「学生の成長こそ、最大のやりがい」プロリーグ経験を経て、小野秀二氏が語る大学バスケへの想い
「僕の指導者としてのキャリアは、大学から始めて、プロチームから中学までいろんなカテゴリーを経験してきました。でもやっぱり、選手の成長を間近で感じられる育成の現場に、もう一度飛び込みたかったんです。」
小野氏が再び大学という舞台を選んだのは、育成の魅力を改めて実感したからだという。プロの現場では、戦術や勝敗に重きを置く一方、大学では育成が求められる。選手が入学してから卒業するまでの4年間、心身ともに大きく成長する姿を見守り、支える過程にこそ、指導者としての醍醐味があると語る。
2 大学バスケの環境は大きく変化
1988年に愛知学泉大学で大学生への指導をスタート。インカレベスト4までの強豪校へと育て上げた経験を持つ小野氏は、現在の大学バスケについてこう語る。
「昔と比べて、留学生の存在で戦い方が変わってきています。かつては日本人選手だけで構成されていましたが、現在は留学生の加入により、個々の役割が明確化し、戦術の幅も広がっています。」
環境の変化に対応しつつも、人間的成長こそが大学スポーツの本質だと話す。
3 チームスポーツが育てる”人間力”
「大学生は社会に出る前の大事な時期です。バスケットボールを通じて、相手を思いやる心や責任感、仲間との信頼関係を学んでほしい。」
小野氏は、チームワークの重要性を理解することが、人間的成長につながると語る。
「チーム(組織)の中で各個人の役割を認識し、チームメイトの特徴を理解する力をもつことでプレーの幅が広がる。」
現在、びわこ成蹊スポーツ大学男子バスケットボール部は2部リーグに所属。全国的にはこれからのチームだが、なぜ小野氏はこのチームを選んだのか。
「僕が愛知学泉大学で指導を始めた頃も、チームは立ち上げの段階で、ゼロからのスタートでした。そういう”伸びしろのあるチーム”に惹かれるんです。自分がそういうチームに惹かれるのか、呼ばれるのか分からないけど、やりがいを感じますね。」
びわこ成蹊スポーツ大学男子バスケットボール部は、現在、1部昇格とインカレ出場を目標に掲げている。そこに対する小野氏の意気込みは強い。
「これまでの歴史を尊重しつつ、自分のキャリアで得たものをプラスしていきたい。これまで2年間総監督としてチームを見てきたので、学生の特性やチームの傾向も把握しています。アグレッシブなディフェンスから展開するスタイルは、学生たちの意識とも合っている。そこを突き詰めていきたいですね。」
5 卒業後も見据えた支援体制を
小野氏は、学生の卒業後にも目を向ける。
「スポーツの世界には、選手だけでなく、トレーナー、マネージャー、マネジメント、広報など、多様なキャリアの可能性があります。びわこ成蹊スポーツ大学は、そういった多様な選択肢を提示できる大学です。」
現場での経験やネットワークを生かし、学生の卒業後のキャリアにも注力していく。
6 経験こそが、人を育てる ー 大学生に期待すること
小野氏が大学生に対して強く期待しているのは、高い目標を持ち、さまざまな経験を重ねることだ。
「大学生って、まだ20年ほどの人生経験の中で物事を考えているわけです。だからこそ、もっと違う刺激を受けてほしいし、上のレベルの相手と対戦して、自分の可能性を広げてほしいと思っています。」
技術的な成長だけでなく、視野の広がりや成功体験の積み重ねが人間的な成長にもつながると、小野氏は語る。
「うまくいった体験があると、またそこから”もっと頑張ろう!”というモチベーションにもつながります。そういった経験をコントロールしながら、学生たちには主体性をもって高い目標に向かってチャレンジし続けてほしい。だから私は、いろんなレベルの相手と交流し、成功も失敗も含めて多くの経験を積ませたいと考えています。僕自身も、バスケットを通じて一生の友人を得て、人生の豊かさにつながった。そういう経験を学生にもたくさんしてほしい。」
経験が人を育てるという信念のもと、小野氏は選手たちに新しい挑戦の機会を惜しみなく提供しようとしている。
7 学生やファンへメッセージ
「私は何か特別なことができるわけではありません。でも、ただひたむきに、真剣にボールを追いかける姿―その情熱こそが、人の心を動かすのだと思います。そんな姿を皆さんに見ていただき、びわこ成蹊スポーツ大学男子バスケットボール部を応援してほしいと思います。ぜひ、よろしくお願いいたします。」
8 新たな挑戦のはじまり
選手の成長に寄り添いながら、チームとともに歩んでいく。
勝利だけを追い求めるのではなく、人として成長するための学びの場として、
びわこ成蹊スポーツ大学男子バスケットボール部は、今、新たな一歩を踏み出す。
小野ヘッドコーチがチームに合流するのは、6月に開幕する「第75回西日本学生バスケットボール選手権大会」。
学生たちの成長とチームの飛躍に、これからも注目していきたい。
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