「郷に入っては郷に従え」というけれど。死球に対する日米の違い。MLBの「報復合戦」にモヤモヤ。最大の被害者はバッター・大谷選手?

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チーム・協会
【これはnoteに投稿されたセイノさんによる記事です。】
「郷に入っては郷に従え」というけれど、文化の違いにモヤモヤすることはある。野球では死球となった時だ。日米の投手の対応がまったく違う。メジャーリーグでは「報復合戦」に発展することもある。最大の被害者はバッター・大谷翔平選手のような気がする。

ロサンゼルスで16日(日本時間17日)から行われたドジャース対サンディエゴ・パドレスの4連戦。両チームともにホームがカリフォルニア州にある。ナリーグ西地区のライバル同士だ。

この4連戦で、両チームともに4つの死球を与えている。16日の初戦にドジャースのバヘス選手が死球を受ける。

そして翌日の17日にヒートアップした。三回表にタティス選手の背中に投球が当たった。直後の三回裏には大谷選手が右足に死球。警告試合となり、ドジャースのロバーツ監督が猛抗議で退場となった。七回にはドジャースの投手が死球を与えた。

18日には七回裏にパドレスの投手が死球を与える。ただ、三回表、ドジャース投手の投球がすっぽ抜けて、バッターのマチャド選手が声を荒げる場面があった。これが伏線となり、七回の死球につながったのだろうか。

4連戦最後の19日。ドジャースの投手陣が2つの死球を与えた。一方、パドレス投手は九回に大谷選手へ死球。投手は退場となった。

あまりに死球が多すぎる。まるで野球は投手が打者に対してボールをぶつける競技と思えてしまう。

日本の投手が米国にわたってプレーする上で、最も違和感を抱えることの一つが死球への対応ではないか。

日本では死球を与えてしまったら、投手は帽子を脱いで、詫びの姿勢を示す。これを米国で行うと怒られるそうだ。

みんな必死にやっている。そこで死球を与えた投手が詫びると、かえってバッターに失礼になる。言わんとすることが分からないではないが、日本人の投手としては、やはりモヤモヤするのではないか。

アメリカでは軽い謝罪の「エクスキューズ・ミー」は言っても、深いお詫びの「ソーリー」とめったに言わないかもしれない。訴訟社会のアメリカで、お詫びをすることは、損害賠償の餌食となりかねないかもしれない。

あるいは、投手が帽子を取る必要がないのは、「やられたらやり返す」という思想があるのかもしれない。それが死球の「報復合戦」へと発展するのだろう。

今回の「報復合戦」の最大の被害者は大谷選手のような気がする。第2戦と4戦でボールをぶつけられた。この試合でパドレスのタティス選手が死球を受けた後に、報復の対象とされたように思える。

アメリカで野球は「ナショナルパスタイム(国民的娯楽)」と言われる。死球の報復合戦が娯楽と言うのなら、あまりに寂しい。

死球を与えたピッチャーは、帽子を脱ぐ。日本流の対応が事を丸く収めるのではないだろうか。「エクスキューズ・ミー」といった感覚で、米国のピッチャーも試してほしい。
見出し画像:久保田牧土
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