明日は「川崎OutBreakers」開催!担当者に見どころを聞いてみた

川崎フロンターレ
チーム・協会
5月28日のホームゲーム・柏レイソル戦で、川崎フロンターレに在籍経験のあるOB選手が集結するイベント「川崎OutBreakers」が開催される。

Outbreakとは日本語で「突発」「勃発」という意味だ。
OB選手の集まるイベントをやりたいと、突発的に思いついたことで動き出したというこの企画。OB戦のイベントであれば、クラブ創設10周年(2006年)、20周年(2016年)記念で開催されているが、それとは異なり、OB選手の「今」にフォーカスしたエンターテイメント企画になっている。

一体、どんなイベントとして進めてきたのだろうか。
サッカー事業部 プロモーション部の佐々木裕司さんにいきさつを聞いた。

【©KAWASAKI FRONTALE】

「昨年度に、現役を引退した大久保嘉人さんを送り出す引退式イベントをしたのがきっかけです。じゃんけん大会をやったり、神輿に乗って場内を歩いてもらいました。その年末に川崎フロンターレ展で西部洋平さんや杉山力裕さんを呼んだトークショーを行って、そこから『OBとの場を作りたいよね』となって話が進みました。例えば武岡さん(武岡優斗)は、普段からフロンターレを気にかけてSNSでも絡んでくれていますよね。関わって良かったなとOBに思ってもらえるイベントにしたいというのがスタッフの想いでした」

こだわったのは、彼ら個人個人の「今」にフォーカスすること。
単にOBを呼んだ場にして終わらせるのではなく、引退された後に、どういった思いで過ごしているのか。そういう部分に焦点を当てて、サポーターに知ってもらいたい。そこがポイントだった。天野春果部長からの「今、どういうことをやっているのか。それを具体的に知ってもらった方がいい」という声により、OBが参加するゲームや企画にもできるだけキャラクターに合わせたイベントが盛りだくさんとなった。詳しく見ていこう。

例えば小宮山尊信さん。
無尽蔵のスタミナと果敢な攻撃参加で小宮山ゾーンと呼ばれるエリアからフィニッシュを狙う、攻撃的左サイドバックだった。2017シーズン限りで現役を引退し、現在は不動産業に転身している。彼と行うゲームは「レアル間取りどう? in鹿島田」と銘打ったHIGH&LOWゲームである。

不動産業に従事する彼のキャラクターを生かし、マンション、駐車場などの物件賃貸価格を「高い(HIGH)」か「安い(LOW)」か当てるゲームだ。物件の紹介と絡めたことで、現在の小宮山さんの活動がより具体的に伝わりやすくなっている。なぜ鹿島田エリアの物件なのかというのは当日、本人に直接聞いてみてほしいとのことである。

なお、同じく不動産会社に勤務している井川祐輔さんの緊急参戦も決定。小宮山さんとの迷コンビで楽しませてくれる予定だ。

今回のイベントの打ち合わせで再会した井川祐輔さんと小宮山尊信さん 【©KAWASAKI FRONTALE】

一方、武岡優斗さんはアスリートの怪我や不調へのケアを行う再生医療関連事業会社「セルソース」に勤務している。LOTTE「TOPPO」を並べ切るというゲームで参加者と対戦する。名付けて「ユウトより速くTOPPOを再生させよ!!」。対人守備の強さで等々力を拍手で沸かせた右サイドバックだった武岡さんとの対戦しながら、「再生医療」をテーマにサポーターが楽しく、参加できるアトラクションになっている。

自らブースをアピールする武岡優斗さん 【©KAWASAKI FRONTALE】

ゲームの中で、一際目を引くのは、「人間ブルドーザー・テセ 体験ゲーム」だろうか。
現在サッカー解説者である鄭大世さんの現役時代のプレースタイルを称した「人間ブルドーザー」。DFをなぎ倒して決めた圧巻のゴールシーンからそう言われているのだが、弾き飛びながら遊べる「バブルサッカー」で、それを擬似体験できるというわけだ。ぶつかって転がるバブルサッカーで、まさか「人間ブルドーザー」気分を味わえるとは… 佐々木さんはこれを決めた会議での様子をこう明かす。

「テセさんといえば、やはりガンバ大阪戦で相手をなぎ倒したイメージがみんなに残っていました。それを再現するのはどうする?と会議でアイディアを出していたら、『バブルサッカーしかないだろ!』となりました(笑)。もともと、ファン感やフロンタウンさぎぬまのイベントでバブルサッカーはやっていたことがあったんです。『いいね、いいね』となり、手配しました」

2007年8月25日のガンバ大阪戦で決めたゴールは、強烈な印象を残した 【©KAWASAKI FRONTALE】

その佐々木さんが今回メインで担当したブースは「テセ母 コリアンフード屋台村」。
ファン感謝デーでも出店されてサポーターにはお馴染みとなった、鄭大世さんのオモニ(母)によるコリアンフード屋台だ。販売のラインナップは、カルビうどん、すじ煮込み、ロールチヂミ、ヤンニョムチキン、トッポギ、焼肉ライスバーガーだ。佐々木さんは「どれも美味しいです!」と自信をのぞかせる。

「オモニと韓国料理の企画会議を重ね、試食会を何回もしましたから、美味しい料理がたくさんあります。どれも美味しかったですけど、一つだけオススメを挙げるとすれば、牛すじ煮込みでしょうか。味が濃く染み込んでいて、ビールにとても合いますね。どの料理もピリ辛です。当日は気温も高くなる予定なので、ビールがとても進むと思います!」

なお今回は、南武朝鮮初級学校オモニ会・OBオモニ、川崎青商会、神奈川中高オモニ会の皆さんがコリアンフード屋台村を切り盛りしてくれる。みなさんがイベントを完全バックアップしてくれたと佐々木さんは感謝を述べる。

「企画を依頼した時に、『テセがフロンターレで活躍して勇気をもらったので、ぜひやらしてください!』と快く協力してくれました。ちなみに南武朝鮮初級学校では5月28日が運動会の予定だったにもかかわらず、『テセのイベントがあるので運動会をずらします!』と言ってくれて、『そんなことがあり得るのか?』と思いましたが(笑)、それぐらいの全面協力です。テセさんの恩返しということで、みなさん団結してくれました。本当にありがたいですね」

ファン感名物だったテセオモニのコリアンフード(写真は2011年) 【©KAWASAKI FRONTALE】

その他、サッカー業界で活躍するOBとしては田中裕介さんと田中パウロ淳一が参戦する。
田中裕介さんは、上下動を怠らない献身性と強気なメンタリティーで貢献した右サイドバックだ。昨年まで、東京都1部リーグに所属するSHIBUYA CITY FCでプレー。シーズン後に現役引退を発表し、同クラブの運営会社の役員に就任した。現在もサッカー界に身を置く一員ということもあり、川崎のスタッフとも頻繁にコミュニケーションを取っているようだ。引退記念ユニフォーム販売やチェキ撮影会、写真展に加えて、SHIBUYA CITY FCとのコラボブースが展開される。

今年からSHIBUYA CITY FC運営会社の執行役員を務める田中裕介さん 【©SHIBUYA CITY FC】

そして唯一、現役選手として参加するのが田中パウロ淳一だ。パワフルな左足が魅力のアタッカーで、現在は関東1部リーグ・栃木シティFCに所属している。試合日程との兼ね合いもあり、現役選手の参加は難航するかと思われたが、スケジュールを無事にクリア。クラブとしてもPRできる場として快く協力してくれたそうだ。マスコットキャラクター「トチモ」が登場し、クラブの物販ブースが展開される予定である。
なお栃木シティFCとは、翌月の6月7日に天皇杯2回戦で等々力で対戦することが決まったばかり。なかなかない巡り合わせだ。当日のトークショーではこの話題も出るはずで、注目したいところだ。

YouTube・TikTokを通じて情報発信を積極的に行っている田中パウロ淳一選手 【©TOCHIGI CITY】

OBのキャラクターに合わせたイベントが盛りだくさんだが、「鄭大世・田中裕介引退あいさつ&川崎OutBreakers始球式」、「特製キーホルダー争奪OB選手とじゃんけん大会」、「OB選手マル秘トークショー」など基本的には誰でも気軽に参加と観戦のできるものばかりだ。

中でも「川崎OutBreakers始球式」はぜひ注目して欲しいと佐々木さんは言う。どうやら、これまでの始球式とも一味違うようである。

「普段だったら始球式は、キッカーとボールとゴールですが、当日はたくさんのOBが来るので、みんなが関わってやります。フロサポはみんなが泣いてしまうんじゃないでしょうか… ぜひ楽しみにしてほしいですね」

そんな含みを持って話してくれた。当日は始球式から目が離せなさそうだ。

今回のイベントは、昔からのサポーターだけに向けたものではなく、サポーターになったばかりの人にもぜひ楽しんで欲しいとの思いがある。そのためクラブ公式チャンネルでは密着ドキュメンタリー映像として「2nd leg - Documentary of Kawasaki Out Breakers」を公開しており、「事前に動画でストーリーを見てもらって、OBの情報を入れてもらえるとより深く楽しめると思います」と佐々木さんは話す。

個性的なOBが勢揃いする「川崎OutBreakers」。
長く応援しているサポーターはもちろん、最近応援し始めたサポーターにとっても、OBたちを通じてクラブの歴史を知り、フロンターレをもっと好きになるエンターテイメントイベントになるはずだ。

【取材・文:いしかわごう】
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著者プロフィール

神奈川県川崎市をホームタウンとし、1997年にJリーグ加盟を目指してプロ化。J1での年間2位3回、カップ戦での準優勝5回など、あと一歩のところでタイトルを逃し続けてきたことから「シルバーコレクター」と呼ばれることもあったが、クラブ創設21年目となる2017年に明治安田生命J1リーグ初優勝を果たすと、2023年までに7つのタイトルを獲得。ピッチ外でのホームタウン活動にも力を入れており、Jリーグ観戦者調査では10年連続(2010-2019)で地域貢献度No.1の評価を受けている。

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