【週刊グランドスラム311】アフリカで野球指導に励む元・きらやか銀行の伏見有史さん
青森県出身の伏見さんは小学1年生から野球を始め、木造高、富士大で内野手として活躍。2018年にきらやか銀行へ入行すると、行内だけでなく、取引先などからも応援を受け、東北を沸かせる活躍を目指して練習に励んだ。だが、2022年9月に野球部の活動休止が決定。伏見さんは「それまでの野球人生の中で一番の衝撃を受けた」が、入行からの5年間を支えてくれた恩返しをしていきたいという思いから、銀行員として働き続ける決意をした。
それでも、いざ野球のない日々を送ると、寂しさを感じるようになった。きらやか銀行の仲間が中心となって発足したクラブチーム、B-net/yamagataでプレーしたり、少年野球指導に取り組んだりしたが、それでも何か物足りない。そんな中、海外協力隊の野球隊員OBと出会った。活動内容や経験談を聞いていくうちに、渇望していた“何か”を見つけることができた気がした。
「野球の楽しさはもちろん、人間性を磨いていくことができる野球の力を、発展途上国の子どもたちに伝えたい。そして、その経験を積むことで今後、日本の野球界に貢献できるかもしれない」
そう決断して、海外協力隊・野球隊員に応募。きらやか銀行でお世話になった方々への感謝と、野球部復活の願いを胸に、生まれ育った東北から、遥か遠いベナンで新たな道を歩き始めた。
ベナンの子どもたちがひとりでも多く野球に触れられるように
活動を始めてから半年以上経つが、今でも課題は言語だという。ベナンの公用語であるフランス語に苦戦しているが、「自分の行動や姿勢から、何かを感じてもらえることがある」と情熱でカバー。そうして、こんな手応えを得ているという。
伏見さんは、ベナンの子どもたちに、もっと野球を楽しんでもらいたいと考えている。だが、ベナン国内では野球用具の流通は一切なく、選手たちは支援で集められた物を使用しているが、代表チームでさえも人数分には達していない。さらに、数少ない用具を使い回しているため、くたびれてしまった物が多く、修理しながら使い続けるしかないのだ。この状況を打開しようと、伏見さんは用具の確保にも奔走している。
ベナンでは、ボール1個あればプレーできるサッカーが人気だ。それでも伏見さんは、こう意気込む。
「野球という素晴らしいスポーツに、ベナンのこどもたちがひとりでも多く触れられる機会を作っていきたい」
【取材・文=岩崎実幸】
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