中島啓太（なかじま・けいた）が、3日目も首位を死守した。
自身2度目の完全Vへ。
1打リードで最終ラウンドを迎える。

3日目最後の18番。

グリーン手前のラフから、パターで転がしても3メートル弱残したパーパットが、カップをくるりとなめてコトリ、と落ちた瞬間。

「ガッツポーズは勝手に出ました」。
大歓声で、聞こえなくなったが、たぶん何かを叫んでいた。

「全然覚えていない…すみません」と、苦笑したが、屈指のパー3でいつも沈着な選手が吠えるくらいのスーパーパーセーブ。

その前の17番パー5も、第3打がグリーンの奥のほうまで行ったが、寄せてワンパットパー。

ボギーは、セカンドで風を間違えた12番だけで、バーディは、10メートルを沈めた9番や、ラフから20ヤードを60度でチップインした13番など3つ。

「昨日よりスコアは出ませんでしたけど、しっかりグリーン乗せることができてあぶないところでも、タップインパーが獲れた」と、3日間のうち一番伸び悩んだ3日目の2アンダー「68」を評価し、「去年よりも自信を持って、グリーンを外しても、あまり焦らずできている」。

この日は、同じ最終組で競った南アのノリスが4打差から猛攻したが、結果抜かれはしなかった。
「（ノリスは）ほんとにたくさんパター入っているなと思いながら、みんな相乗効果でいいゴルフができていた。最終日ももう1回、同じペアリングで最終組を回れる」。

金谷拓実（かなや・たくみ）とは前後で組が離れた。

敬愛する２つ上の先輩。
2年連続で、賞金レースを繰り広げている。

賞金1位で金谷に追われる平田憲聖（ひらた・けんせい）は同学年だ。

「憲聖（けんせい）も仲良くて、金谷さんもお世話になっている先輩。そこには特に何も触れず、同じように『頑張って』『頑張ってください』と、言っただけです」。

しびれる2人の結果を見守りながら、自身も雪辱に全力を尽くす。

賞金王を決めて入ってきた昨年大会も、最終日を首位で迎えたが、同学年の蟬川泰果（せみかわ・たいが）に敗れて1差2位。

海外で揉まれて来たこの1年を締めくくるのにも絶好の機会が来た。

初日から首位を走る完全優勝は、今年3月の欧州「ヒーローインディアンオープン」では経験済みだが、国内でのアマプロ通算4勝ではまだ。

国内では初の偉業で、昨季賞金王の強さを改めて示す。

本大会で、出場義務試合数を満たす今季国内3試合目で、前回の出場は10月、地元開催の「日本オープン」で、2日目に首位に立ち、最終日を2打差の5位で出ながら、3ボギーと1ダブルボギーの「75」。

応援に駆け付けたたくさんの地元ファンにバーディをひとつも見せられなかったのが悔しくて、再び戻ってきた。
「明日もたくさん来てくれると思いますし、地元の友達やお世話になっている方、ファンの方々に、たくさんバーディをお見せしたい」。

声援を背に最終日の最終ホールも颯爽とトップで回り切る。