野球を始めたきっかけは「みかん」!? 進化を続ける鷹の勝ち頭・L.モイネロ投手のルーツに迫る
2017年5月、21歳で育成選手として福岡ソフトバンクホークスに入団すると、翌月に支配下契約。以降は中継ぎとしてブルペンを支え続け、先発に転向した昨季は、11勝5敗、防御率1.88で最優秀防御率のタイトルに輝いた。明るいキャラクターでも多くのファンに愛され、今やチームに欠かせない存在となっている。
今回は、そんなL.モイネロ投手のルーツに迫った。
◇ ◇ ◇
ーー今季ここまで好調をキープしていますが、手応えはいかがでしょうか?
春季キャンプから、自分なりに良い準備ができていた思いますし、それが結果として出ていると思います。今は順調にシーズンを過ごせているので、できる限りこのコンディションをキープしていきたいです。
ーーまず、来日前のお話をうかがいたいと思います。野球を始めたきっかけは?
キューバのなかでも、野球道具が揃っていない環境で育ったので、幼い頃は、石をめがけてみかんを投げる遊びをしていたんです。その姿をちょうど野球のコーチが見ていて、私を野球場へ連れて行ってくれたことがきっかけでした。彼はもう亡くなってしまったのですが、私がみかんを投げている姿を見て野球の才能があると気づいたようで、最初は一塁手として本格的に野球を始めました。そこから、外野手をやりながらピッチャーとしてもプレーして、当時のキューバ代表セレクションでピッチャーの人数が一番少なかったので、結果ピッチャーになりました。
ーーその後のキャリアも教えていただけますか?
その後は、山あり谷ありです。19歳か20歳でキューバ代表に初めて招集された時はひどい成績でした……。ただ、その経験のおかげでさらに成長できたと思っています。短い期間でしたが、とても良い経験を積むことができました。
ーー日本以外にも、さまざまな国でプレーする選択肢があったのではないかと思います。
キューバでも、僕を求めるチームはあったと思いますが、私は、WBCやオリンピックでキューバ代表と戦う日本代表の姿を見て育ってきたので、日本でプレーする機会を与えてくれたチームにはとても感謝しています。
ーーここまで8年間日本でプレーして感じた、日本の野球とラテンアメリカの野球の違いを教えてください。
日本は、チームへの帰属意識が強いと思います。技術的な部分で言うと、日本の投手はコントロールが良いことに加えて、スピードもあります。そして、日本の打者は、ラテンアメリカと比較して、パワーがあるわけではありませんが、コンタクトがとても優れていて、配球を読んでバットを振ってきますね。
ーーどのように適応しましたか?
自分からいろいろな選手や当時の通訳と積極的にコミュニケーションを取るようにしていました。あとは、試合映像を繰り返し見ていましたね。自分が投げた試合のなかでも、内容が良くなかった試合を何度も見て、オフシーズンにキューバに帰った時に、そこで見えた課題を踏まえて練習していました。
ーー文化の違いにも苦労したのではないでしょうか?
ラテンアメリカの選手が日本に来た時に、誰もが経験することだと思うのですが、“規律を守る”ことに苦労しました。ラテンアメリカの人は、時間をきっちり守ることに慣れていないので、まずは、時間を守ることに慣れるよう努めました。はじめは、1時間後に出発するバスに合わせて準備をすることも大変でした。
来日9年目のL.モイネロが見据える目標とは。
まず、パ・リーグの打者はよく打ちますし、良い投手もたくさんいるので、とてもレベルが高いと感じています。ホークスについては、この8年間、常に良い成績を残していて、素晴らしいチームですし、何より雰囲気が良いです。 選手のとても明るい雰囲気は、きっとファンの皆さんにもプレーで伝わっていると思います。
ーー現在、パ・リーグの試合はラテンアメリカ、台湾、韓国、カナダ、アメリカで放映されているので、世界のいろいろなところから福岡ソフトバンクホークスの試合、そしてL.モイネロ投手の活躍を見ることができますね。
とても素晴らしいことだと思います。MLBのように、NPBがさまざまな地域に広がっていくことにつながり、世界中で野球をプレーする多くの人の選択肢のなかに、“日本の野球”が加わると思います。
ーーあらためて、今季の目標を教えていただけますか?
まずは、チャンピオンに返り咲くこと。個人としてはタイトルを獲得すること、そして勝ち続けることです。
ーー最後に、パ・リーグファンへメッセージをお願いします。
日本の野球ファンのみなさんは、いつもマナーが素晴らしく、応援はとてもエネルギッシュです。いつも応援ありがとうございます。そして、これからもよろしくお願いします!
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インタビュー・竹林慎太朗
文・後藤万結子
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