【週刊グランドスラム310】投打の主力と期待の若手が復帰して“昨年以上”を狙うJR東日本東北
右腕の竹本祐瑛と、日本代表にも選出されたスラッガーの鈴木聖歩だ。二人はチームを全国制覇できる位置まで押し上げた立て役者だが、ケガの影響で竹本は出場なし、鈴木聖は1試合の途中出場に終わった。
あれから一年。JR東日本東北は6月28日、都市対抗東北二次予選の第一代表決定戦でTDKを下し、5年連続31回目の本大会出場を決めた。歓喜の輪が広がるグラウンドには、安堵の表情を浮かべる竹本と鈴木聖の姿があった。
「今年こそやってやろうという気持ちで準備してきて、自分の状態があまりよくない中でも全員で勝つことができました」
竹本は、そう充実感を滲ませた。昨年4月に腰の疲労骨折が発覚。都市対抗の登板は断念し、大会後の8月にキャッチボールを再開した。
「都市対抗の前は悔しかったですが、勝ち続けるうちに次も勝ちたい、優勝したい、とみんなと同じ気持ちになりました」
準々決勝からはベンチに入り、チームメイトを鼓舞する声かけをしたり、対戦相手のデータを伝えたりしてチームを陰で支えた。
「自分が投げている時は、これを他の誰かがやってくれていたのだなと、都市対抗が終わってからあらためて気づかされました」
そうして、チームメイトへの感謝を再確認するきっかけにもなった。
「一から基礎練習をやり直した」という今季は先発に復帰。都市対抗東北二次予選は、七十七銀行との準決勝に先発して3回3失点と納得できる結果は残せなかったものの、宮城県一次予選や東北大会では復活を印象づける投球を披露している。今度こそは、東京ドームのマウンドに立って優勝を手繰り寄せるつもりだ。
一方、鈴木聖は「入社してからずっと試合に出ていたので、出られない時にどうすれば力になれるか考えていた。助言した選手が活躍してくれるのは嬉しかったけれど、大会が終わってから『自分も出たかったな』という気持ちになりました」と昨夏を振り返る。
都市対抗予選前に左足首の靭帯を痛め、本大会は代打に専念した。
「以前は極端な話、自分が打って勝たせようという意識でプレーしていた。今は『自分が、自分が』というのがいい意味でなくなって、みんなで打ってみんなで勝とうという考えに変わりました」
そう話すように、鈴木聖もチームに目を向けるきっかけをつかんでいた。
「自分が打てなくても勝てるチームになった」
感慨深げに、そんなことも口にする。ただ、1年目から中軸を担ってきただけに、もどかしさが募ったのも事実。ベテランの領域に入ってきたとはいえ、レギュラーの座を譲るつもりはない。第一代表決定戦では4回表無死満塁で貴重な適時打を放つなど、まだまだバットで貢献している。東京ドームでも快音を響かせ、昨年の悔しさを晴らしたい。
2年目の早坂一希も血行障害を克服して台頭する
入社前に左手指の血行障害を発症。指先の感覚がなくなり、「投げるのが怖い時期もあった」という。さらに、完治したあとも投球フォームが固まらず、今年に入ってからようやく本格的に投げられるようになった。
東日本国際大時代は同期の大山 凌(現・福岡ソフトバンク)と二枚看板を張るも、4年時の大学選手権は大会直前に左肩を痛めて欠場を余儀なくされた。2年続けてケガでチャンスを逃し、焦燥感に駆られた上、大山のプロでの活躍に「同じステージに立てるように頑張りたい」と刺激を受け、今年は先発を志願。復帰直後だからと悠長に構えることはせず、大学で確立した「直球で押して変化球を生かす」投球スタイルに磨きをかけた。
「何も仕事ができなかった」ルーキーイヤーを経て、早坂は「最高の結果。でも、これからまだまだ先があるので、もっと練習して都市対抗でも勝ちを挙げたいです」と声を弾ませた。ケガに泣くのはもう御免。悲願の全国デビューに向けて準備を重ねる。
一戦必勝の先に、昨年以上、つまり黒獅子旗が見えてくるはずだ。
【取材・文=川浪康太郎】
グランドスラム65は、好評発売中です!!
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ