練習着は汚してもユニフォームは汚さない! 松本真未子選手(マイナビ仙台レディース)

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2021年9月、日本初の女子プロサッカーリーグとして『WEリーグ』が開幕。
本企画『WE INTERVIEW』では、Yogibo WEリーグで活躍する選手1名にスポットを当て、キャリアを振り返りながらその人柄にも触れていきます。

練習着は汚してもユニフォームは汚さない!

なでしこジャパンがワールドカップを制した2011年、その活躍を目の当たりにした中学一年生の少女は、それまで取り組んでいたバスケットボールからサッカーの道へ変える決断をしたーー松本真未子が選んだのはチーム唯一のポジション、ゴールキーパーだった。
瞬発力を駆使したシュートストップに加え、努力で身に着けた“伝える力”。派手なプレーではないところに隠された彼女の熱を感じられるシーズンになりそうだ。

ーーゴールキーパーを目指したきっかけは?
元々バスケットボールを習っていたのですが、サッカーのゴールキーパーが足りないからやってくれとスカウトされ、試しにやったのが最初でした。バスケは大好きでそのまま続けるつもりでしたが、その時ちょうどなでしこジャパンがワールドカップで優勝して活躍していて・・・。未知の世界でしたが身体能力は高いほうで自信はあったし、でもボールを蹴るのは苦手だったのでゴールキーパーとしてやっていこう!という流れになりました(笑)

ーー2011年のなでしこジャパンの活躍を知ってサッカーを始めたというと、まだまだこれからの世代ですね。
浦和レッズレディースジュニアユースにいた時は、2011年のワールドカップ優勝メンバーの山郷のぞみさん(現ちふれASエルフェン埼玉GKコーチ)が憧れでした。トップチームの試合の運営をしていて見たことがあるのですが、オーラが違いました。ゴールの後ろでずっと見ていて、声の使い方に圧倒されました。山郷さんは技術の高さはもちろん、声だけで仲間をコントロールしたりゲームを締めることができる。そんな選手はあまりいないので、ずっと見習ってきました。一緒にプレーできなかったのが悔しいです。

ーー声の大切さは、中学生の頃から気づいていたんですね。
あの大きさのゴールは、一人ではどうせ守れないから、ちゃんと声を出そうと思っていました。浦和にいた時にこのことをよく言われたので、シュートを打たせないために声を出すという考えが根本にあります。浦和で6年間お世話になったGKコーチに、基礎を徹底して教え込んでもらって、崩れない基盤ができたことがすべてだと感じています。

ーー1枠しかないゴールキーパーは、やはりピッチに立って得られる経験値が重要。出場機会を求めて移籍を決断しました。
当時のベガルタ仙台レディースへの移籍後、環境が変わって一年間は苦労しました。納得できる成果がなかったので歯がゆくて、移籍の決断が合っていたのか悩む時期もありました。持ち味のシュートストップが発揮できなかったことと、仲間をどう動かして自分のテリトリーに持っていくか、という感覚をなかなか掴めなかったことが苦しかったですね。WEリーグが開幕して、正ゴールキーパーの位置を掴めたことで、一試合一試合の緊張感で経験を積み上げていることを実感できたので、毎試合が楽しみでした。実践を通じて、90分間の試合運びをすごく学べました。

ーーWEリーグ元年は、どのチームも守備に力を入れている印象でした。そうなると重要なのはビルドアップですが、ゴールキーパーとして気をつけていることは?
相手が攻撃に人数をかけている時、こちらがボールを奪えば、相手は速く戻ろうとするじゃないですか。なので、その時間を与えない速攻を仕掛けたいです。例えば、セットプレーで守備の場合も、私はチャンスだと思っています。逆にカウンターを受けることもあるので、駆け引きは難しいですけど楽しいですね。貪欲に狙っています!

ーー昨シーズンの対戦で印象に残っている試合は?
やっぱり浦和戦。古巣というのもありますけど、浦和との対戦は全敗だったので・・・。空回りしましたかね(苦笑)。悔しさがあるので、今シーズンこそ勝ち切りたいです!

ーー守備面では失点も少なく、自信になったと思います。
ある程度、周りの選手の特長と組織的な守備の仕方がわかったので、これからはより効率的に、攻撃的に守られるようになればと思います。監督がやろうとしていることを、チームとしてどれくらいできるか、というのが私に求められていると思います。ピッチ上の監督として、私が味方に上手く伝えられるようになれば、みんなが安心してプレーできると思うので、戦術理解をもっと深めていきたいです。

ーーみなさんにしている質問です。こんなWEリーグにする!という松本ビジョンを教えてください。
私がヨーロッパのリーグに挑戦したいと思うように、海外の選手にも、Jリーグにイニエスタやビジャが来たように、WEリーグに来たいと思ってもらいたい。パリ・サンジェルマンがジャパンツアーで日本に来た時、対戦する日本の選手がすごく嬉しそうな表情で集合写真に写る様子をテレビで見ていて、Jリーガーを少年に戻してしまう圧倒的な魅力を感じました。WEリーグに魅力を持ってもらうためには、やっぱりなでしこジャパンの活躍は不可欠だと思います。私もその活躍を見たから今がある。でもその代表はWEリーグの選手なので、まずは発信し続けていくことだと思います。先日、WEリーグの研修があって、講師としていらっしゃった鈴木啓太さんに「自分の魅力はどう発信していましたか?」と質問させていただきました。その答えは「ストーリー性を持たせる」だったのですが、実行するのがなかなか難しくて、目下の課題にしています。

ーー今シーズン、こんなプレーを見せます!という決意表明をお願いします。
派手なプレーは少ないですが、プレーの正確さを見てほしいです。相手のプレーを予測しているので、飛ばずにキャッチしてユニフォームを汚しません。私が派手にプレーしなきゃいけないシュートを打ったり、シチュエーションを作って、私のユニフォームを汚すライバルが出てきてほしいです。もちろん私もそれを踏まえたうえで、防ぐために練習着をドロドロにするまで練習を重ねます。練習着は汚しますが、試合ではユニフォームを汚さないパフォーマンスをしますので、ぜひ観に来てください。

(インタビュー・構成=早草紀子)

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【プロフィール】
松本真未子(まつもと まみこ)
1997年10月9日生まれ、千葉県出身
GK、背番号16
松戸フットボールクラブU12 → 浦和レッズレディースジュニアユース → 浦和レッズレディースユース → 浦和レッズレディース → マイナビ仙台レディース

※この記事は、WEリーグ公式Webサイト『WE LEAGUE.jp』にて2022年8月11日に掲載した内容を転載しています。
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著者プロフィール

2021年9月に開幕した日本初の女子プロサッカーリーグです。WEリーグは「Women Empowerment League」の略称で、この名称には日本に“女子プロサッカー選手”という職業が確立され、リーグを核に関わるわたしたちみんな(WE)が主人公として活躍する社会を目指す、という思いが込められています。現在12クラブが所属し、ホーム&アウェイ方式による総当たりのリーグ戦「2023-24 WEリーグ」を秋春制で開催します。

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