悔しさの残るエクアドル戦を経て。山根視来と谷口彰悟は川崎でのさらなる成長を誓う

川崎フロンターレ
チーム・協会

【©JFA】

カタールワールドカップのメンバー発表前、最後の国際親善試合となったエクアドル戦。ここでのパフォーマンスがメンバー発表につながるとあって、ピッチに立った選手からすれば相当な思いを持って挑んでいたことは間違いない。

川崎フロンターレに所属する山根視来と谷口彰悟も同様だ。ここまで決してW杯メンバー当確とは言えない二人としては、チャンスを得た試合で目に見える結果が欲しかった。攻撃的なサイドバックである山根ならばゴールやアシスト、最終ラインの一角を任される谷口ならば無失点、といったように互いに自身の力を証明するための戦いに臨んだ。

ただ、エクアドル戦はチーム全体として難しい試合になってしまった。先発メンバーを総入れ替えした弊害もあり、なかなかピッチ内でコンビネーションを高めることができず。相手も南米の強豪チームとあってフィジカルと高い技術を発揮し、日本を翻弄してきた。結果としてはスコアレスドローに終わったが、前半は非常に難しい時間が多く、PKを献上してしまったことを考えても、一歩間違えれば敗戦するような内容だったと言っていい。

そして、山根と谷口にとっても悔しさが残るゲームとなった。右サイドバックとして先発した山根は、フルタイムの出場を果たすことはできたが、積極的な攻撃参加は少なめ。4-2-3-1のシステムをあまり経験したことがなかったのもあり、自らの特徴を前面に発揮することができなかった。

カウンターから相手ペナルティエリア内に侵入するなど、「らしい」場面も作った山根。 【©JFA】

「もっとできたなというところと、あとはグラウンド状態が難しい中、リスクをかけるところとセーフティーにすべきところの判断が難しかった。前に上がっていった時にあと一個つながっていればというシーンは作れていたが、そこで数字を残せないと意味がない。そういうところが自分の特徴だと思っているので、今日は反省すべきところが多かったと思います」

それでも、しっかりと自分を客観的に見て反省を口にするところが、山根が成長を続ける理由だ。この日、対面の選手に何度かドリブルで突破されたことに関しても「そういうところはその前のタイミングでの準備が大事。もっと予測を含めてやらないと。(Jリーグの相手と違って)仕掛けてくる回数が多いですし、シュートレンジが広いと思う。まだまだ改善していかないといけない」と語り、再びJリーグに戻ってさらなる修正を誓っている。

一方、谷口はクリーンシートという点ではチームに大きく貢献したものの、ゲーム終盤にPKを献上してしまったことがネガティブなポイントに。そこまでは冷静な対応を続け、相手のハードタックルに対してもうまく対処。ビルドアップにしても巧みなボールの配球は見せていただけに、ペナルティエリア内のファウルは気をつけたいところだった。

守備はもちろん、得意のフィードで攻撃の起点にもなった谷口。 【©JFA】

「なんとかゼロに抑えられたのはすごく良かったけど、あのPKのシーンはもう少し対応の仕方を考えていかないといけない。ただ、それ以外のところを含め、危ないところをしっかりみんなで体を張ったりカバーしたりするところは集中力高くできたと思います」

チームとしてのパフォーマンスには手応えを感じている。ただ、自分の出来には満足していない。ここで大丈夫だと思うのではなく、もう一度、チームに戻ってやるべきことがあると前を向いた。

「試合を通してそこまでできなかったとは思わないですし、逆に完璧に抑えられたというところでもない。こんなものかなというのが正直なところ。これくらい強度の高いゲームを経験することによってまた次のゲームに生きてくる。もう少し駆け引きのところや1対1のバトルのところを上げていきたい。それ以外のラインコントロールやどこからプレッシャーをかけるかは、みんなで統一感を持ってやれるところもあったので良かった。やはり個人的にはもう少しやらないといけないと思っています」

帰国後、二人はすぐさまチームに合流して優勝争いの準備をしなくてはならない。過密なスケジュールが続くことを考えれば、決して簡単なことではないだろう。それでも、この経験を還元することで、チームに勢いをもたらす必要がある。

W杯のメンバーに入っていくためにも、Jリーグでのさらなる成長が求められる二人。ドイツで感じたさまざまな課題を解決していくことで、川崎をさらに高いレベルへと引き上げていく。

(文:林遼平)
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著者プロフィール

神奈川県川崎市をホームタウンとし、1997年にJリーグ加盟を目指してプロ化。J1での年間2位3回、カップ戦での準優勝5回など、あと一歩のところでタイトルを逃し続けてきたことから「シルバーコレクター」と呼ばれることもあったが、クラブ創設21年目となる2017年に明治安田生命J1リーグ初優勝を果たすと、2023年までに7つのタイトルを獲得。ピッチ外でのホームタウン活動にも力を入れており、Jリーグ観戦者調査では10年連続(2010-2019)で地域貢献度No.1の評価を受けている。

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