【ラグビー/NTTリーグワン】あれから7年。進化を示した「50試合目」、そして王者に挑む「51試合目」<クボタスピアーズ船橋・東京ベイ>
それは、S東京ベイのプロップ・松波昭哉のデビュー戦でもあった。このシーズン、松波は先発として活躍するも、チームは勝ち星に恵まれず、リーグを12位で終了。また、松波自身も首と肩に不安を抱えながら戦い続け、リーグ終了後には悲鳴を上げた両肩にメスを入れた。さらに、2018年には頸椎ヘルニアを患い、首を手術。戦線離脱を余儀なくされた。
「両肩の手術を終えたあとのシーズンは試合に出ていたのですが、首の手術のあとはまったくダメでした。スクラムを組んで力んだときに、ものすごい痛みが走って…」
2020年、世界はコロナ禍に見舞われ、アスリートたちは活動の場を失った。それはトップリーグも例外ではなく、3月以降の試合が中止に。しかし、そんな危機的局面に、松波は希望にも似た何かを見いだしていた。
「逆に、ここはチャンスだと思いました。首のトレーニングをする器具を自宅に持ち込んで、ずっと鍛えていました。この首さえ良くなれば、まだまだできる。首が治りさえすれば、また試合に出られる。そう思っていました」
練習再開後は、首と連動する背中の筋肉のケアにも注力。全体練習後の自主練では課題に感じていたタックルの克服を図り、またハンドリング(キャッチやパスなど)の技術の向上にも取り組んだ。そして今季、開幕節の先発メンバーに「松波昭哉」の名はあった。
「地道なことをやってきて良かったと思います。練習で積み重ねてきたことが、いまにつながっています」
去る2月25日、ホームスタジアム「えどりく」で、松波はトップリーグ&リーグワン通算50試合出場を達成した。相手は、デビュー戦で対戦したBL東京。あの日、完膚なきまでに叩きのめされたS東京ベイはNTT ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1で優勝争いを演じる強豪チームとしてBL東京を迎え撃ち、えどりくでの連勝記録を14に更新。この7年間の進化と成長の証が、グラウンドに描かれた。
「デビュー時と比べると、チームもすごく良くなって、フォワードの8人がまとまっているように思います。あのころのスクラムは『押されないように頑張っている』という感じでした。いまはそうではなく、『どのようにして押すか』。1年目のころとは違っています」
「これまでに辞めようと思ったことは?」。そう問いかけると、松波は「理由は分からないですが」と前置きした上で「ありません」と答えた。いまやるべきことを普通に実行し、これからもそれを普通に継続する。新たな一歩となる51試合目。今節は熊谷スポーツ文化公園ラグビー場に乗り込み、前季王者・埼玉パナソニックワイルドナイツと対峙する。
「いつもどおりです。いつもどおりに、いきたいです」
(藤本かずまさ)
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