【週刊グランドスラム299】JR東海の山澤太陽は静岡大会新人賞!! ロケットスタートを切った社会人のルーキーたち

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社会人でも高い実力を発揮するルーキーたち。左は静岡大会で新人賞の山澤太陽(JR東海)、右はJFE西日本の四国大会初優勝に貢献した長野健大。 【写真=横尾弘一】

 4月になり、日本選手権対象のJABA大会が続々と開催されている。第50回記念の日本選手権への出場権をいち早く勝ち取ろうと、すべての出場チームが優勝を目指して熱い戦いを繰り広げている。
 4月2日に静岡大会、4月4日には四国大会が徳島県で幕を開け、静岡大会が雨天で2日順延されたため、4月8日は両大会で準決勝と決勝が行なわれた。地元のヤマハをはじめ、JR東海、トヨタ自動車、東海理化と東海勢が4強を占めた静岡大会は、JR東海が11大会ぶり2回目の優勝。四国大会はJFE西日本が初制覇した。
 毎年この時期は、入社したばかりのルーキーがどんなパフォーマンスを見せてくれるか楽しみだが、JR東海でもJFE西日本でもルーキーが勝利に貢献した。
 新人賞を設けている静岡大会では、JR東海の山澤太陽が一生に一度の栄誉を手にした。山澤は啓新高2年春に六番ショートで甲子園へ出場し、1安打1得点の活躍で森 敬斗(現・横浜DeNA)を擁する桐蔭学園高から勝利を挙げる。富士大でも攻守を磨き上げ、4年時には育成を含めて6名をプロへ輩出したチームで主将を務めた。
 今春、JR東海へ入社すると3月下旬の東海地区春季大会で二番を任され、4試合で2安打をマークし、19打数8安打の打率.421で優勝に貢献する。この大会では、リードオフを山澤と同期入社した外野手の下山滉太(大阪経済大出)が務めたが、4試合とも無安打と社会人の洗礼を浴び、静岡大会ではスタメンを外れる。
 代わりに主将の吉田有輝が一番に入ったが、山澤は自身の役割をしっかりと果たし、15打数5安打の打率.333に加えて準決勝、決勝とも2得点を挙げて実力の高さをアピールした。そうした活躍が認められて新人賞を獲得。3年ぶりの都市対抗出場を目指すチームにとっては、願ってもない戦力になっている。

JFE西日本の投手層を厚くする二枚のルーキー右腕

 広島県の春季大会にあたる第72回松本瀧蔵旗争奪兼第60回三浦芳郎旗争奪野球大会を制し、四国大会に乗り込んだJFE西日本は、リーグ戦第1戦でルーキーの長野健大が先発した。古豪の松商学園高から天理大へ進み、4年春には大学選手権で2勝を挙げて4強入り、秋のリーグ戦では5勝0敗で最優秀選手賞、最優秀投手賞、ベストナインを独占した184cmの長身右腕は、NTT東日本を相手に真っ向勝負。
 1回裏に一死一、三塁、2回裏には一死三塁のピンチを切り抜け、7回まで102球、3失点の力投を見せる。打線がNTT東日本の4人の継投に4安打完封され、初先発で黒星を喫したものの、チームが徳島インディゴソックスとJR九州に連勝して準決勝に進むと、Honda熊本との準決勝では3対3の7回裏二死一、二塁のピンチでリリーフ登板し、強気の投球で勝ち越しを許さない。その後、タイブレークの延長10回に3点を挙げて決勝に進出する。
 そして、決勝では東芝から2点のリードを奪い、先発の筒井恒匡が7回まで2安打無失点に抑えると、8回からはもうひとりのルーキー・本田眞也がマウンドに登る。神奈川大2年春に、先輩の土井克也とバッテリーを組み、最優秀投手賞に輝く活躍で大学選手権でも先発した右腕は、2回を1四球で東芝の反撃を許さず、ルーキーながら胴上げ投手となる。リーグ戦でも好リリーフを見せており、長野とともにこれ以上ないスタートを切った。
 JFE西日本は、昨年の日本選手権でサブマリンエースの津山裕希、左腕の西野知輝、大石将斗、筒井と4人が先発を務めてベスト4に進出した。ここに長野や本田が加われば、投手層はさらに厚みを増し、悲願の都市対抗優勝にも近づくだろう。
 このように、高3時にコロナ禍を経験しながら、大学で着実に力をつけたルーキーたちが、社会人でも挨拶代わりの活躍を見せている。そうして、4月は岡山大会、日立市長杯大会、京都大会、長野県知事旗大会と日本選手権をかけた熱戦が続く。
【取材・文=横尾弘一】

【写真名鑑のカラー掲載は52チームです】

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著者プロフィール

1949年に設立した社会人野球を統轄する(公財)日本野球連盟の公式アカウントです。全国の企業、クラブチームが所属し、中学硬式や女子野球の団体も加盟しています。1993年から刊行している社会人野球オフィシャル・ガイド『グランドスラム』の編集部と連携し、都市対抗野球大会をはじめ、社会人野球の魅力や様々な情報を、毎週金曜日に更新する『週刊グランドスラム』などでお届けします。

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