惜敗も新たなホットラインを構築。チャンスをモノにした男が“ブースト”を掛ける存在へ
その差はわずかに2点。しかもラストプレーのペナルティゴールが決まっていれば、土壇場で釜石SWが逆転勝利するエキサイティングな試合状況だったが、無情にもキックは風に流され、ボールをつかんだ日野RDがタッチライン外に蹴り出してノーサイドとなった。
試合後、「ラストのペナルティゴールのような場面はワクワクと緊張が強くなっちゃうタイプ。ただ、(キッカーの)ハンティー(ミッチェル・ハント)がベストのプレーをしてくれれば、正直入るか入らないかはどちらでも良かった。勝敗に関してはその前の79分の間にもっとできることがあった」と振り返るのは釜石SWの村田オスカロイドだ。
自身を「ディフェンスの選手」と表現する村田は2016年に加入した古株の一人。一度オーストラリアに渡ったが、2022年に再び加入した。鋭いタックルを得意とするセンターは昨季のレギュラーシーズン10試合中6試合に先発出場したが、今季は前節が初出場となった。
「自信を失わないように、チャンスは来るからそこで良いプレーができるような準備を続けていました」
内心は別の感情もあったのかもしれないが、出番がない中でもメンタルをコントロールし、試合で爆発させた。特に目立ったのはアタックの貢献度。前節は阿部竜二の2トライをお膳立てし、今節はその阿部のパスから2トライをマークした。「今日トライしたとき、阿部とは『前節とは逆だね』っていう話もしました」と笑顔を見せ、「バックス陣は連係が取れています。特に阿部とは最近すごく合う」と相性の良さも口にする。阿部の能力を理解し、プレーを予測する。この2試合、“阿部-オスカライン”は結果を残し続けている。
自分を信じ、仲間を信じ、手繰り寄せたチャンスをしっかりとモノにする。“守備の人”というだけではなく、アタックでの貢献度を増して村田は先発に戻ってきた。チームが疲弊し、けが人も出やすくなるのがこれからの時期。連勝は逃したものの、頼もしいセンターの帰還は今後の釜石SWにブーストを掛ける原動力となるに違いない。
(髙橋拓磨)
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