【浦和レッズ】異例のホーム5連戦で掴んだもの

浦和レッドダイヤモンズ
チーム・協会

【©URAWA REDS】

 異例のホーム5連戦。この“凸凹”日程が、浦和レッズの今シーズンを大きく動かす転機になった。

 大型連休中は試合と試合の間が短くなることが多いが、今シーズンはすべてホームで戦えるという地の利を生かせたことはもちろん、ホームのファン・サポーターの大きな後押しを受けて、選手たちが躍動した。勝利後に歌う「We are Diamonds」が毎回のように歌われた時期になり、新加入の選手たちも、だいぶ歌詞を覚えられたのではないだろうか。

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 今シーズンの浦和レッズのリーグスケジュールは、開幕からアウェイでの試合が3試合続くイレギュラーな日程だったが、4月16日(水)京都サンガF.C.戦からは、4月20日(日)横浜F・マリノス戦、4月25日(金)サンフレッチェ広島戦、5月3日(祝)東京ヴェルディ戦、5月6日(火休)ガンバ大阪戦と3週間の間にホームゲームが5試合連続する、さらに珍しいマッチスケジュールだった。
 
 開幕アウェイ3連戦は2分け1敗で勝ち点2と芳しくなかったが、ホーム5連戦は4勝1敗で勝ち点を12積み上げ、まずまず以上の成績を収めた。3月8日のファジアーノ岡山戦から通算するとホームで6連勝となり、これは10年ぶりの好記録だった。
 
 そして、この期間中に原口元気のアシストによるダニーロ ボザのゴール(横浜FM戦)、マテウス サヴィオのアシストによる金子拓郎のゴール(広島戦)と、新加入選手たちに移籍初ゴールが生まれていったのもチームとサポーターを勢いづけた。とりわけ自陣でボールを奪取したサヴィオのドリブルと金子のロングスプリントによる目の覚めるようなカウンターは今シーズンのゴールの中でも特筆すべきものになるだろう。普段からトレーニングで力を入れているセットプレーからのゴールが多く生まれたこともチームに自信を植え付けた。

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 サッカークラブのスタッフがスタジアムの来場者を気にするのは当然ではあるが、浦和のマチェイ スコルジャ監督も、常にホームゲームの入場者見込みを気にしている。それは、レッズの最大の武器であるホームの後押しを期待すると同時に、チームが成熟していく過程を多くのファン・サポーターに見てもらうため、そして勝利の喜びを胸にスタジアムから帰ってもらいたい、という思いからだ。

 大型連休中の試合は多くの入場者が見込めそうに思うが、実は他の予定などが入りやすい時期でもある。特に5月3日(東京V戦)と6日(G大阪戦)というような近い日程の場合、どちらか1日だけ来場ということになる可能性が高かったように思う。

 今年は3日を「GoGoReds!デー」と銘打って、小中高生の指定席の価格を550円にしたことで、3日のチケット販売が好調だったのに対し、その影響もあってか6日の券売は伸び悩んでいた。しかし、ホームで連勝を続け、現時点では今シーズン最多の52,429人が来場した3日の東京V戦を2-0と快勝したことで、6日の来場者が急激に伸び、今シーズン4番目に多い41,770人を記録した。

 昨シーズン加入した石原広教は「ホームの力というのは間違いなくあったと思います。やっぱりあの後押しは相手を萎縮させるので、すごいです」と語っているが、今シーズンのホーム平均入場者は37,215人。昨シーズンの37,519人に届く勢いで、コロナ禍前の水準を大きく上回っている。

 ホームでの勝利が新しいファン・サポーターを呼び、多くの入場者による圧倒的なホームの雰囲気が勝利を生む、という好循環を定着させていきたい。

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 ホーム5連戦は、6月にFIFAクラブワールドカップ出場を控えた浦和レッズと、ACLファイナルステージに進出した他クラブの条件が重なって生まれた特殊な日程であり、来年以降にJリーグのシーズンが秋春制に移行することを考えれば、終盤となるこの時期にホームがこれだけ続くことはあり得ない。
 
 クラブ史に刻まれる出来事であり、全勝できなかったことは残念の極みだが、4勝1敗と上々の成績を収め、シーズン序盤の低調ぶりを払拭しただけでなく、優勝争いへの参入をうかがえる位置までチームを引き上げたことは特筆すべきことだ。
 
 間違いなく今シーズンのターニングポイントになったと言えるが、それを目標であるJ1リーグ優勝に結びつけるためには、今後もホームゲームの強みを生かして勝利を続けていくことが必要になる。

 ホーム5連戦を終えたあとの5月11日(日)に行われたアウェイでのアルビレックス新潟戦は、0-1から追い付き、逆転のチャンスもありながら今季5試合目のドローに終わった。ここで連敗を免れたこと、80分に同点に追い付く“古巣弾”を長倉幹樹が決めたことにより今季移籍で新加入した5選手全員にゴールが生まれたことを、巻き返しの足掛かりにしたい。

 次節、5月17日(土)のFC東京戦は地理的条件もあり、FC東京のファン・サポーターも来場しやすい試合にはなるが、大型連休中のような圧倒的なホームの雰囲気を作って、選手たちを後押しして欲しい。そして3試合ぶりの勝利を手にしよう。

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(取材・文/清尾 淳)
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著者プロフィール

1950年に中日本重工サッカー部として創部。1964年に三菱重工業サッカー部、1990年に三菱自動車工業サッカー部と名称を変え、1991年にJリーグ正会員に。浦和レッドダイヤモンズの名前で、1993年に開幕したJリーグに参戦した。チーム名はダイヤモンドが持つ最高の輝き、固い結束力をイメージし、クラブカラーのレッドと組み合わせたもの。2001年5月にホームタウンが「さいたま市」となったが、それまでの「浦和市」の名称をそのまま使用している。エンブレムには県花のサクラソウ、県サッカー発祥の象徴である鳳翔閣、菱形があしらわれている。

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