【安田記念】“日本で一番強いマイル馬”を証明したジャンタルマンタル「第二章が始まった」
ジャンタルマンタルは今回の勝利で通算8戦5勝(うち海外1戦0勝)。重賞は2023年GI朝日杯フューチュリティステークス、同GIIデイリー杯2歳ステークス、24年GI・NHKマイルカップに続く4勝目。川田騎手は安田記念がGIに昇格した1984年以降では歴代トップの4勝目、高野調教師は安田記念初勝利となった。
なお、1馬身半差の2着には吉村誠之助騎手騎乗の9番人気ガイアフォース(牡6=栗東・杉山晴紀厩舎)、さらにクビ差の3着には浜中俊騎手騎乗の1番人気ソウルラッシュ(牡7=栗東・池江泰寿厩舎)が入った。
「馬自身が日本で一番強いマイル馬だと証明してくれた」
「秋は結果を伴うことができなかったですけど、馬自身が本当に日本で一番強いマイル馬なんだと証明してくれたレースだったと思います」
ジョッキーが触れた「秋」というのは、13着に終わった昨年12月のGI香港マイル。「4コーナー手前から苦しさで動けなくなっていましたから」と振り返ったように、レースに全く参加できないまま、失意の帰国となった。いや、もともと始動戦に予定していたGIII富士ステークスを熱発のために使えずに、初の海外遠征がぶっつけ本番となってしまうなど、順調さを欠いたことも大きな要因だっただろう。
日本に戻った後も疲労が大きく、馬体もガレてしまっていたというジャンタルマンタル。だが、すぐに「復帰戦は安田記念」と目標を立てると、放牧先の山元トレーニングセンター、高野厩舎が一丸となって本来の姿へと立て直した。前走と同じ休み明けのぶっつけ本番でも、中身が違う、というわけだ。高野調教師が言う。
計画通りに調教を消化、全てがレベルアップにつながった
この半年の立て直し期間中、最も良かったポイントとしてトレーナーが挙げたのは、まずは馬自身の回復力。そして、それによって計画通り順調に稽古を重ねることができたことが、ジャンタルマンタルをさらなる高みへと引き上げた。
「香港の時とは違って、今回はこちらが課したメニューを全て注げるくらいに良い状態で、加減なく思った通りの調整ができたかなと思います。そういう状態になったというのは、馬に痛みもなく、かつ中身のベースがしっかりしている分、調教を疲労として感じるのではなく、走る方に向けてのレベルアップに全てつながったと思います」
特に調教師の目を引いたのが「四肢の関節の伸ばし方」だったという。
「四肢の関節の伸ばし方がこれまでと違って、一段上にいるなと感覚がありました。特に川田ジョッキーが乗った1週前追い切りですごく感じたので、今までにないジャンタルマンタルの良い意味での動きだったかなと思います。この動きだったら、もっとやれるだろうなと思っていました」
川田騎手も舌を巻く「よくこんなに強い勝ち方ができたな」
しかし、ここからが成長とレベルアップの成果なのだろう。どうにか向こう正面で落ち着かせると、抜群の手応えのまま迎えた最後の直線は残り200mから悠々と抜け出し先頭へ。そこから後続を全く寄せ付けなかったその走りは、前半で引っ掛かってしまいそうになっていたことを忘れるくらい、余裕たっぷりの完勝だった。
もともと道中の折り合いには課題がある馬で、今回も「完璧な競馬」ではなかったのかもしれない。だからこそ余計に際立つ強さだったとも言える。川田騎手も、ジャンタルマンタルのポテンシャルの高さを改めて感じたと口にした。
「あの競馬になって、よくこんなに強い勝ち方ができたなと思うぐらいでした。4コーナーの雰囲気はすごく動けるという感じではなく、どれくらい動けるのかなという雰囲気だったのですが、それでも動かしてみるとこれだけの動きができましたので、改めてやはり素晴らしい馬だなと実感しながらの直線でした」
「次走は海外という選択肢、距離も含めて協議したい」
「今回のレースは今後に向けても素晴らしい内容だったと思います。結果、内容も伴ったということで本当に色々な選択肢が広がっているという状況ですから、まずは馬の無事を確認して、牧場、オーナーら皆さんと次走について協議していきたいと思います。海外という選択肢、距離も含めて協議していきたいですね」
高野調教師はまた、「ジャンタルマンタルの第二章が始まったという思い」とも胸の内を明かした。その第二章の続きはどこを舞台として幕が上がるのだろうか。これは筆者の個人的な思いとなるが、やはり海外で“日本一のマイラー”の強さをぜひ披露してほしい。(取材・文:森永淳洋)
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