女子野球全日本インカレ準優勝の大阪体育大学 エース柏﨑咲和投手、主将の山本一花捕手、打率4割超の木村睦実内野手に聞く
◆けがから復帰し大車輪のエース・柏﨑咲和
「抜き方、ギアの入れ方。何かをつかめた大会」
2試合目の予選リーグ、平成国際大学戦で先発。「アドレナリンもあって痛みなく投げられた」といい、5回を1失点。1回戦、準々決勝も先発して無失点で継投して、先発の役目を果たす。準決勝の尚美学園大学戦では7回を2失点で完投勝利。ダブルヘッダーとなった仙台大学との決勝も救援して六、七回を0点に抑えて反撃を待った。23イニングで3失点。けが直後とは思えない獅子奮迅のマウンドだった。
飛び抜けた球威がある分けではないが、カーブ、スラーブ、スライダー、チェンジアップ、スプリットをどの球種もバランスよく投げ分ける。「先発として試合を作る力、ピンチでのギアの上げ方が自分の長所だと思う」と話す。
高知大会での収穫は「すべてマックスの力を出すのではなく、抜くところは抜き、ギアを上げるところは上げる調整ができた。何かをつかめた大会だった」という。一方で悔いが残ったのは決勝。六、七回を0点に抑えたが、先頭打者を出した。「3人、3人で切っていたら、サヨナラになっていたかも知れない。エースとしてチームの勝利のためにもっと頑張らないと」
チームのムードメーカーであり、横井監督によると、学内を歩いていてもゴミがあると必ず拾うという。
将来の目標は日本代表、侍ジャパンのユニホームを着ること。昨年のW杯ファイナルステージでMVP・首位打者を獲得し日本の7連覇に貢献した1年先輩の白石美優(現阪神タイガースWomen)の背中から、代表で学んだことを共有するなどチームに尽くす姿勢を学んだ。
「日本代表の夢に向けて、大学生活の野球を自分の体で表現し、女子野球界を引っ張っていける投手になりたい」と抱負を語った。
◆4番・捕手・主将の山本一花
「辛い冬越え野球を楽しめた」
柏﨑がけがをした後、捕手として投手陣を集めて言った。「どこかにエースの力で何とかしようという部分があったと思うけれど、もう、エースには頼れない。みんなでやっていくしかないんだよ」。この時点では、横井監督も高知大会は柏﨑抜きの起用を考えていたという。
投手陣の意識が変わったことが、練習態度から伝わってきた。山本はブルペンで受けた球の1球1球に「すごい思いがこもっていた」と振り返る。
小学1年から野球を始め、履正社高校3年の時、春の全国選抜大会で準優勝した。保健体育科の教員志望で、教員免許が取れて野球もできる大学として、大体大に進んだ。
1年生の秋から正捕手。「試合経験が豊富なチームの要」として、主将に指名された。
女子野球のインカレは春の高知大会と夏の和歌山大会(8月、田辺市など)がある。夏のインカレでは2021年以来の優勝がかかる。「選手個々の力はあるが、高知大会では持っている力を全員が発揮することができなかった。出したいところで力を出すための質の高い練習をしていきたい」と話す。
幼いころから日本代表になることが夢だったという。夢の実現のためにも、負けられない夏になる。
◆打率.412、4長打の木村睦実
「夏に向け投手陣を支える打線を作り上げたい」
初戦の仙台大学戦の一回に先制の犠牲フライ。2戦目の平成国際大学戦も一回に先制の中前タイムリー。続く決勝トーナメント1回戦の至学館大学戦も延長八回タイブレークで決勝の2点二塁打。準々決勝の至誠館大学戦も一回に先制の2点三塁打。4試合連続打点でチームに勢いをもたらした。
決勝のフェンス直撃のほか、準決勝でもセンターオーバーの二塁打を放ち、長打力が魅力だ。
2年夏からレギュラーを務め、昨年も5番を務める。
打線の要として、一人ひとりに打撃の力はあるが、打線が線になり切れず得点につながらなかったと反省する。
和歌山大会に向けて、「高知大会では投手陣が頑張ったが、打撃は課題として残った。夏は投手陣を支える打線を作り上げたい」と意気込む。
(大坪康巳)
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