真の意味での「ONE FAMILY」へ…清水エスパルスが国立競技場で示したかった“らしさ”
「社員の方々が、とにかく良い表情をしていたんです。その当時、クラブ内ではファンモンさんが来てくださることもあって、『関連したクラブのビジュアルを作ろう』という企画が動いていました。当初、ビジュアルは選手の写真だけで作る予定だったのですが、社員の方々の素敵な笑顔もバッチリとハマっていた。完全にファンモンさんのCDジャケットみたいに仕上がりましたね」
現役時代の西部氏は、2004年から2010年まで清水エスパルスでプレーし、湘南ベルマーレ、川崎フロンターレを経て、2016年から2020年まで、再び清水エスパルスのゴールマウスを守った。計12年間もの期間、清水エスパルスに在籍したわけだが、1度目に在籍した頃と今とでは、クラブが纏う雰囲気が異なるという。
「正直、今とは全然違いますね。今ほど、選手と社員の距離は近くありませんでした。けれども、それは決して悪いことではなく、それが当時のエスパルスのカラーだったと思います」
今現在、選手はクラブハウスを出る時、少なくとも1回はオフィスを通ることとなるが、このオフィスを通る文化も、かつては存在しなかったもの。コミュニケーションが増えたことで、クラブに関わるすべての人々が一つの家族となっていった。このような日々を過ごしているからこそ、今のクラブには「ONE FAMILY」というスローガンがぴったりだ。同時に、西部氏には、広報の立場になって見えてきた真実がある。
「私が現役の時もそうでしたが、裏方の仕事って、なかなか選手たちには見えないんです。僕は広報を務めるようになってから、ホームゲームの時に、こんなにも多くの人々が動いてくれていることを実感しました」
当然ではあるが、このクラブにいる人々は選手だけではない。クラブに関わるすべての人々が、それぞれの役割をまっとうすることで、清水エスパルスは構成されている。 清水エスパルスの“顔”として表に出るのが選手たちであることは紛れも無い事実だが、クラブスローガンの「ONE FAMILY」を胸に日々を過ごすのは、社員の方々も同じだ。だからこそ、笑顔の写真を掲載する上で、社員の方々からのネガティブな反応は皆無だった。
こうして名古屋グランパス戦の開催日、このクラブの“今”を示す施策の一つとして、『国立競技場』には、選手だけでなく社員全員が笑顔で映るビジュアルが掲げられた。制作過程を通しても、実際の制作物を通しても、スローガンである『ONE FAMILY』を体現することが叶ったのだ。
「本来であれば、あのビジュアルにも、もっと多くの清水エスパルスに関わる方々を入れたかった」
育成組織で奮闘する選手たち、彼らを指導するスタッフの方々、具体例を挙げれば枚挙に暇がない。もちろん、清水エスパルスを支えるファン・サポーターも対象だ。西部氏に言わせれば、「こうした人々も含めて『ONE FAMILY』」なのだから。
このビジュアルは、25日に控えた2025明治安田J1リーグ・第18節ヴィッセル神戸戦の西サイドスタンド側コンコースに改めて掲載される。このビジュアルを見て、何を感じるかは、十人十色だろう。西部氏は控え目に「『清水エスパルスって良いチームだな』と思っていただけるのかどうかはわかりませんが、今のクラブの雰囲気を感じていただくと同時に、自分もその一員であることを感じていただけたら嬉しいですね。僕の中では、これが今の清水エスパルスの“らしさ”なので」と言葉を紡いだ。
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