絶対王者ELAGUA TOKYOが連覇を達成!加藤純一氏も観戦のソサイチ全国大会【F7SL CHAMPIONS CUP 2024】
大会初の有料席を設けるなど新たな取り組みを行った今大会。全国各地の地域予選・大会を勝ち抜いた12チームが「ソサイチ日本イチ」を目指して熱戦を繰り広げ、ELAGUA TOKYOが2年連続4度目の王座に輝いた。
元Jリーガー軍団「J LEGENDZ」が初戦に登場も最年少チームSala de baile FCが接戦を制する!
2試合目では、関西リーグ第2代表のVOLVER OSAKAと連覇を目指すELAGUA TOKYOが対戦。優勝候補同士が一歩も譲らぬ攻防を見せた。今季リーグ戦無失点、3月に行われた「F-CHANNEL CHAMPIONS CUP 2025」の決勝でもELAGUAを下したVOLVERは7分、西山颯人と河野圭吾の連係からラストパスを受けた濱本和希が左足を振り抜き先制に成功。1点リードで前半を折り返した。後半立ち上がりも攻めるVOLVERだったが、荒井友斗のスローインに阿部正紀が頭で合わせELAGUAが試合を振り出しに戻すと、1-1のまま時間が経過する。終盤、セットプレーから阿部のゴールで逆転したELAGUAだったが、VOLVERもラストワンプレーで意地を見せる。永田来樹のスローインをELAGUAのGK・星野昴がはじくと、こぼれ球を西山がゴール前に折り返す。これを佐々木僚太がゴール右隅に突き刺し2-2に追いついた。今大会のレギュレーションでは、同点の場合は必ずシュートアウト方式で決着をつける。両者とも1本目を失敗するが、2本目でELAGUAが成功、VOLVERが失敗に終わり、シュートアウト0-1でELAGUAが勝点2、VOLVERが勝点1を手にした。
5試合目ではどちらも初出場のRiver JSCとFC ANNIVERSARYが対戦。事前情報も少ない中、様子を見合う拮抗した展開がつづく。8分、直前にカウンターから危ないシーンを作ったRiverだったが、自陣から攻撃を組み立て高橋真が先制ゴールを決める。しかし、1-0で迎えた後半、バックパスを受けたGK齋藤由樹に対しANNIVERSARYの鈴木大嗣がプレスをかけると、ゴールクリアランスが鈴木の足に当たり1-1の同点に。これに勢いを得たANNIVERSARYが終盤に福ケ迫知秀のヘッドで追加点を挙げ、1-2で逆転勝利を挙げた。
準決勝進出をめぐる争いが白熱。J LEGENDZ予選敗退も那須大亮「苦しさも楽しさも味わうことができた」。
初戦を落としたAC.HAKATA 2020は、Sala de baile FCと対戦。前半は拮抗した展開となり、0-0で後半を迎えた。先に試合を動かしたのはSala de baile。加藤隼吾のシュートはブロックされるも、粘り強くボールをつなぐと、竹浪良威の折り返しに滝大樹がファーで合わせ、待望の先制点を挙げた。しかし、GK片岡保忠のロングスローを起点に攻撃を組み立てるHAKATAは、渡邊裕樹のダイレクトボレーで同点に追いつく。九州リーグとはコートサイズが異なるため、普段とは違う攻撃の形となったが、これが奏効し得点につながった。その後も拮抗した展開がつづき、1-1で後半が終了。勝敗の行方はシュートアウトに委ねられた。1本目で成功したHAKATAが最終スコア1-1、シュートアウト0-1で勝点2を手にした。
MIGHTY FCとプラムワンの一戦は、終盤にドラマが待ち受けていた。プラムワンは前半、スローインの流れから瀧谷亮が先制点を挙げるが、MIGHTYも譲らずGKがキャッチし損ねたボールを南里慧斗が押し込み、試合を振り出しに戻す。後半は拮抗した展開がつづき、このままシュートアウトにもつれ込むかと思われたラストワンプレー。縣翔平のマイナスのパスを澤井輝が打ち抜き勝ち越しゴール。「チームの決まり事として、僕が外しても味方がファーに詰めてくれる」と仲間を信じた澤井のゴールが大会初勝利を引き寄せた。
3戦目での初勝利を目指すJ LEGENDZは、AC.HAKATA2020と対戦。しかし、鄭大世が負傷で退場を余儀なくされ、ここまでの疲労も影響してか失点を重ねてしまう。1-5で敗戦し、初の全国大会は予選敗退となった。チームの代表・那須大亮は「練習量や個の資質だけではない、チームの個性や戦術に苦戦した」としながらも「フットボールファミリーとして、ソサイチはすごく重要なポジション。全国大会に出場することでその苦しさも楽しさも味わうことができた」と感想を述べた。
各チームが3戦を終え、Aグループのowner Chiba、BグループのELAGUA TOKYO、CグループのNがそれぞれ首位で予選を突破。VOLVER OSAKAは勝点7を獲得し、Bグループ2位で準決勝へと駒を進めた。
今大会は加藤純一氏、森保一氏ら豪華ゲストも観戦。
加藤氏はこの日が初めてのソサイチ観戦。今年1月にイタリアで行われた第2回キングス・ワールドカップ・ネーションズ(7人制のサッカー大会)や、5月18日に発表された「Kings World Cup Clubs 2025」にはプラムワンの圓乘健介やNの中村駿介、FC LISEM SOCIETYの森保翔平らが選出されている。
「僕が(キングス・リーグに)行くときだけ『みんな来てよ』と集めて、普段の選手たちを見ないのは失礼だなと思って。キングス・リーグもエンターテインメントの比重が高いイメージを持っていたんですが、流血するほど真剣に勝負をしているんですよね。こういった機会に、選手たちが普段どういうところでどういう競技をやっているのかを見させていただきたいな、と思って会場に来ました」と加藤氏。
実際にソサイチを観戦し「僕が知らない素晴らしい選手もたくさんいらっしゃって、こうやって全国大会に出るって選ばれた方たちですよね。それぞれ仕事やその他の背景もあるとは思いますが、競技に向き合っている彼らの闘志が適当にやっているわけじゃないことを物語っていると感じました。今年は初めて有料席もあると聞きましたし、盛り上がっていくだろうな、と思います」と感想を語る。
ソサイチ選手にはインフルエンサーやYoutuberも多いが、スポーツにエンターテインメントの要素がプラスされるトレンドについて質問すると「サッカーや野球は大きい企業がたくさんついて、それこそ国で行っているプロジェクトみたいなところがありますよね。でも、新しいスポーツはもっと身近なところから広めていかないと、広がっていかないと思うんです。僕自身がインターネットで活動しているから、そういった流行り廃りを結構最前線で見ていますけど、一歩ずつやっていくのが一番の近道なんだと思います。数年前は観客も少なかったと聞きましたが、今日はこんなたくさんの方がいて、僕もソサイチを知らなかったのに、仕事なわけでもなく今こうやって観戦に来ているわけじゃないですか。だから、そうやってちょっとずつでも続けていくのが、一番長生きするんだろうなって思いますね」と返ってきた。
エンジョイカテゴリでソサイチをプレーしたことはあるが、この日が初のソサイチ観戦。昨年マレーシアで行われたソサイチアジア大会「ASIA 7’s Championship」や、昨年の全国大会は配信で見ていたと言い「間近で見ると激しくて、非常にエキサイティングなフットボールだと思います」と話す。
11人制のサッカーや5人制のフットサルとの違いを「いろいろなフットボールがある中で、サッカーとフットサルの間ですよね。フルコートでのプレーはきつすぎるけど、フットサルでは少し物足りない、といったニーズを満たしてくれると思いますし、こういったジャンルがあるといろいろな楽しみ方ができ、すごくいいことだと感じました」と森保氏。LSIEMの試合後には、三兄弟と記念撮影を行う一幕も見られた。
初出場のowner Chiba、強豪・VOLVER OSAKAを下して決勝進出!
後半も両者譲らぬ攻防を見せ、VOLVERがGKからのロングスローを起点にチャンスを作ると、ownerもセットプレーから狙いすましたシュートを蹴りこむ。得点が生まれないまま時間が経過した27分、ownerはGK納藤がキャッチから前線にボールを投げる。これを服部功汰が収めて、平井亮佑が左足でシュート。VOLVER・GK宮前がはじいたボールを石井将慶が頭で押し込み、待望の先制点を挙げた。1点ビハインドのVOLVERは、持ち前の機動力を生かし最後までownerゴールに迫る。しかし、追撃及ばず0-1で試合終了。優勝候補のVOLVERが準決勝で姿を消し、初出場のownerが決勝へと駒を進めた。
打倒・ELAGUAを掲げた初出場のN、1点が遠く準決勝敗退
攻撃力のあるELAGUAに対し、Nはこの試合でも守備を固めた。両者に得点が生まれないまま時間が経過し、0-0で折り返すかに見えた前半終了間際、Nの自陣からのスローインをELAGUAの荒井友斗がカット。一度は取り返したが、阿部正紀がボールを奪うと荒井にボールを渡す。前線へと走る阿部の動きを見た荒井がロングパスを出すと、阿部が難しい体勢ながら逆サイドへボールを送り、走りこんだ小田崚平がシュートを流し込みELAGUAが先制に成功した。
後半、まずは1点を返したいNはペナルティーエリアまで侵入するものの、ELAGUAの守備に苦戦する。なかなかシュートで終わることができないまま時間が経過し、0-1で試合終了。ソサイチ界の絶対王者と評されるELAGUAが1点を守り切り、owner Chibaの待つ決勝へと駒を進めた。
王者・ELAGUA TOKYOが貫録を見せ、連覇を達成!
開始1分、底辺から攻撃を組み立てるELAGUAは、唯井竣平がownerの守備陣形を見ながら自陣からドリブルを仕掛け、自らシュートを放つ。右ポストの内側をかすめる絶妙なコースを取ったシュートがゴールネットを揺らし、ELAGUAが先制に成功した。出鼻をくじかれたownerだったが、初出場で決勝まで勝ち上がってきた実力を見せる。6分、浮き球の難しいボールをつなぎ、平井亮佑がゴールを背に右足のアウトサイドに当ててゴール。試合を振り出しに戻した。これに勢いを得たownerはさらにELAGUAゴールを脅かす。しかし、経験豊富なGK・星野昴も好守を見せ、両者譲らぬ攻防がつづいた。
1-1で迎えた後半、ELAGUAが徐々に地力を発揮し始める。まずは立ち上がり、荒井友斗のスローインに「自分が決めて勝つ」と宣言していた氏橋寛が頭で合わせて追加点。ownerの守備に苦戦しながらも攻勢を強める。1-2の時間が長くつづく中、終盤には荒井のコーナースローがオウンゴールを誘発し、ELAGUAがリードを広げた。最後まで粘り強く戦ったownerだったが、追撃及ばず1-3で試合終了。ELAGUAが2年連続4度目の王座に輝いた。
大会MIPは決勝戦で芸術的なゴールを決めたowner Chibaの平井亮佑、大会MVPは守備的な選手でありながら決勝の先制点でチームの勝利に貢献した唯井竣平が輝いた。
平井は「決勝で敗れはしましたが、ここまでチーム一丸となって戦ったので、この結果がすべてだと思います。全国大会では普段対戦できないチームと戦うことができ、各チームに色があっていろいろな戦い方をしていたので、本当にいい経験ができました」と大会を振り返る。守備に重きを置き「まずは失点しないこと」を徹底してチームを作ってきたowner。しかし、ELAGUAの底力や戦う姿勢から「勝ちたいという気持ちが自分たちよりも上回っていたのではないかと思います」と平井。「ダークホースと言われる以上、結果を残したいと思っていました。全国大会に出場した経験を生かして、リーグで結果を出して、また全国大会に戻ってきたいです。そして、ELAGUAのような強いチームを倒して、今度は優勝したいと思います」と意気込みを語った。
唯井竣平「ELAGUAは勝つことに対して何をするのかを常に意識している」
ありがとうございます。僕はELAGUAに入って6年目なんですが、優勝は初めての経験なのでうれしいです。
ーーソサイチリーグや全国大会のレベルは年々上がってきていると思いますが、そのような実感はありますか?
そうですね。昔と比べると、全体的に組織としての環境、資金力、選手の質なども含め、すごく上がってきている実感はあります。実際に対戦をしていても、レベルの高い選手が増えたと感じています。
ーー準決勝以降もロースコアな試合が増えました。そういったレベルの高い大会を勝ち切ったポイントはどこにありますか?
やはりそこは、何度も全国大会に出ている経験が生きたと思います。ELAGUAの特徴のひとつは、誰が出ても同じようにプレーができるところです。自分が出ている3、4分の時間でとにかく全力を出し切る。それを繰り返しやっていることが、厳しい戦いの中でも勝ち切れるひとつの要因かな、と思います。
ーー年々、打倒ELAGUAを掲げるチャレンジャーも増えてくると思いますが、そういった環境でも来年の全国大会を目指し、さらに連覇を重ねることにはどのような思いを持っていますか?
ELAGUAはソサイチの常勝集団のように言っていただくんですが、常に「勝つことに対して何をするのか?」をみんなで話して、指摘して、プレーをする意識が、多分どのチームよりも強いと思っています。
なので、そういうメンタルをずっと落とさずにいるから連覇もできたし、これからも戦い続けられるんじゃないかな、と思います。こんなにレベルが上がっている中で、厳しい戦いを制してタイトルを獲れたことは、素直にうれしかったですし、めちゃくちゃみんなで喜びました。でも、やっぱりもう次にリーグがあるから、って切り替えはしていましたね。喜ぶのは今日だけ、今日の試合だけ。相手よりは自分たちに矢印を向けて、すぐにリーグも始まるのでリーグタイトルも獲りにいく、とみんなで話しています。
年々、競技レベルが上がり注目を集める7人制フットボール「ソサイチ」。現在、7月に開幕が予定されている北海道、東北、北信越、中国、四国エリアでは、参加チームを募集している。
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