ロサンゼルスへスタート! パラカヌー日本代表選手選考会で優勝したエースとニューカマー
国際大会に出場する日本代表選手を選考する今大会には、21人の選手が出場。カヤックとヴァーともに一発決勝で争われた。
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エースの瀬立、ロサンゼルスに向けて再スタート
「(練習の疲労が抜けず)体が重かった」
タイムは1分01秒237。目標から4秒程度遅れてフィニッシュ。日本代表「A」の基準となる「前回世界選手権8位入賞タイム」に届かず、代表の種別は「B」に甘んじた。
「今年は失敗を恐れずに変化を持たせる1年にしたい、ということもあり、そのひとつとして、ヴァーにも挑戦している。私は右のストロークが苦手なんですけど、右のストロークの精度を高めるためにやろうかなと思いつきました」
ベテランの域に入った瀬立。
「今年は8月の世界選手権(イタリア)でパリ以上の成績を出すことが目標。ロサンゼルスに向けては、1年1年を積み重ねるイメージで、しっかり結果を出していきたい」と語った。
なお、パリパラリンピックに出場した髙木裕太と宮嶋志帆もそれぞれカヤックとヴァーで優勝した。
ホームの利を活かして初優勝! 初代表を手にした林
約5年前に交通事故で片足のひざ下から切断。未来のオリンピック・パラリンピックを目指すタレント発掘事業「J-STARプロジェクト」でパラスポーツに出会い、2022年にカヌーを始めた。普段はレースが行われた府中湖で練習しており、カヤックが専門。この大会で2大会連続3位だった林だが、今年は違った。
「最近になってリズムを掴んだ感覚があった。今回は、自信がありました」
優勝に笑顔を見せた林。タイムは54秒580で、大会後、正式に日本代表に決定した。
「レベルは高いけれどあきらめたくない。動画で見ると、体格も技術も自分は劣っているし、実力的にまだまだだと思うが、まずは世界のレベルを肌で感じたいです」
学生時代は、サッカーの強豪校でひたすらボールを追いかけて過ごした。そんな林は今、爽快感のある水上の短距離レースにハマっている。
「水上で艇に乗り、パドルを漕ぐ。カヌーは体一つで競技を行うのではなく、たくさんの道具を使うから、コツが必要になってくる。そのコツを試行錯誤しながら探すと、毎回新しいことを発見することができる。そこに楽しさを感じています」
これまで世界の情報を人伝に聞いて用具の改良に取り組んでいたという林は、世界でさまざまな刺激を受けた後、自分に合った用具作りを追い求めていくことになることだろう。自ら感じているという、道具を使うスポーツの可能性を広げることができるか。
2025年度の海外レースが楽しみだ。
カヌーは、愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会で実施されない。そのため、日本代表選手が目指す、次の大きな舞台がロサンゼルスで開催されるパラリンピックになる。
2028年に日本代表になるのは誰か。そして、ベテラン、新鋭はパラリンピックの舞台で輝けるのか。その過程とともに見守りたい。
text by Asuka Senaga
photo by X-1
※本記事はパラサポWEBに2025年4月に公開されたものです。
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