先生になりたい」という目標を実現できる環境。デフリンピックへの挑戦の夢と体育教員になる目標を、同時に追いかけられる環境が仙台大にあると感じたので。
❸今回出場するリレーはチーム全員の力と信頼が試される種目。バトンは仲間の想い、時間、努力、「命を繋ぐ」もの。しっかり受け取り、責任を持って次へ繋ぐ。最後までチーム全員でゴールまで駆け抜けるのが目標。
❹牧場巡り・身体を動かすこと/ カレー(誕生日がカレーの日)/ 「継続は力なり」
❺デフリンピックでメダル獲得・ろう学校の体育教員
❻日本代表に内定できたのは、経験豊富な指導者や同じ目標を持つ仲間との出会いがあったからこそ。本気で夢を追いかけたい人にとって、仙台大は想いをカタチにできる場所です。
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体育学科3年 東京都立中央ろう学校出身
「大きかった琢磨さんの存在 スキーと陸上でメダルを目指したい」
第1回世界デフユース400m2位・800m8位
2025デフリンピック日本代表選考会400mハードル2位・400m4位ほか
❶スキーのシーズンオフにトレーニングとして高校の部活に参加したこと。
❷「情報保障」※がしっかりしていて、大好きな陸上に全力で打ち込める環境があったこと。世界一の琢磨さんの存在。「私も世界一になれるかも」と思わせてくれたから。
❸デフリンピックは特別な舞台であり、出場するだけでも大きな価値があり、メダルはさらに上です。夏季と冬季両方制覇する選手は少ないため、私はスキーと陸上でメダルを目指して全力で頑張ります。
❹身体を動かすこと/寿司、ピザ、牛タン/「It’s a piece of cake(めちゃ、カンタン!)」
❺デフリンピックで世界一になること。
❻「世界を目指したい」「自分の限界に挑戦したい」と思う人には、仙台大がその一歩を後押ししてくれるはず!
※「情報保障」とは、障がいのある人が情報を入手する際に必要なサポートを提供し、情報にアクセスできる状態を確保することを指す。
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体育学科3年 宮城県立聴覚支援学校高等部出身
「質の高い練習と環境が本学の魅力 チーム全員の想いを背負って全力で挑む」
全国聾学校陸上競技大会200m優勝
2024日本デフ陸上競技選手権大会400mハードル優勝ほか
❶中学の時、好きなバスケが上達するよう身体能力を高めるために陸上を始めました。
❷スポーツトレーナーの資格を取るためと競技力を高め、戦績を残すために良い環境だと思ったので。全国大会を目指し練習を積み重ねましたが、ケガが多いこともあり目標達成できず部活を引退しました。琢磨さんや長谷川翔大さんの活躍を知り、「今度こそ結果を残したい!」と思い、入学しました。
❸今回選ばれなかった選手の悔しい気持ちも背負って、試合に臨みたい。
❹体を動かすこと /ネギトロ丼/「継続は力なり」
❺400Hとマイルリレーでメダルを獲得すること。
❻本学関係者から5名もの選手が出場します。一つのチームからこれだけの人数が世界大会に出場することはめったになく、それだけ本学の練習の質がよいという証だと思います。東京開催なので、多くの方に観戦してもらえたら嬉しいです。
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体育学科1年 茨城・鹿島学園高校出身
「日本代表に選ばれた誇りを胸に金メダルをとって、恩返ししたい!」
2024年日本デフ陸上競技100m・200m優勝
2025デフリンピック日本代表選手選考会100m・200m優勝
❶走ることが大好きで、小3の時に陸上クラブで体験したことがきっかけです。
❷強化合宿で琢磨さんと出会い、初めて仙台大のことを知りました。陸上競技を行う上で重要な充実した環境が整っていること、デフ選手の皆さんと一緒に練習できる環境に魅力を感じました。
❸世界の舞台で戦える機会を与えて頂いたことを誇りに思います。日本代表としての自覚と責任を持ち4冠目標に日々練習に取り組んでいきます。
❹カメラ。特に陸上選手を撮ること。/オムライス。大会が終わったらオムライスめぐりしたい。/「気合と根性」。大きな大会前は常に頭にいれて練習します。
❺金メダルを獲り、支えてくれた方々に恩返ししたい。将来は陸上クラブチームで子どもたちに陸上の楽しさを教えたい。
❻デフ陸上に必要なものが全てあり、大学全体が聴覚障害に理解があるので練習しやすい環境です。授業でもサポートがあり安心して勉強できますよ。
デフリンピックとは、「デフ(Deaf)+オリンピック」の略で「きこえない・きこえにくい人のためのオリンピック」のこと。国際ろう者スポーツ委員会(ICSD)の主催で4年毎に開催される国際スポーツ大会は、今年100周年を迎え日本初の「東京2025デフリンピック」が11月に開催される。
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