【浦和レッズ】いざ開幕!FIFAクラブワールドカップ2025 グループステージ対戦チーム情報と勝利のカギは?~CFモンテレイ編~

浦和レッドダイヤモンズ
チーム・協会

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 世界中のトップクラブが一堂に会し、世界一の座を競う、クラブサッカーの最高峰『FIFAクラブワールドカップ』が6月15日にいよいよ開幕する。

 今大会よりナショナルチームのワールドカップと同様、4年に1度開催される新フォーマットへと移行。さらに、参加クラブ数は従来の7クラブから32クラブへと拡大した。賞金総額も大幅に増額され、アメリカの地で過去最大規模の世界一決定戦が繰り広げられる。

 大会方式はグループステージ上位2クラブがラウンド16に進出。

 グループリーグにて、CAリーベル・プレート(アルゼンチン)、インテル・ミラノ(イタリア)、CFモンテレイ(メキシコ)の3クラブと決勝トーナメント進出をかけて戦う浦和レッズは6月6日(現地時間6月5日)には現地に入り、6月18日(午前4時キックオフ)のグループステージ初戦に向けて、入念に準備を進めている。

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 FIFAクラブワールドカップ2025 グループステージ対戦チーム情報と勝利カギは?というテーマでお届けしているコラム。最後は、グループステージ最終戦となる第3戦で対戦するメキシコのCFモンテレイを紐解いていく。

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 メキシコ北東のヌエボ・レオン州にある大都市モンテレイをホームタウンとする強豪クラブ。”ロス・ラヤドス(縦縞)”の愛称で知られる通り、藍色と白の縦縞が特徴的で、同じヌエボ・レオン州のサン・ニコラスに本拠地を置くUANLティグレスとは激しいライバル関係にある。これまでリーガMX(メキシコリーグ)は5度の優勝を記録しているが、北中米カリブ海の王者を決めるCONCACAFチャンピオンズリーグも同じく5回制しており、FIFAクラブワールドカップ(FCWC)では2012年と2019年で世界3位に輝いた。リーグ戦でも毎試合のように満席になるほど地元での人気があり、国際舞台でより強さを発揮しやすいクラブカラーは浦和レッズに通じるものがある。

 2021年のCONCACAFチャンピオンズリーグ優勝で今回のFCWC出場を決めたが、ここ数年は惜しくもタイトルに手が届かない状況が続いている。リーガMXの特徴はシーズンが前期リーグと後期リーグに分かれていることで、しかも年間王者を決めるチャンピオンシップのようなものは存在しない。そしてリーグ戦の8位までのチームが”リギージャ”と呼ばれるトーナメント方式のプレーオフに進出するが、2024-25シーズンの後期リーグでCFモンテレイは7位となり、プレーオフに進出した。その準々決勝でトルーカを相手に、2試合の合計スコア4-4となったが、リーグ戦での順位により敗退が決定(その後、ファイナルまで進んだデポルティーボ・トルーカFCが優勝)。FCWCの1ヵ月前に、マルティン・デミチェリス前監督は解任となった。

 新たに就任したのはドメネク・トレント監督。かつてFCバルセロナで”ペップ”ことジョゼップ・グアルディオラ監督をアシスタントコーチとして支えた経歴があり、ドイツのFCバイエルン・ミュンヘン、プレミアリーグのマンチェスター・シティFCと合わせて11年間で24個のタイトルを獲得している。その後、監督としてはMLSのニューヨーク・シティFC、ブラジルのCRフラメンゴ、トルコのガラタサライSK、メキシコのアトレティコ・サン・ルイスと渡り歩いており、理論と経験を持ち合わせた敏腕の指揮官だ。

 ただ、トレント監督になってから一度も公式戦は行われておらず、モンテレイがどういう布陣やスタイルでFCWCの舞台に挑んでくるかはデミチェリス時代のモンテレイの戦い方に、現指揮官のサン・ルイス時代の戦い方を掛け合わせる形で推測していくしかない。トレント監督はサン・ルイスで主に3-4-3のシステムを使っており、グアルディオラ監督の元参謀らしく、グラウンダーのパスを多角的につなぐスタイルを構築している。

 ”ポジショナルプレー”と呼ばれるピッチ全体を盤面のように見立てて、バランスよく選手を配置する理論に基づく緻密な戦術で、多くの局面で複数のパスコースを作って相手ディフェンスを揺さぶりながら、ボールを高い位置まで運んでいくスタイルを得意としている。デミチェリス前監督は3-5-2と4-2-3-1を使い分けながら、パスワークを大事にしていたが、ダイナミックな攻守の切り替えや局面の1対1などを重視していたが、トレント監督になってより高いポゼッションがベースとなっていると想定できる。

 トレント監督がFCWC開幕までの1ヵ月間で、どこまで細かい戦術を落とし込めているかは不明だ。ただ、浦和レッズとしてはグループステージの3試合目で対戦するまでに、少なくともインテル・ミラノ、CAリーベルプレートとの2試合をスカウティングすることができるので、浦和のスタッフが、いかに2試合の情報を短期間で素早く的確に分析して、効率よくチームに落とし込んでいくかがカギになってくる。筆者としても、その前提でここから攻略法をまとめることになることをご了承いただきたい。

 3バックが想定されるディフェンスラインで、守備を統率するのは39歳の元スペイン代表のセルヒオ・ラモスだろう。地元クラブのセビージャFCから19歳でレアル・マドリーに移籍すると、瞬く間に頭角を現して、スペインを代表するメガクラブの主力に定着した。そこから34歳で退団するまで、22個のタイトル獲得に大きく貢献した。そこからフランスのパリ・サンジェルマンFCでも二度のリーグ優勝を経験すると、古巣セビージャで1年間プレー。まさしく英雄として、故郷に錦を飾った大ベテランは新天地にモンテレイを選んだ。

 おそらくセルヒオ・ラモスが中央に構える3バックは”トロ(闘牛)”の異名を取る23歳のメキシコ代表DFビクトル・グスマン、ボランチもこなせる俊敏なホルへ・ロドリゲスが左右から支えるセットが予想される。ただ、メキシコ代表で121試合の出場経験を持つ左利きのDFエクトル・モレーノのような実力者もおり、トレント監督が守備力だけでなく、ビルドアップのクオリティーなども見極めながら、どういう組み合わせで来るかは大会で見極めていく必要がある。

 中盤で司令塔の役割を担うのは元スペイン代表のセルヒオ・カナレスだ。左足の良質なパスで攻撃を組み立てるだけでなく、決定的なラストパスやシュートでも違いを見せる名手で、浦和にとっても最も警戒するべき選手だろう。3-4-3のボランチになるのか、より前めでシャドーのようなポジションになるのかは分からないが、安居海渡や渡邊凌磨が中盤でいかにプレッシャーをかけて、カナレスに自由を与えないかが、浦和の生命線になってくる。

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 そのカナレスを攻守にサポートするのが、メキシコ代表のフィデル・アンブリッツ。184cmというサイズもさることながら、守備強度が非常に強く、単独でボールを刈り取る能力も高い。浦和の攻撃はサミュエル・グスタフソンが主な起点になるが、鋭くチャージしてくるアンブリッツにはキープ力に優れるグスタフソンであっても注意が必要だ。言い換えると、かなりタイトにボールを奪いにくる分、そこを掻い潜れば前向きなパスでチャンスを作ることができる。

 3-4-3でオーソドックスに考えれば、カナレスとアンブリッツが中盤のファーストセットになるが、グループステージの3試合目ということもあり、早めの選手交代もあるかもしれない。モンテレイは中盤の選手層が充実しており、守備的なポジションのポリヴァレントであるリカルド・チャベスやスペイン出身のテクニシャンであるオリベル・トーレス、センターバックもこなせるデュエルの達人ホルへ・ロドリゲスなど、豊富な選択肢からトレント監督がどうカードを切って、試合を優位に進めようとするのかは注目ポイントだ。

 中盤のアウトサイドは右がチャベス、左はサイドバックを本職とするヘラルド・アルテアガのセットか。ただ、トレント監督がより攻撃的なチョイスをするのであれば、ウイングのスペシャリストである元アルゼンチン代表のオカンポスをこのポジションで使ってくる可能性もある。187cmのサイドアタッカーが左サイドのどこに配置されるとしても、浦和にとっては突破させてはいけない選手だ。右サイドバックが石原広教であれば、1対1の守備でルーカス・オカンポスを潰し切ることが第一の仕事になるだろう。ただし、オカンポスが左サイドハーフ的なポジションであれば、状況に応じて金子拓郎や大久保智明の助けも重要になってくる。

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 もう一人、仕掛け役として注意したいのが、メキシコ代表のヘスス・コロナだ。ポルトガルの名門ポストなどでも活躍した気鋭のアタッカーであり、32歳になった現在でも、ドリブルの切れ味は鋭いものがある。右利きの右サイドアタッカーなので、シュートよりも縦に切り裂いてのクロスが危険だ。ただ、そこばかりに気を取られていると、インサイドに流れたポジションから決定的なシュートに持ち込まれる。このコロナの速いクロスにゴール前でエースストライカーのヘルマン・ベルトラメなどが合わせるというのは1つの得点パターンだが、ファーサイドからオカンポスが飛び込んでくる形は浦和にとっても、かなり失点のリスクが高い。

 もう1つ、モンテレイの武器がセットプレーからの得点力であり、セルヒオ・ラモスの加入で、さらにアップした。カナレスの左足キックにセルヒオ・ラモスやグスマンが合わせてくる。まずはなるべくCKや危険な位置でのFKを与えないことが大事になるが、90分を通して、そうしたシーンをゼロにすることは不可能に近いので、GK西川周作やディフェンスリーダーのマリウス・ホイブラーテンを中心に、しっかり集中して跳ね返して、二次攻撃をさせないようにセカンドボールを拾っていきたい。

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 2試合を終えて、両チームの勝ち点がどうなっているかで、モンテレイ戦でのプランも変わってくるかもしれないが、勝利をするには点を取ることが必要になる。90分でボールを持たれる時間が長かったとしても、どこかで浦和が持つ側になる時間帯は来るので、そこの時間帯で効果的な攻撃を繰り出せるかどうか。セルヒオ・ラモスを中心に屈強な選手を揃えるが、Jリーグの相手より浦和に慣れていないので、崩しのポイントを共有しながら、マテウス サヴィオのドリブルや松尾佑介の裏抜けなど、スペシャルな武器をどんどん繰り出してゴールを狙いたい。

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 浦和がローブロックで構える時間帯でも、モンテレイがパスを繋ぎながら、全体を押し上げてくれば、背後を狙ったカウンターからチャンスを作りやすくなる。もちろん浦和としても高い位置からプレスをかけて、ボールを奪ったらショートカウンターを狙うのが理想だが、極論、ワンチャンスを仕留めて、守り切れば勝利できることを考えても、松尾佑介、マテウス・サヴィオ、金子拓郎といったスピードに自信を持つアタッカーを揃えているだけに、そうした狙いも常に持ちながら、強かに勝利を目指してほしい。

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(文/河治良幸)
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著者プロフィール

1950年に中日本重工サッカー部として創部。1964年に三菱重工業サッカー部、1990年に三菱自動車工業サッカー部と名称を変え、1991年にJリーグ正会員に。浦和レッドダイヤモンズの名前で、1993年に開幕したJリーグに参戦した。チーム名はダイヤモンドが持つ最高の輝き、固い結束力をイメージし、クラブカラーのレッドと組み合わせたもの。2001年5月にホームタウンが「さいたま市」となったが、それまでの「浦和市」の名称をそのまま使用している。エンブレムには県花のサクラソウ、県サッカー発祥の象徴である鳳翔閣、菱形があしらわれている。

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