左を向いて一変 鈴木愛-40度の修正
【Photo:Hiromu Sasaki/Getty Images】
左向け-鈴木愛。最終日、首位から5打差を追いかけることになった。それでも、この日の最終ホールを目撃すれば、要注意のスタンプを押していい。
18番は、15番に続き、難度が2番目に高い。第2打はフェアウェイからとはいえ、残り195ヤード、7Wを選択。開幕前から風邪による体調不良に悩まされ、集中力が続かない状況だった。とはいえ、そのハンディーをカバーしたのは、11年連続11回目の出場という経験。苦笑しながら、「真剣にやっても、こんなスコアが出ませんよ。本当に難しいコース。今大会はオーバーパーの日がない。ある意味、力が抜け、プレーはそこそこでいいんだなぁと、考え直していたところです」と、解説する。グリーンをとらえたとはいえ、ピンからは6メートル。しかし、狙いすましたようにバーディーフィニッシュを決めた。
さすが、パッティングの名手。実は朝の練習で、こんなことに気がついた。「パッティングのアドレスで、右を見ていた…。視界が狭まって、ボールがフックの回転になってしまう。きのう、パッティングの調子が悪いなぁ、と思っていたらこれが原因でした」。しかも、40度近く首が右方向では、納得のいくプレーなどできはしない。ゴルフは超がつくほど、デリケートな競技。気がつかずにスタートしていたら大事だろう。
【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】
勝負の後半はいきなり大ピンチを迎えた。第2打が右バンカーに飛び込む。しかし、ピンを狙える状況ではなく、横に出しただけで、ボギーを覚悟。ただし、ラフからチップインに成功し、パーをセーブした。さらに、12番でもスコアを落としそうに。だが、12メートルを放り込み、事なきを得た。すごいプレーの連続で、これはもう、入場料をはらって見てもおつりがくる超人のテクニックだ。
「遠いところから、自分を客観的にみられるようになった。11年の蓄積でしょうか。それから、第1日からしっかりサポートしてくださった(キャディーの)宮崎さんのおかげです」。ベテランと呼ぶのは、まだ失礼かもしれないが、いぶし銀のテクニックが目に焼き付いた。最終日、スタート前の練習ではどんなことに気がつくのか-。
(青木 政司)
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