【ドラフト候補】巻き返しへ~小早川祐人・2年目の苦悩と手ごたえ~【兵庫ブレイバーズ】
調子が上がらない
小早川祐人。日本ウェルネススポーツ大(社会人)から2024年に移籍。
昨年は6月にホームランを放ってから調子を上げ、最終的に打率.304、ホームラン3本を記録。NPBチームと対戦するリーグ選抜の常連にもなり、ヒットも放っている。
オープン戦でも打率3割を超え、ホームランも打った。
しかし、4月29日、1号ホームランを打った後にアクシデントが待っていた。
4月30日の堺シュライクス戦でダイビングキャッチを試みたところ、わき腹を負傷。そのあとも試合には出るも、本来のスイングを取り戻すことができず、ヒットは打つものの、小早川らしい鋭い打球が飛ばない。
「思いっきり振ることができなくて、モヤモヤしてました」
小早川の不調に引っ張られるようにチームの打撃も沈んでいた。当初負傷者のバックアップやイベント試合のために現役復帰していた山川和大が腹に据えかねて自身をスタメン起用するなど苦しい状況が続いていた。
なんか打てそうな気がする
「当てたら飛ぶんだから、と言われてそれを意識して練習していました」
1スイング1スイングを確実に当てるように飛ばす。バットを持ち換えてもバットの軌道を意識して当てていく。
しっかり充てることを意識する。そして数度打った時小早川がぼそっと言った。
「今日ホームラン出るかもしれないな」
この日、風は右打者有利のレフト方向に強く吹いていた。スイングも悪くない。
予感めいたものを胸に試合に入っていった。
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初回、一発回答だった。
カウント0-2からの3球目。
高々と舞い上がった打球は花園セントラルスタジアムのレフトスタンドへ消えていった。
ニヤニヤがバロメーター
最後にホームランを打ってから1か月。結果は出なかったが、試行錯誤は続けていた。
「山川監督から、バットを1グリップ短く持ってみようとか、そういうちょっとした工夫が絶対に結果につながるよという言葉をもらったので、それを意識して試合に臨みました」
試合前に納得がいくまでしっかりバットを振り込む姿もあった。集中も切らさずその試合は3安打を放った。
調子のいい時に出る、ボールをかなり前でさばいてライト前に打つ、という打法も見せた。元々滅法ストレートには強いのだが、これができると変化球もしっかりヒットゾーンに落すことができる。
その後しばらくはマルチヒットが出ていなかったが、堺の久保拓眞、大阪の式田悠生、姫路の茂木涼からヒットを打つなど好投手からいい場面で打ち続けていた。
「見てくれましたか?また久保さんから打ちましたよ!」
と顔を合わせるたびにニヤニヤしながらその時のバッティングについて教えてくれる。
その小早川の報告のウキウキ具合が調子のバロメーターなのだ。
きっと結果が出ると心に余裕が出てくるタイプなのだろう。そうなると練習からずっとニコニコしている。そして試合でもヒットが出る。
チームは現在4位。塚本恭平をはじめケガ人が多発しているチーム状況。小早川本人も調子を上げないとチームが浮上できないことは理解している。
「堺が飛びぬけているんですが、兵庫もここからどんどん勝ちをつけるように頑張っていきます」
昨年は6月に1号を放ち、そこから調子を上げた小早川。ここから狙うのはチームの上位浮上とドラフト指名。ホームランの昨年越えまではあと少し。二つの目標に向かって突き進む。
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