【ラグビー/NTTリーグワン】集大成の今季最終戦でBR東京が見せた 最高のBREAK THROUGH<BR東京 vs GR東葛>

リコーブラックラムズ東京 アマト・ファカタヴァ選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】

マッチエピソード&記者会見レポート
BR東京 55–0 GR東葛


リコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)は5月25日(土)、相模原ギオンスタジアムでNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)とのD1/D2入替戦第2戦に挑み、55対0で完勝。ディビジョン1残留を決めた。

壁を超えよう、と掲げられた今季のスローガンは『BREAK THROUGH』。2試合合計160分間の入替戦を通じて、BR東京の選手たちはそれぞれに厚い壁を突き破った。

前半7分、ラインアウトモールからファーストトライを決めたのは、小池一宏。「ラインアウトを成功させなければいけないプレッシャーがありましたし、モールでは相手の圧力もありました。でもゴールラインが見えていた。飛び込むしかなかった」と振り返る。「今日の試合が僕にとってのベストパフォーマンス」と最終戦で壁を超えた。

数多くのラインブレイクでプレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いたアイザック・ルーカスは「プレッシャーの掛かる入替戦で2勝したことが自信につながる」と話し、日本代表としてラグビーワールドカップ2023フランス大会を戦ったアマト・ファカタヴァも「チームを助けられることであれば、僕はなんでもやりたかった」と大黒柱として2トライを決めた。

BR東京でのファーストキャップを獲得したのは、大内真だ。「悔しい思いのまま来季に入るのと、1試合出て『自分はこのチームに受け入れてもらえた』と自信を持って来季に挑めるのとでは全然違う」と、チームキャップ数ゼロの壁を“BREAK THROUGH”した。

シーズンをとおしてBREAK THROUGHを体現し続けた池田悠希は「自分がやってやる」とのハングリーさがプレーに表れる。2月には『15人制男子トレーニングスコッド福岡合宿』にも呼ばれ、自身の強みを試合で発揮する重要性を意識したシーズンだった。

この日、BR東京が奪ったスコアは、今季最多得点となる55点。守っては、今季初の零封。集大成の最終戦で、チームは『BREAK THROUGH』を果たした。

一方、GR東葛は、前半5分のレッドカード、17分のイエローカードと規律面で苦労し、1年でのD1復帰とはならなかった。BR東京の西辻勤GMは「社会人リーグ時代から切磋琢磨した大切な仲間」との、近い将来のD1での再会を願った。

(原田友莉子)

【©ジャパンラグビーリーグワン】

リコーブラックラムズ東京
ピーター・ヒューワット ヘッドコーチ

「選手のことを思うと、今日の結果はすごくハッピーです。ファンのみなさまにもようやく、今シーズンずっと求めていたプレーを見せられたことがうれしいです。

今日の自分たちのチャレンジは、できるだけ80分に近い時間で、自分たちのベストパフォーマンスを見せ続けることを目指していました。80分間ではなかったですが、今までで一番近づけたかな、と思います。

シーズン当初はこういったポジション(順位)になるとは想像していなかったのですが、若いチームにとってプレッシャーの掛かる試合を2試合経験できたことはこれからにつながると思います。来シーズンに向けて自信にしてほしいです。会社やディビジョン1に残れる選手たち、みんなのことを思うとハッピーです」

――アマト・ファカタヴァ選手が2トライ。攻守にわたって活躍しましたが、どう評価しますか?
「今シーズンの彼のベストゲームだったのではないかなと思います。ラグビーワールドカップから戻ってきたほとんどの選手たちがそうだと思うのですが、シーズン当初は疲れもあります。身体的なものもそうですが、日本を代表することが初めてで、ラグビーワールドカップも初めて。かなりメンタル的にも疲れたと思います。でも今日は以前の彼らしさが見られたのではないでしょうか。パワフルさや、クイックさ。アマト(・ファカタヴァ)のできること、ワークレート含めマツ(松橋周平)とサム(サミュエラ・ワカヴァカ)とのバックロー3人がよく動けていたと思います。

このメンバーを今シーズンもっと長く使いたかったのですが、けが(で思うように起用できなかった)という意味でもタフなシーズンではありました。三菱重工相模原ダイナボアーズ戦あたりからこのメンバーでうまく連係も取れたので、良かったのではないかなと思います。来季につながると思います。

――フォワードの控えが6人だったが、今日のゲームがフォワードバトルになるという想定があったからでしょうか。それともけが人などが影響したのでしょうか?
「両方あるかと思います。フォワードパックでアドバンテージを作れるかなと思いましたし、フォワードはモールやスクラムなど仕事量も多いので。ワークレートが高いぶん、疲労も溜まります。なので、エキストラにフォワードがベンチにいるといいかな、というところでした。またバックスに何かあれば、ブロディ(・マクカラン)や、アマト(・ファカタヴァ)もウイングでプレーしたこともあります。十分カバーできるだろうと思いました」

リコーブラックラムズ東京
松橋周平共同バイスキャプテン

「今週の試合にあたって、スコアをゼロに抑えて勝とうと話していて、そのためには自分たちのプロセスから外れないこと。ディフェンスでもしっかりプレッシャーを掛けるし、アタックでも自分たちのやるべきことをやることによって、(相手に)スコアさせないことが達成できると思っていました。相手のミスに助けられた部分もかなり多かったのですが、結果としてゼロにできたことは誇れる結果だと思います。

入替戦という難しい試合でしたが、自分たちのやるべきことにしっかりフォーカスできた2週間でした。自分たちが“やろう”ということを80分間実行できるように、来季は個のスタンダードや、チームとしての力を上げていかなければいけないと感じました」

――前半終了後にグラウンドで円陣を組んでいました。どんな話をしたのでしょうか?
「今シーズンから取り組んでいることです。ロッカーに戻る前に1回チームとしてコネクトして(原点に)戻ろうと。グラウンドで起きたことをしっかり修正するためにシェアしているのですが、今日は前半の最後に相手のカウンターを受けていたので、レメキ(ロマノ ラヴァ)選手やトム・マーシャル選手に対してどうディフェンスするのかということをもう一度確認しました」

――1年間グラウンドでやってきたことを見せられたのは、どのような部分でしょうか?
「今季はDNA、泥臭さをグラウンドで体現しようと話していました。各試合できているシーンはいっぱいあるのですが、一貫してできていないというか。80分とおしてできないことが、ゲームを最終的にコントロールできなかったことにつながりました。今日は80分間をとおして、自分たちのDNAを見せよう、泥臭いプレーをやっていこう、と話していました」

――今週1週間、試合に向けての準備で気を付けたことは何でしょうか?
「1戦目が終わったとき、相手に『まだやれる』と思わせて試合を終わらせてしまった。ヒューイ(ピーター・ヒューワット ヘッドコーチ)からもミーティングで『ドアは閉まり切っていない。まだ少し開いている』と話がありました。僕たちもドアをしっかり閉じる、シャットダウンするために今週は『自分たちのやるべきことをやって挑もう』、と話をしました」

【©ジャパンラグビーリーグワン】

NECグリーンロケッツ東葛
レメキ ロマノ ラヴァキャプテン

「全部(ウェイン・ピヴァック ヘッドコーチが)言ってくれたから、言うことゼロですけど……(笑)。

個人的にはGR東葛での最後の試合、これだけボコられてしまいちょっと悲しい。いくら頑張っても、全部うまくいかなかった。今日の試合が最後になる人のためにも頑張る、っていうことをやりすぎてうまくいかなかった。ノートライがね、ちょっと…。

(自分は)来年は(このチームに)いないけど、GR東葛にはもっと強くなってほしい。

80分戦い終わるまで、55対0まで点差が開いていたことを知らなかった。『そういう日もあるよ』と言われたけど、『いやいや、なかなかないよ、こんな日』と(笑)。

(今後は)こういうことがないように、頑張ります。(GR東葛の在籍は)3年間だけど、めっちゃ楽しかったです。ありがとうございました」

――今季で引退する田中史朗選手は、チームにどのような影響がありましたか。
「けっこう、仲いいです。ジャパン(日本代表)もサンウルブズもそうだけど、本当にレジェンドですよね。日本ラグビーについて外国人選手に話を聞いても、みんな絶対、田中史朗のことを知っている。日本ラグビーの歴史を変えた男。2015年、2019年のラグビーワールドカップでジャイアントキリングをしたときもいたし、スーパーラグビーで優勝したこともある。本当にレジェンドですよね。

今シーズンあまり試合には出ていませんでしたが、オフフィールドで若手の準備を手伝っていました。みんなを集めて飲みに行くこともあるし、何をやってもすべてがチームのためでした。来年、会えなくなることが寂しいです」

――これまでビッグゲームを経験したレメキ選手でさえうまくいかなかったゲームから学んだことは何でしょうか?
「うまくいかないときは、みんなの仕事をやるのではなく自分の仕事をやればいい。今日はたぶん、みんなイライラしていて、みんなの仕事をしようとしていた。『俺にボールをちょうだい』、ではなく、システムを守って冷静に判断することが大切です。

楽しみなことは、来年のチームで、D1のチームと戦うこと。この0対55を絶対に忘れない」
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著者プロフィール

ジャパンラグビー リーグワンは、「あなたの街から、世界最高をつくろう」をビジョンに掲げ、前身であるジャパンラグビー トップリーグを受け継ぐ形で、2022年1月に開幕した日本国内最高峰のラグビー大会です。ラグビーワールドカップ2023を控え、セカンドシーズンとなるリーグワン全23チームの熱戦をご期待ください。

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