古馬重賞並みのタイムを持った牝馬が高知から参戦!ドライブアウェイ、距離延長を克服するか/佐賀・ル・プランタン賞データ分析

佐賀県競馬組合
チーム・協会

2024年優勝グラインドアウト 【撮影:佐賀県競馬組合】

第24回 ル・プランタン賞 (地方全国交流、3歳牝馬、ダート1800m)
4月6日佐賀4レース 18時05分発走予定


3歳牝馬同士による一戦。古馬重賞並みのタイムでネクストスター高知を制したドライブアウェイは当初の予定では2週間前のネクストスター西日本に出走予定だったが、フレグモーネのため予定を延期してここへの参戦となった。
距離は1400mの予定から1800mに延長。初距離がどう出るか。
ここでは2015年~24年の過去10回のデータを元に分析する。

※2020年は2着同着

高知は連対率8割超え

地元佐賀が6勝を挙げる。遠征馬では兵庫が2勝。また、高知は5頭が出走し1勝、2着3回と連対率80%を誇る。これは「所属馬のレベルが上がった」と言われる近年に限った成績ではなく、15年プリンセスボーラーや19年ナンヨーオボロヅキも2着に入っていた。
今年の遠征馬は兵庫、高知、笠松からで、笠松は15年3着フェードロワが唯一の馬券圏内だった。

所属別成績 【表1】

1番人気5連勝中で、近年は堅い決着に

5年連続で1番人気が勝利中。16年~18年は3連単4万円超えの年が続いたが、以降は4000円未満の堅い配当が続いている。21年~23年は人気順に決まり、昨年も1番人気→3番人気→4番人気の順で、人気決着となるのが最近の傾向だ。

単勝人気別成績 【表2】

単勝1倍台×逃げ=連対率100%

小回りコースではあるが、逃げは2勝。15年ユズチャンと20年ミスカゴシマでいずれも単勝1倍台の人気に支持されていた。なお、単勝1倍台に推された馬は過去10年で6頭。うち4頭が勝利を挙げ、内訳は逃げ2頭、先行1頭、差し1頭だった。残る2頭は逃げて2着と、差し届かず5着。単勝1倍台で逃げれば連対率100%ということになる。

脚質別成績 【表3】

3~4番、8番より外枠が好成績

舞台となる佐賀ダート1800mは向正面に入ったところからスタートしてコーナー6回、1周半をするコース。スタートから最初のコーナーまでは距離があまりない。

佐賀競馬場 【コース図】

馬番別成績は下表の通り。当レースでの勝率(青棒)では外枠にいくにつれて好成績だったのに対し、昨年一年を通した同舞台勝率(オレンジ棒)は3~4番と8番、11番が好成績だった。ただ、昨年一年間で同舞台のダート1800mが行われたのは27戦のみ。いずれもサンプル数が多くはないが、これらを合わせて考えると、3~4番と8番より外枠が比較的成績がいいと言えそうだ。

馬番別成績 【表4】

単勝6倍以下の大型馬

馬体重別の成績は下表の通り。最近は地方競馬でもある程度馬格のある馬も増えてきたが、当レースでは400kg台前半の馬が最多の6勝を挙げる。
好走率の点ではサンプルが少ないものの、500kg台の大型馬がやはり好成績。22年ケウ(川崎)が583kgの超大型馬ながら外枠を上手く生かして小回りコースを克服して勝ったのを筆頭に、23年2着ミヤノウッドリー、24年3着ザビッグレディーと3着内率100%。いずれも単勝6倍以下という共通点もあった。

馬体重別成績 【表5】

“映える馬”が好走!?

サラブレッドは鹿毛が最も多く、勝利数も自ずと鹿毛が多くなりがちなのだが、当レースはなぜが栗毛の好走が多い。次点は黒鹿毛で、主流の鹿毛は過去10回で2勝。栗毛や黒っぽい毛色の馬は毛ヅヤが良く見えやすいが、パドックでそういった馬を積極的に狙うのも一手かもしれない。

毛色別成績 【表6】

同舞台の花吹雪賞勝ち馬は2頭に1頭、ここも勝利

キャリア別で好成績は花吹雪賞勝ち馬。花吹雪賞は佐賀・高知交流の3歳牝馬重賞で、今回と同じ1800m戦だ。今回はそこに兵庫など他地区の遠征馬がさらに加わることになるが、コース実績もある花吹雪賞勝ち馬が3着内率88.9%を誇る。
当レース過去10回で2勝を挙げる兵庫所属馬はいずれも重賞で2着以内の実績があった。ただし今年、兵庫からの遠征馬はこれが重賞初出走。そこがどう出るか。

キャリア別成績 【表7】

好タイムの高知馬の無双が続くか

今年の出走馬で最も注目を集めるのはドライブアウェイ(高知)。昨秋、ネクストスター高知を勝った時のタイムが古馬重賞と遜色なく、2歳ながら超絶タイムを叩き出した。
2週前に佐賀競馬場で行われたネクストスター西日本を勝ったジュゲムーンも地元・高知でズバ抜けた勝ちタイムを出して注目を集めた馬。JRA馬に混じり全日本2歳優駿5着などかねてより実績はあったが、良馬場1400mで1分30秒2で勝った。2着が元JRAオープン馬のピンシャンだというのも去ることながら、このタイムは22年にイグナイターが良馬場の黒船賞を勝った時より0秒1速いもの。その時計を裏付けるように、ジュゲムーンはネクストスター西日本も快勝した。
ジュゲムーンの持ちタイムを物差しにするなら、ドライブアウェイも勝利の可能性は高まる。

持ちタイム別成績 【表8】

データからの推奨馬は?

①1番人気
②単勝1倍台の逃げ馬
③3番~4番、8番より外
④400kg台前半
⑤500kg超えで単勝6倍以下
⑥花吹雪賞勝ち馬

中心は何と言ってもドライブアウェイ(高知)
昨秋のネクストスター高知の勝ちタイムが2歳馬としては破格で、古馬重賞でも通用するタイムだった。
その後の金の鞍賞はゲート内でチャカつき、出遅れて初めて砂を被ったり揉まれたことが敗因。仕切り直しの一戦となった兵庫クイーンセレクションでは3番手外の砂を被らない位置から運ぶと大差勝ちを決めたように、砂を被らず前で自分のリズムで走れれば底知れぬ強さを秘めている。
内目の2番枠が当たったが、近くの枠に序盤から前に行きそうな馬は見当たらず、枠は問題ないだろう。
あとは1800mという長めの距離がどうか。ピリピリした面のある牝馬なだけに、唯一の不安点は距離だが、2走前からレース前の装鞍に工夫を施すようになった。
このメンバーなら地力の違いで克服しそう。
①②④に当てはまる。

好走馬続出の⑥からはプレミアムカインド
花吹雪賞ではこれまでと変わらず前半はゆっくり最後方から運んだが、向正面から1頭次元の違う末脚を繰り出して一気に先頭まで並びかけた。
早くから動き始めたが、直線での接戦でも脚色は衰えず、クビ差で重賞初制覇を果たした。
③⑥に加えて、前走が493kgなことから⑤に該当する可能性もある。

プチプラージュ(笠松)は門別所属だった2歳時に金沢シンデレラカップで重賞制覇。
所属は異なるが、「兵庫所属で重賞2着以内」だと3着内率62.5%というデータに準ずる部分がある。
馬体重がもう少し増えた方が力が発揮できそうな雰囲気で、当日のパドックで馬体重の増減や毛ヅヤにも注目したい。
③④に当てはまる。

地元で重賞勝ちのあるハクアイアシストは③に該当。
オモチチャン(兵庫)は当日の人気次第で⑤に当てはまる可能性がある。好成績の兵庫所属馬だが、重賞初出走でどこまでやれるか。③にも当てはまる。

なお、スイートアマレットには前日にデビューを迎えたばかりの長谷川蓮騎手が騎乗予定。
自厩舎の馬で重賞初騎乗を早速迎える。

第24回 ル・プランタン賞 【出馬表】


文・大恵陽子(おおえ ようこ)
競馬リポーター。小学5年生で競馬にハマり、地方競馬とJRAの二刀流。毎週水曜日は栗東トレセンで、他の日は地方競馬の取材で全国を駆け回る日々。グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」「地方競馬中継」などに出演のほか、「優駿」「週刊競馬ブック」「うまレター」「馬事通信」など各種媒体で執筆。
「大恵総合研究所」なるデータ分析機関を勝手に設立し、現場取材で得た騎手・調教師などの談話をヒントに、馬場傾向やレース傾向を導き出して精度向上に励む。
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著者プロフィール

佐賀競馬は九州唯一の地方競馬場として主に土日に競馬を開催しています。注目の重賞情報やイベント情報など、佐賀競馬のニュースを日々お届けいたします。

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