【週刊グランドスラム297】『グランドスラム65』の表紙はなぜ選手の目線がないのか!?
社会人野球総合情報誌『グランドスラム65』が、第71回静岡大会が幕を開ける4月2日に刊行された。
今号の表紙は、矢野幸耶(三菱重工East)、逢澤崚介(トヨタ自動車)、添田真海(日本通運)、網谷圭将(ヤマハ)とトップクラスの野手が顔を揃えた。ただ、プレー中のシーンを切り取った写真ならともかく、スタジオ撮影なのに4人とも目線が正面(読者)を向いていない。
1993年に『グランドスラム』が創刊した大きな理由のひとつは、Jリーグの発足だった。社会人野球と同じように、企業のサッカー部によって運営されていた日本サッカー・リーグがプロ化してJリーグになると爆発的な人気を集め、他の競技にもプロ化によるレベルアップという流れを作った。そんな中で、すでにプロが歴史を重ねている野球界において、社会人のさらなる普及と発展を実現するために情報を発信する媒体が求められたのだ。
当時の社会人野球は加盟企業の社員を中心に、筋金入り、玄人はだしの男性ファンが多かった。そこで、女性や若年層にも楽しんでもらえるようにと、選手たちのカッコよさを前面に出す編集方針で進められた。
だからこそ、編集スタッフが強く意識したのは、いかに選手の顔と氏名を覚えてもらうかということ。従って、掲載する写真も顔がはっきり見えるものを選び、それまでになかったスタジオ撮影で新たな魅力を引き出そうとした。
そうして、次第にファンから認知されるようになった時、次のステップとしてチャレンジしたのが“顔の見えない写真”の掲載だった。
誰もが知る存在というステイタス
そんな見方が大半を占めた写真を掲載すると、読者からも「社会人野球でこういう写真は斬新」と多くの反応があり、そこから『グランドスラム』では“顔の見えない写真”=トップスターのステイタスという方程式が生まれた。
その後は、編集部でも社会人のトップスターと言っていい選手に限って、顔は見えないけれど、その選手だとわかる写真を掲載してきた。今号の表紙では、そうしたコンセプトをさらに強く押し出そうとモデルになっていただく選手を厳選。最終的には、都市対抗や日本選手権に加えて、日本代表でも大活躍が期待される4人に満場一致で決定した。そして、撮影現場でも感じられた4人の一体感を表現するため、目線を選手同士に向けたのだ。
2025年シーズンも、観戦のお供にしていただければ幸いだ。
【文=横尾弘一】
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