一人の高校生が市内の子ども食堂へ「たかたのゆめ」を寄贈
たとえそう思っても、経済的なことを考えるとなかなか行動に移すのは簡単ではない。しかし、実際に子ども食堂を支援している方々には、決してブレることのない信念と、勇気ある行動力が実現へとつながることを改めて感じさせられる。今回取材したのは、当時高校生だった斎藤愛桜さん。彼女がクラウドファンディングで資金を集め、支援を実現させたというエピソードからも同様の思いが込み上げてきた。
子どもたちを助けたい
「小学校6年生のとき、家庭科の授業で、食べ物がない子どもや孤食の子どもたちがたくさんいること、そして子ども食堂の活動について知りました。私は小さい頃から保育士や幼稚園教諭になることを夢見ていたので、自分も何か助けになる活動に参加できないかと考えていました。そこで今回、クラウドファンディングを立ち上げることに決めました」
目標金額は10万円。立ち上げてすぐにお金が集まるわけではなく、文化祭でのプレゼンテーションなどを通じて、自分の思いを誠実に伝え続けた。その姿勢に共感した先生や友人、の協力もあり、最終的には17万円が集まり、目標を達成した。では、集まった寄付金はどのように使われたのだろうか。
斎藤さんには、被災地で生産された復興米を購入し、それを子ども食堂に寄贈するという明確なプランがあった。しかし高校生の自分だけでは、困っている子ども食堂やお米不足の中で米を購入するのは簡単ではない。そこで、「かわさきこども食堂ネットワーク」にある相談をした。
復興米「たかたのゆめ」の寄贈
「子ども食堂は毎年増えており運営形態や各子ども食堂等の課題も多様化しております。共通した課題の筆頭は運営資金の調達です。特に任意団体が運営している子ども食堂は苦慮しております。斎藤様と具体的に寄付する子ども食堂の相談をいたしましたところ、ぜひ任意団体の子ども食堂を中心に提供したいとのご意向を踏まえ、市内8か所の子ども食堂を選んでいただきました」
「またお米の購入は昨年の秋以降からお米の価格の高騰と入手に困難を極め、どこで購入したら良いのかと悩んでおりました。当法人は2022年より川崎フロンターレ様より、地域社会貢献の一環としてご支援をいただいてるご縁があり、早速ご相談いたしました。同クラブでは陸前高田市への継続した復興支援をされておられ、同市のブランド米『たかたのゆめ』が最適ではないかとのご助言と購入先のご紹介などに多大なご協力をいただきました。改めて、お米不足と言われているこの時期に、220キロのお米の購入にご協力くださり心より感謝申し上げます」
「このプロジェクトは、被災地の復興に貢献し、地域の子どもたちに食の支援を届けるという思いから立ち上げました。クラウドファンディングを通じて、多くの方々から共感と支援をいただき、川崎フロンターレの協力も得られたおかげで、東日本大震災の被災地である岩手県陸前高田市のブランド米『たかたのゆめ』を購入し、子ども食堂の開催を支えることができました。高校時代の在校生たちが、地域のボランティア活動で集めたお金を寄付してくれたことにも心から感謝しています」(斎藤さん)
すでに「たかたのゆめ」は子ども食堂に寄贈され、子どもたちは「おいしい!」と笑顔で食事を楽しんでいるという。斎藤さんの行動には、フロンターレの吉田社長、かわさきこども食堂ネットワーク理事長の佐藤さんが感銘を受けていた。
「このプロジェクトを立ち上げ、実現に導いてくれた斎藤さんに心からの敬意を表します。そして、川崎フロンターレがその力になれたことに感謝しています。高校生という立場で、子どもたちの未来のために自ら行動を起こし、さらに復興米という広い視点で取り組まれた情熱と行動力に、私自身も感銘を受けました。川崎フロンターレとしても、志のある若い力とつながることを大切にしていきたいと思っています」(吉田社長)
「高校生がクラウドファンディングで資金を調達したご寄付をいただきましたのは当法人としては初めてのケースであり、全国的に見てもとても少ない事例だと思っております。昨年秋に当時高校3年生でおられた斎藤様よりご相談をいただき、大変嬉しく思ったのと同時に、行動力のある方がおられるのだととても驚いたことを思い出します。社会課題への取り組みが素晴らしいなと感心しました」(佐藤さん)
斎藤さんは今春から大学に進学し、以前から関心のあった児童福祉についてさらに学びを深めている。今回のクラウドファンディングを通じて感じたことについて、次のように話している。
明るい未来を作るのは若い世代。その手助けをするのが大人の役割であり、両者が手を取り合うことで素晴らしい活動が生まれると証明したプロジェクトでもあった。
(高澤真輝)
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