【週刊グランドスラム300】トヨタ自動車が岡山大会優勝!! 最高殊勲選手賞の増居翔太は圧倒的な成績を残せるか

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岡山大会で最高殊勲選手賞を手にした増居翔太(トヨタ自動車)は、すでに今季4勝を挙げている。 【写真=横尾弘一】

 4月14日から5日間にわたって開催された第67回岡山大会は、トヨタ自動車が8大会ぶり2回目の優勝を果たし、日本選手権には21大会連続24回目の出場を決めた。大会最多となる8回目のダイヤモンド旗を狙う権利を得たわけだが、最高殊勲選手賞は3年目の左腕・増居翔太が手にした。リーグ戦第1戦でツネイシブルーパイレーツを相手に5回を2失点でまとめると、昨夏の都市対抗二回戦で苦杯を喫した三菱重工Westとの準決勝は7回を1失点。抜群の安定感で先発の柱となっている。
 増居は滋賀県有数の進学校・彦根東高2年秋に県大会3位で近畿大会へ進み、一回戦で明石商高に4対3と競り勝つ。準々決勝では滋賀王者の近江高に3対4で惜敗したが、翌春の甲子園に選抜され、朝日晴人(現・三菱重工West)らとともに聖地の土を踏む。そして、一回戦で慶應義塾高の生井惇己(現・日立製作所)に4対3で投げ勝ち、二回戦では花巻東高を9回までノーヒットに抑える。味方の打線も得点できず、延長10回裏に初安打から1点を奪われてサヨナラ負けしたが、慶應義塾大へ進学すると4年間で17勝2敗と目立つ実績を収め、2023年にトヨタ自動車へ入社した。
 3月の東京スポニチ大会から登板機会を得ると、都市対抗東海二次予選ではヤマハとの第一代表決定戦に先発し、6回まで1失点の好投で出場権獲得に貢献する。ただ、同じ左腕の森田駿哉(現・巨人)をHonda鈴鹿から補強したこともあり、2回目の黒獅子旗を手にした東京ドームでは登板なし。それでも、「嘉陽宗一郎さんら、先輩の投球を見ているとレベルが数段上。ただ、この環境で競争していけば、自分もチームもレベルアップにつながる」と語り、フィジカルの強化にも積極的に取り組んだ。
 すると、松本健吾が東京ヤクルト入りした昨年は、九州大会で最高殊勲選手賞に選出されるなど嘉陽に次ぐ先発を担い、都市対抗でも二回戦で先発を任される。ただ、6回まで2失点と力投するも、マウンドを譲った7回表に一挙7点を奪われ、連覇を達成することはできなかった。

着実に力をつけて3年目はエースに

 だが、日本選手権で一回戦の先発を託され、6回まで1失点の好投で日本製紙石巻を下すと、二回戦は嘉陽からの継投でNTT東日本を破り、準々決勝で再び先発。西部ガスを散発4安打に抑えて完封し、決勝ではHondaに7安打されながら要所を踏ん張って2試合連続完封。住友金属に並ぶ7回目優勝の原動力となり、最高殊勲選手賞に選ばれる。
 そうして迎えた3年目の今季は、エースの期待に応える投球を続けている。静岡大会はリーグ戦第1戦に先発し、NTT西日本を7回まで3安打無失点。準決勝ではヤマハと対戦し、6回表に満塁弾を食らったものの、5回までは4安打無失点でしっかり試合を作った。惜しくも決勝で敗れたが、敢闘賞を手にして岡山大会に臨み、今度は優勝して最高殊勲選手賞だ。チームを勝たせる投球は、見事のひと言に尽きる。
 すっかりエースの風格も漂う増居には、都市対抗や日本選手権での優勝とともに、個人成績でも目立つ数字が期待される。すでに静岡、岡山大会で4勝を挙げており、6~7勝が当確ラインの年間最多勝利投手では有力候補になる。ちなみに、大先輩の佐竹功年(現・副部長)は2016年に8勝で同タイトルを手にしており、これまでの最多は2010年に濱野雅慎(JR九州)がマークした10勝である。だが、今季の増居なら、十分に狙える数字だろう。トヨタ自動車の粘り強い戦いぶりとともに、投手陣を牽引する増居のさらなる活躍も楽しみだ。
【取材・文=横尾弘一】

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著者プロフィール

1949年に設立した社会人野球を統轄する(公財)日本野球連盟の公式アカウントです。全国の企業、クラブチームが所属し、中学硬式や女子野球の団体も加盟しています。1993年から刊行している社会人野球オフィシャル・ガイド『グランドスラム』の編集部と連携し、都市対抗野球大会をはじめ、社会人野球の魅力や様々な情報を、毎週金曜日に更新する『週刊グランドスラム』などでお届けします。

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