【スキー】アルペンスキーW杯最終戦終了 シーズンの振り返りと来季に向けて ー日本女子チーム編ー

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【スキー】アルペンスキーW杯最終戦終了 シーズンの振り返りと来季に向けて ー日本女子チーム編ー

今季最後のW杯出場となった3月9日スウェーデン・オーレ、安藤麻選手は26位で前戦セストリエール30位に続き順位を記録し、W杯ポイントを獲得しました 【写真/Giovanni Auletta】

昨年10月26日に開幕したW杯は、2月にザールバッハ世界選手権をはさみ、男子37レース、女子34レースを戦い、3月27日にアメリカ・サンバレーでの最終戦で幕を閉じました。
男子はマルコ・オーダマットが総合4連覇に加え、滑降、スーパーG、GSの出場種目総なめの「四冠」、SLはヘンリック・クリストッファーセンが3年ぶり4度目の種目別タイトルを獲得しました。

獲得したクリスタルグローブを並べての記念撮影、オーダマットはGSのクリスタルグローブを放り投げ、キャッチするときに自分の首から下げたメダルに当てて底を割ってしまいました 【写真/Gabriele Facciotti】

女子はフェデリカ・ブリニョーネが5年ぶり2度目の総合優勝と滑降、GSの種目別タイトル、ララ・グート・ベラミがスーパーG種目別3連覇、ズリンカ・ルツティックが初のSLタイトルを獲得しました。

【写真/Giovanni Auletta】

「SNOW JAPAN」日本女子チームは安藤麻(日清医療食品)選手がW杯SL種目別51位、総合111位の結果で終え、2月のザールバッハ世界選手権は24位、渡邉愛蓮(東海大学)選手が25位の結果を残しました。
昨年正月の左足首骨折からの回復が遅れ、11月フィンランド・レビでのW杯スラローム(SL)初戦にはコンディション調整が間に合わなかった安藤麻選手、11月末のキリントンSLからの出場を模索していましたが、W杯で戦うレベルの練習が不足していたため、12月の中国からレースに出
場し、2戦とも優勝。
23.00のFISポイントを獲得するところからのスタートで、W杯参戦は自身1年ぶりの年末オーストリア・センメリング(W杯SL第4戦)からでした。
年が明けての2戦目、オーストリア・フラッハウで60番スタートから今季初の2本目進出を果たすも、2本目前半でポールに入りきれずコースアウト、結果は残念なものでしたが、
「フラッハウで少し自信がついた」と工藤昌巳チーフコーチは「上昇」へのステップを感じていました。
その後1月末のフランス・クーシュベルSL第7戦をスキップして、韓国でのファーイーストカップ(FEC)で3連勝、15.25と15.00 のFISポイントを取り、それが世界選手権後のW杯の成績にもつながりました。(第8戦セストリエール30位、第9戦オーレ26位、共に36番スタート)今季は世界選手権、W杯5戦、ヨーロッパカップ(EC)6戦を含む23レースに出場した安藤麻選手ですが、「FISポイントとW杯の成績がリンクして、いいモチベーション(を保ったまま)でシーズンを終えることができました」と、工藤昌巳チーフコーチは来季への手応えを感じています。

シーズン終盤、国内では他を圧倒する滑りをみせた前田知沙樹選手、来季のW杯は30番台前半で のスタートとなり、悲願の2本目進出に期待は高まります 【写真/田中慎一郎】

その日本チームの「エース」、安藤麻選手の背中を追う前田知沙樹(株式会社村瀬組)選手は、世界選手権、W杯6戦に出場するも、2本目進出はなりませんでした。
工藤昌巳チーフコーチは、
「グルグルとクラニスカ・ゴラ(のW杯)は良い滑りをしてくれました(1本目37位と32位)。自分の実力を出し切ることができれば、チャンスはあります。 ECではスタート順は良かったものの、上位に行けなかったのが反省点です。1月のECで転倒、脳震盪で帰国するアクシデントもあり、(腰を据えて臨めたとは言えない)不安定なシーズンでしたが、(シーズン終盤に)FISポイント15.00を獲得して来季W杯のスタート順30番台前半を確保したことは評価できると思います。」

シーズン終盤に初の全日本選手権SLタイトルを獲得。FECの総合とSLのタイトルも手中にし、来季W杯出場権も確保した渡邉愛蓮選手 【写真/田中慎一郎】

今季は世界選手権、W杯3戦に出場した渡邉愛蓮(東海大学)選手は、ザールバッハ世界選手権25位の成績を残しましたが、W杯2本目進出はならず、目標としていたユニバーシアードでの表彰台もかないませんでした。
工藤昌巳チーフコーチは、「(渡邉選手は)まだヨーロッパで力を発揮するための経験ができていません。彼女のステップアップに必要なヨーロッパカップを中心としたレース転戦を行いながら育成していく態勢を作ることができず、いいパフーマンスを発揮するための活動ができなかったシーズンでした」と反省を語ってくれました。
今季は主にイタリアのポッツァをベースに練習を積んだ日本女子チーム、カナダ、イタリア、アルバニアのララ・クルットーリらとの合同練習を行いました。
来季も安藤麻、前田知沙樹、渡邉愛蓮選手を中心に「WCスターティングリスト30番以内に入ることと、ファイナル進出を目標にする日本女子チームですが、目標達成のためにはチームトップ選手のレベル引き上げが必要なのは言うまでもありません。
ボトムアップももちろん重要ですが、それを主眼に置くのではなく「強い人はどんどん上を目指していかないといけない、『平たい強化』だけではトップクラスの選手は生まれない」と、工藤昌巳チーフコーチは力を込めます。

今季、W杯グルグルSL2位、クラニスカ・ゴラGS2位、オーレGS3位と3度の表彰台、総合8位、種目別GS5位、SL10位のララ・クルットーリ(18歳)は、セルデン開幕戦前に90から100日の雪上滑走をこなしてシーズンを迎えるそうで、そのような他国選手との練習量の違いも、日本チームにとっては克服していかなければならない課題の一つです。
「W杯開幕戦前までに、(現実的に)最低でも50日間の雪上滑走が必要と考えています」と話す工藤昌巳チーフコーチ、来季のW杯、オリンピックへの準備はもうすでに始まっています。

今季はW杯4レース出場、FEC GSのタイトルも獲得した石橋未樹選手、写真はW杯デビューの地でもあるクロンプラッツ、今季の滑り。 【写真/Giovanni Auletta】

また、女子チームではただ一人、W杯のGSに石橋未樹(ガスワンスキーチーム)選手が出場、セルデン、センメリング、クラニスカ・ゴラ、クロンプラッツと4戦を戦いました。加えてFECのGSチャンピオンとなり、日本チームの「GS第一人者」としての存在も示しました。
2020年12月、安藤麻選手がフランス・クーシュベルで22位を記録して以来、W杯GSで順位のない日本女子チーム、SLだけでなく、GSの強化も急務です。

文:田中慎一郎
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著者プロフィール

公益財団法人全日本スキー連盟は、日本におけるスキー・スノーボード競技を統括すると同時に、普及・振興の役割も担う競技団体。設立は1925年、2025年には設立100周年を迎える。スキージャンプ、ノルディック複合、クロスカントリー、アルペン、フリースタイル、スノーボードの6競技において、世界で戦う選手たち「SNOW JAPAN」の情報や、FIS(国際スキー・スノーボード連盟)ワールドカップなどの大会情報をお届けします。

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