初先発で初トライ。佐藤健次の『終わりなき戦い』

埼玉パナソニックワイルドナイツ 佐藤健次選手 【🄫ジャパンラグビー リーグワン】

1月に埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)へアーリーエントリーされた早稲田大学の佐藤健次が、第9節の三菱重工相模原ダイナボアーズ戦で初スタメンに抜擢された。

第7節の東芝ブレイブルーパス東京戦で後半終了間際に起用されて初キャップ、続く横浜キヤノンイーグルス戦でも途中出場で19分間プレーし、経験値を積んだ。そして迎えた今節は先発としてフィールドに飛び出した。昨季限りで同ポジションを務めた堀江翔太が引退し、坂手淳史キャプテンのバックアップ育成はチームのミッションだった。
ロビー・ディーンズ監督は「坂手選手にこれまで大きな負荷が掛かっていたので、この選択をした。ここがスタートラインだ」と佐藤を戦場へ送り出した。合流約1カ月でのスタメン起用は、期待の表れにほかならない。ホストスタジアムの大声援を受けてキックオフを迎えた佐藤は、開始直後の前半4分にモールでがっちりとボールを抱え込むと、その勢いとともに突進してリーグワン初トライ。「周りのサポートによってトライを決めることができたので、自分の喜びよりも感謝のほうが大きかったです」。初先発での初トライで“持っている男”ぶりを証明した。
佐藤のトライでモメンタムを生み出した埼玉WKは力強いアタックで得点を積み上げていった。佐藤はアタックでも鋭いステップを披露するとともに、素早い切り替えからボールキャリアーを追走するなど持ち前のスピードも披露。“走れるフッカー”の片鱗を見せた。佐藤は後半18分までプレーし、坂手と交代。チームは39対10で勝利した。

「少しは特長を見せられたかもしれないですが、甘さがあれば止められてしまいます。まだ足りない部分がたくさんあるので課題を改善してもっと高いレベルでプレーできるようになっていきたいです」大学時代から試合前のルーティンは、『Mr.Children』の『終わりなき旅』を聞くこと。試合直前のロッカールームで気持ちをぐっと高めてから、ピッチでのウォーミングアップへ出ていくという。
「(歌詞の)『高ければ高い壁のほうが登ったとき気持ちいいもんな』のところまで聞いてアップに出ていきます。いま高い壁に挑戦していますが、プレータイムが少しずつ延びてきて、新しい課題も見つかってすごく新鮮です。一歩一歩、成長していきたいです」日本ラグビー界の至宝・佐藤の『終わりなき戦い』は、ここから始まっていく。
(伊藤寿学)

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