第11節 静岡ブルーレヴズ戦を勝利!試合中に見た強気なプレーと思いやり

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【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(ラグビー)】

勝利を引き寄せた後半15分のショートキック

3月11日、クボタスピアーズ船橋・東京ベイは、エコパスタジアム(静岡県)で静岡ブルーレヴズ戦と対戦し、40対27で勝利を収めた。
これでNTTリーグワン2022-23の11節を終え、9勝1敗1分、順位は2位に位置する。

試合は終始スピアーズがリードする流れとなった。前半5分にスクラムから反則を奪い、相手ゴール前でモールを組むと、ショートサイドにずらしながら進む、相手のプレッシャーを「いなす」プレーで日本代表・ピーター”ラピース”ラブスカフニ選手がトライで先制する。

同じような流れから、今度は正攻法に真っ直ぐと押し込むモールでゴールライン直前まで進めると、スクラムハーフ谷口選手がボールを持ち出して、このモールで空いた小さなスペースに飛び込んだ。

相手の強みであるスクラムやラインアウトで有利に立ち2トライを奪い、このままスピアーズがペースを握るかと思われたが、ブルーレヴズも粘り強いプレーを見せる。ペナルティゴール2本、そして前半終了間際のトライ&ゴールで6点差まで迫って試合を折り返した。

後半もスピアーズは7分に先制するが、13分にはトライを奪い返され再度6点差に。またスクラムでもブルーレヴズは有利に立ち流れが相手に傾きかける。
しかし、ここでスピアーズは流れを引き寄せる判断を見せる。

トライされてからのリスタートで、普段深く蹴り込むところを相手陣10mライン付近に落とす浅めのショートキックを蹴る。これをファンデンヒーファー選手が反応しマイボールにすると、その後の攻撃で10番フォーリー選手や2番マークス選手といった代表クラスの選手たちがパスを繋いであっという間に相手ゴールラインに迫る。最後は交替したばかりの若手プロップ・紙森選手がボールを持ち出してトライを奪った。

失点後に6点を守るのではなく、強気なプレーでトライを取り返したスピアーズは、その後もヴァイレア選手のトライでさらに点差を広げ、一度もリードされることなく逃げ切って勝利した。

この勝利を近づけたリスタートキックに対し、試合後にキャプテン・立川選手は
「試合中からリスタートでショートキックが取れそうなことは、フォーリー選手やファンデンヒーファー選手と話していました。あの時間帯で守りに入るのではなくアタッキングマインドを持って判断し、スコアに繋げたことでチームに勢いがつきました」
とコメント。チームの成長に手応えを見せた。






後半15分の紙森選手のトライを称えるラピース選手と立川選手 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(ラグビー)】

両チームに100試合出場達成選手!特別な試合に見せた立川選手のいつもの行動

またこの試合では、スピアーズでは立川選手が、ブルーレヴズでは日野選手が、リーグ通算100試合出場達成となる記念試合となった。

大学時代も互いに関西大学リーグで競い合い、チームは違えど同期入団の両者は試合後、両チームの選手たちと仲良く写真撮影をして交流を図った。

リーグとしても珍しい両チーム選手の100試合達成という特別な試合となった本節。そんな特別な試合となる立川選手だが、ある場面で見せた行動が印象的だった。

それは後半15分過ぎ、ブルーレヴズ13番の選手が負傷した場面だ。試合は一時中断し、メディカルの処置が行われる。その際、倒れる相手選手にメディカルスタッフの次にいち早く駆け付けたのは立川選手だった。処置中も自チームが円陣を組みながらも、相手選手を気遣う姿を見せた。

この行動に対して立川選手は
「負傷したプレーを見ていたので、危ない倒れ方をしたと心配になりました。(負傷した選手は)代表関係の合宿で交流もあるかわいい後輩のひとりなので、無事かどうかを確認をしに行きました。私が見た時は話すこともできていたので少し安心しました」
と、その時の心境を話した。



この試合で100試合出場達成となった立川理道選手 ※リーグ試合出場数は、トップリーグ時代から引き継がれます 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(ラグビー)】

試合中は相手と競い合い、全力でぶつかり合う。
しかし、その一方でプレーが止まれば、敵味方関係なく相手を思いやり気遣う。
これは立川選手だけでなく、ラグビーの試合中ではよく見る光景のひとつだ。

100試合出場達成という特別な試合の一方で、こうした「いつもの行動」を見せた立川選手。
こうした選手だからこそ、100試合という偉業を達成することができたのかもしれない。

試合の最後に立川選手は
「ブルーレヴズのホストゲームにも関わらず、こうして自分の記念を祝ってくれたことに感謝しています。私のリーグファーストキャップは(ブルーレヴズの前身である)ヤマハジュビロだったので良い縁を感じています」
と相手チームへの感謝を忘れなかった。

100試合という険しい道、だがその道は決して修羅の道ではない。
困難も苦難もあるが、決して争いだけではない。
仲間を家族をファンを、そして相手チームすらを思って歩んできた100試合。
こうした軌跡を経て、自身とチームの成長に繋げていく立川選手。その101試合目に注目したい。

スピアーズの次戦は、ホストスタジアム「えどりく」こと江戸川区陸上競技場で、現在3位に位置する横浜キヤノンイーグルスと3月18日(土)に対戦する。


文:クボタスピアーズ船橋・東京ベイ 広報担当 岩爪航
写真:チームフォトグラファー 福島宏治

試合後のスピアーズメンバー。立川選手の100試合出場記念Tシャツを着て全員で祝う 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(ラグビー)】

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著者プロフィール

〈クボタスピアーズ船橋・東京ベイについて〉 1978年創部。1990年、クボタ創業100周年を機にカンパニースポーツと定め、千葉県船橋市のクボタ京葉工場内にグランドとクラブハウスを整備。2003年、ジャパンラグビートップリーグ発足時からトップリーグの常連として戦ってきた。 「Proud Billboard」のビジョンの元、強く、愛されるチームを目指し、ステークホルダーの「誇りの広告塔」となるべくチーム強化を図っている。NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23では、創部以来初の決勝に進出。激戦の末に勝利し、優勝という結果でシーズンを終えた。 また、チーム強化だけでなく、SDGsの推進やラグビーを通じた普及・育成活動などといった社会貢献活動を積極的に推進している。スピアーズではファンのことを「共にオレンジを着て戦う仲間」という意図から「オレンジアーミー」と呼んでいる。

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