ロサンゼルスの新競技!パラクライミングに挑戦する他競技のパラリンピアン
国際大会に派遣される日本代表が決定
悪天候により、16日に予定されていた決勝ラウンドが中止になり、競技は予選(2ルート)が実施されることになった。15日の予選も2本目の途中で競技打ち切りとなったが、翌日に日本代表が発表され、世界大会の実績などをもとに32人が名を連ねた。
パワーリフティングの西崎は堂々の2位
昨年8月にクライミングを始めて大会は2回目。今大会は惜しくも完登できず、悔しそうな表情を見せた。
「難しいけど、楽しいですね。始めて日が浅いので、登ってみてホールドの種類などを触って知っていっている過程。まだ自分でどこに進むか考えたり、途中で休んだりする余裕はないんですが、前回大会(3位)から順位を1つ上げることができて、両競技の相乗効果を感じます。今のところ、パワーリフティングの大会後にパラクライミングの大会という流れも問題はなさそうです。逆の順番になるとどうかわかりませんが……」
もともと東京2020パラリンピック出場を目指して陸上競技からパワーリフティングに転向した西崎だったが、リオは出場したものの、記録はなし。東京、パリは出場切符獲得には至らなかった。それでも応援してくれる所属企業や家族が競技を続ける原動力だと言い、パラリンピック出場は“恩返し”だと語る。ロサンゼルス大会でパラクライミングが新競技になるニュースを見て、パワーリフティングに活きるだろうと新たな挑戦を開始。歯車がうまく回り出している。
9月にパラクライミングの世界選手権、10月にパワーリフティングの世界選手権。両方に出場すれば、開拓者として注目を集めることになる。
「(レベルが上がっていけば)両方は無理だろうとは思う。でも可能性があるなら……」
そう控えめに語りつつ、充実感をのぞかせた。
ノルディックスキー&トライアスロンの佐藤は初挑戦
左手首から先がない佐藤は、左に移動しにくい1本目で苦戦したが、2本目は1本目を上回る高度を記録した。
そんな佐藤も、他競技への好影響を期待してパラクライミングを始めたという。2020年8月に左肩を骨折した影響で可動域が狭まったと感じたため、左腕の効率的なトレーニングはないか模索していたところ、トレーニングジムでクライミングを勧められた。
「最初は片手の選手は片手で登らなくてはいけないと思っていたけれど、(欠損している)左腕も使っていいのだとわかり、普段あまり使うことのない左手の筋力トレーニングにもなるし、挑戦し甲斐があるなと思いました。他の競技をやっているので、ベースとなる体力はあるかもしれないけど、指先を使う技術は全然まだまだ。足も関節を柔らかく使うなど課題がたくさんあるので、トレーニングして、またこの大会に戻ってきたいと思います」
夏冬パラリンピアン有安も出場
視覚障がいのある有安は、ローイングで東京パラリンピックに出場。その約半年後に、クロスカントリースキーで北京2022冬季パラリンピックに出場した。今シーズンも、ミラノ・コルティナ2026パラリンピック冬季競技大会に向けて海外を転戦していたが、ワールドカップ遠征中に佐藤から今大会について聞き、参加を決めたという。
「とても久しぶりにパラクライミングをしましたが、やっぱり楽しい! 今後はトレーニングに取り入れようかなと考えています。色々な人がパラクライミングを楽しんでいる大会に自分も参加できて感慨深いし、パラスポーツとして楽しむ1人のパラスポーツ選手として大会を盛り上げ、認知度を広めたい」と話した。
text by Asuka Senaga
photo by X-1
※本記事は2025年3月にパラサポWEBで公開されたものです。
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