【物語りVol.64】坂口丈史 ヘッドS&Cコーチ「日本一になりたい、それしかないですね」
【東芝ブレイブルーパス東京】
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【物語りVol.64】坂口丈史 ヘッドS&Cコーチ
「学生時代は野球をやっていて、トレーニングは好きだったのですが、たくさんトレーニングをしてもなかなか野球に生きなかったんですね。一方で、それほど多くトレーニングをしなくてもパフォーマンスが上がる選手もいて。その違いは何なのかということが、興味を持つ始まりでした。もうひとつは、試合で腰を骨折して、一定期間安静にしたのちにお医者さんから復帰の許可をもらい、練習を再開しました。ところが、また腰の骨が折れてしまった。リハビリの知識とかがあればうまく復帰できたのにと感じて、同じように困っている選手の手助けができればと考えるようになりました」
医学やスポーツに関連した学部が揃う順天堂大学で学び、並行して現場で経験を積んでいった。アメリカンフットボールの実業団チームでインターンシップをやらせてもらい、4年時からチームと契約を結んだ。プロのS&Cとしての第一歩を踏み出した。
「アメフトのチームと並行して競輪選手のパーソナルトレーニングや、小さいお子さんのトレーニング指導をしました。その後は違うアメフトのチームへ移籍したり、高校や大学のチームを見たりして、ラグビーの世界へ入っていくことになりました」
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「学生のアメフトチームで仕事をしていた当時、筋力などの数値は高いけれど結果が出ない、ということがありました。勝つためにトレーニングをしているのに、それが発揮されなければ意味がないので、どういうふうにコンディションを作ったらいいのかを考えて、調べて、ラグビーのS&Cをやっている知り合いに聞きました。すると、ラグビーのS&Cはトレーニング以外の部分を含めて考えている範囲が広く、それがスタンダードだと知りました。自分に足りないところ、勉強したいところなので興味がわき、幸運にもオファーをいただけたので思い切ってチャレンジしました」
ラグビーとアメフトでは、求められる体力要素が異なる。必然的に、トレーニングの内容も変わってくる。坂口は「ヘッドコーチと同じぐらい重要な役職」と感じている。
「年間スケジュールから練習量とその時間、強度だったりを、S&Cがヘッドコーチと話して決めたりしています。他のスポーツではなかなか実現しないことで、コーチ陣と一緒にチームを作っていく感じがありますので、重要性の高いポジションと認識しています。勝ち負けに直結するポジションです」
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「ケガ人が出ると責任を感じますし、役割を与えてもらっているぶん、結果に対する責任も感じます。このチームに来てから、それはすごく感じますね。選手たちにキツいトレーニングをさせていて、チームが勝つために雇用されています。トレーニングの数値が上がったから評価される仕事ではなく、結果につながらないと僕自身の仕事は100点にならないと考えているので」
スポーツサイエンスの世界は、情報のアップデートが早い。現場で仕事をしながら、新たな知識を随時インプットしていく必要がある。
「数年前まで正しいと言われていたものが、今年になって違う、こっちのほうが良かったということが、研究の世界ではあります。僕自身、スポーツサイエンスを改めて専門的に学びたい気持ちがあるので、いつか大学院に進学したいとは思っています。オプションとしては海外で学ぶことも考えています」
自身のキャリアデザインはありつつも、いまは一点を見つめている。東芝ブレイブルーパス東京が、日本一になることを。
爽やかに、きっぱりと、坂口は言う。
「日本一になりたい。それしかないですね。それを達成するために、いまの自分に何ができるのかを取り組んでいきたい。その日が訪れるまで、充実感を得ることはないと思います」
(文中敬称略)
(ライター:戸塚啓)
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