強打者としての完全開花。近藤健介は今季こそ三冠王に輝けるか
昨季に続いて、今季も三冠王の可能性をうかがわせる好成績を残している
今回は、近藤選手のこれまでの球歴に加えて、各種の指標に基づく選手としての特徴と、移籍前後におけるバッティングの変化を分析。本塁打王争いを繰り広げる選手に関する指標から、三冠王という偉業が達成される可能性について掘り下げていきたい。(記録は7月19日の試合終了時点)
パ・リーグ屈指の好打者として活躍し、移籍後は本塁打数も大きく増加
2017年には57試合の出場ながら打率.413という驚異的なハイアベレージを記録し、その高い打撃技術が大いに注目を集めた。翌2018年以降は6年間で5度の打率3割超えを記録し、2019年と2020年には2年連続で最高出塁率のタイトルを獲得。押しも押されもせぬ、リーグ屈指の好打者へと成長を遂げた。
北海道日本ハム時代はアベレージヒッターとしての趣が強かったが、2023年に福岡ソフトバンクへ移籍して以降は本塁打が飛躍的に増加。同年は26本塁打、87打点で本塁打王と打点王の2冠に輝き、自身3度目の最高出塁率も受賞。打率もリーグ2位の.303という数字を記録し、打者としてのさらなる進化を示している。
各種の指標においても、移籍後における長打力の向上が示されている
それに加えて、四球を三振で割って示す、打者の選球眼を示す指標である「BB/K」も、通算で1.053と非常に高い値を叩き出している。選球眼に関する指標がおしなべて優れている点からも、3度の最多出塁率に輝いた近藤選手の出塁能力の高さがうかがえよう。
一方で、北海道日本ハム時代の近藤選手はシーズン2桁本塁打を記録した回数が1度のみと、決して本塁打が多いタイプの打者ではなかった。この点は本塁打を1本放つのに必要な打席数を示す「AB/HR」という指標にも示されており、比較的この指標が高かった2021年と2022年においても、およそ40打席に1本程度の割合にとどまっていた。
しかし、福岡ソフトバンクに移籍した2023年にはAB/HRが18.92と大幅に改善し、前年までに比べて倍以上のペースで本塁打を記録していた。2024年は前年に比べるとやや数字を落としているものの、それでもAB/HRは22.31と、キャリア平均(44.97)を大きく上回る数字を記録している。
さらに、長打率の面でもキャリア平均の.453という数字に対し、2023年以降は2年続けて.500を超える値を記録。本塁打の増加によって長打率がこれまで以上に向上を見せている一方で、2023年にはキャリア最多タイとなる33本の二塁打を放つなど、中距離打者としての特性が維持されている点も特筆すべき要素だ。
そして、長打率から単打の影響を省いた、真の長打力を示す指標とされる「ISO」に関しても同様の傾向が見られる。キャリア通算のISOは.145で、2022年まではISOが.200を超えたことは一度もなかったが、福岡ソフトバンクに移籍後は2年続けて.200以上のISOを記録。近藤選手の長打力の向上は、各種の指標においても裏付けられているといえよう。
本塁打が増えた一方で、高い打率と優れた打球速度も維持
打率と直結する要素の一つとして、ホームランを除くインプレーの打球が安打になった割合を示す「BABIP」が存在する。この指標は選手自身の能力以上に運に左右される部分が大きいと考えられており、一般的な選手の基準値は.300とされている。しかし、近藤選手の場合は通算のBABIPが.353と、基準値を大きく上回っている点が特徴的だ。
BABIPが高くなりやすい選手の例としては、内野安打の割合が多くなる俊足の左打者や、打球が速い選手が挙げられる。ただし、近藤選手は通算49盗塁と一定以上の脚力は備えているが、ずば抜けた俊足の持ち主というわけではない。すなわち、近藤選手のBABIPの高さは、キャリアを通じて優れた打球速度を残し続けてきたことの証左でもあるだろう。
本塁打のペースはリーグでも屈指なだけに、打点が大きなカギを握る?
各選手のAB/HRに目を向けると、近藤選手が記録している23.29という数字は、規定打席到達者の中ではポランコ選手に次ぐリーグ2位となっている。現在本塁打ランキングのトップに立っている山川選手よりも早いペースでアーチを放っている点も、今後のタイトル争いを占ううえでは重要な要素となりうる。
打点の面では、現時点でリーグトップの59打点を記録しているソト選手とは9点の差がついている。だが、チームの総得点は福岡ソフトバンクの355点に対して、千葉ロッテは311点となっている。千葉ロッテの得点数もリーグ2位と決して得点力が低いチームではないものの、この点がタイトル争いに影響するか否かがポイントのひとつになってきそうだ。
惜しくも偉業を逃した昨季の経験を生かし、今季こそは三冠王に輝けるか
惜しくも偉業を逃した昨季の経験を糧に、三冠王の快挙を達成することができるか。名実ともにリーグを代表する大打者となった近藤選手が、残るシーズンで見せてくれるであろう巧みかつ豪快なバッティングには、これまで以上に要注目となりそうだ。
文・望月遼太
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