〈FANCL CLASSIC/1R〉鈴木亨が首位タイ発進! 同日同時刻に息子はティーチングプロの筆記試験「家族のためにも頑張る」

チーム・協会

【©PGA】

ファンケルクラシック 第1ラウンド


 夏の祭典「ファンケルクラシック」の初日の競技が終了。鈴木亨、久保勝美、手嶋多一の3人が「68」をマークして、4アンダーで首位タイで発進した。1打差の4位タイには、野上貴夫、プラヤド・マークセン、タワン・ウィラチャン(ともにタイ)の3人が続いている。

 鈴木にとって、今大会は6度目の出場で「ファンケルさんでこんなにいいスタートを切ったのは初めて」と話す。19年には大会自己ベストの8位タイに入っているが、初日は「76」と出遅れ、2日目に7バーディ、最終日に8バーディと追い上げ、最多バーディ賞をゲットした。

 「多少ショットがブレながらも、慌てないで、キャディとも上手く会話ができて、のんびりと自分らしいゴルフができた」と振り返る。

 唯一のボギーは14番パー4。

 「インコースに入ってから風が分からなかった」と、予想以上に右からの風が強く、ティショットで「絶対落としてはいけない」左の崖下へ。そこからフェアウェイに出すだけで、3打目をピンの手前3メートルにつけたが、「重くて打ち切れなかった」とショート。ボギーとした。

 「14番の左の崖下は一週間に一回は行く。もう行ったから(あす以降は)行かないでしょう。本当はノーボギーでいきたかったけど、ボギー1個ならよしとします」と、納得のラウンドだった。

 昨年は怪我の影響もあり、最終戦を前に賞金ランキング47位と、今シーズンのシードが得られる30位以内はほぼ絶望的な状況にいた。その最終戦で、「生涯1度あるかないかのラッキー」と本人が語る優勝。土壇場でこだわってきた賞金シードを手にした。頚椎のヘルニアの影響で右手に力が入らず、一時はドライバーの飛距離が220ヤードまで落ちて「引退」の2文字が頭の中でちらついた。体がボロボロになりながらも、懸命に治療とリハビリに努めたのは、家族の存在があったからだ。

 「こんなことを言ったらあれかもしれないけど…僕らの世界では代わりはいくらでもいる。僕がダメでも他の選手が頑張れば試合は成り立つし盛り上がる。でも家族には代わりがいない。僕は家族に支えられて生きていると思うので、みんなが笑顔になれるように。僕は球を打つしか能がないので、家族のために頑張らないと、という思いでやっています」

【©PGA】

 鈴木は、妻、娘、息子の4人家族。妻は日大ゴルフ部時代に2学年下だった京子さん、長女は人気アイドルとして活躍する鈴木愛理さん。そして長男の貴之さんはいま、脱サラしてティーチングプロを目指している。息子はPGAのB級ティーチングプロ資格取得するために、7月にサンコー72CCで行われた2日間の実技試験(158ストローク以内)を突破。奇しくもきょう19日に、静岡県掛川市でB級講習会受講資格選定最終審査という筆記試験と面接試験に臨んでいた。

 父の初日のスタート時間も息子の試験開始時間も同じ9時30分という偶然。前日には息子からエールが届いた。

 「僕も同じ静岡県にいるから頑張ってって息子に言われちゃうんだから(笑)。俺が言わなきゃいけないことをね。できた息子だと思う」と目を細める。

 続けて、「息子が一歩を踏み出しているので、俺がちょっとでも頑張れば彼もね…。今まではお父さんはプロゴルファーだし、お姉ちゃんは芸能人だし、すごく気を遣って人生を生きてきたみたい。だけど、これから存分に俺とお姉ちゃんの名前を使って生きていけばいいんじゃないって」と息子の選んだ道での成功と笑顔を心から望んでいる。

 大会はまだ初日が終わったばかりで、残り2日間ある。「あしたも自分の殻に入って自分らしいゴルフがしたい。結果はそのあと」とマイペースを貫く考え。そして「最後にそういうシチュエーションになれば、違う何かが自分の体から出てくるとは思う」と、レギュラーツアー通算8勝、シニアツアー通算5勝の実力者らしい表現で締めた。

 応援してくれる家族を笑顔にするために、お父さんは頑張り続ける。

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著者プロフィール

PGAはゴルフの正しい普及と発展を願い、誰にでも愛される「国民のスポーツ」「生涯スポーツ」となるため、日本ゴルフ界のリーダーとして活動しています。PGAの使命は、トーナメントプレーヤーの育成、ゴルフ大会の開催・運営に加え、ゴルフの正しい普及と発展を具現化するために、ティーチングプロ資格を付与したゴルフ指導者を育成しています。さらにPGAでは幅広い分野で積極的な取り組みを行い、地域に密着した社会貢献活動、ジュニアゴルファーの育成など多方面にわたる取り組みを日々歩み続けています。

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