早大バレーボール部【連載】早慶定期戦直前特集 第3回 中澤恵主将×金子奈津実主将

チーム・協会

【早稲田スポーツ新聞会】

【早稲田スポーツ新聞会】取材・編集 早稲田スポーツ新聞会 五十嵐香音/慶應スポーツ新聞会 田中瑠莉佳
第86回早慶バレーボール定期戦(早慶戦)が7月30日に開催される。早慶定期戦直前対談第3回は、両校女子バレーボール部を率いる中澤恵主将(スポ4=大阪・金蘭会)と金子奈津実主将(慶大)の二人。プライベートのお話に始まり、主将ならではの苦労ややりがい、今年のチームの特徴などについて伺った。

※この取材は7月6日にオンラインで行われたものです。

プライベートやお互いの印象について

「W」のポーズをする中澤主将(上)と「K」のポーズをする金子主将 【早稲田スポーツ新聞会】

――昨年の早慶戦でも対戦したと思うのですが、お互いの印象はいかがですか

金子 2番の背番号で中澤さんがやっていたと思うのですが、私はライトなので、中澤さんのスパイクに対してブロックを跳んでいました。すごく高い打点から打たれて、スパイカーとして本当にすごい方だなという印象はあります。

中澤 すみません、私あんまり意識して見ていなくて。昨年は特にスタートの1、2セットはリーグ戦で出るメンバーではなく、いつも試合に出ない子たちの経験の場として試合に臨ませてもらっていて、結構外からの目線でチームを見ていました。去年はその印象が強く残っているので、慶應さんのレシーブ力など粘りの部分が特に印象に残っていますね。


――お互いのここがうらやましいというところがあれば教えてください

金子 みなさん個々の技術が高い印象があって、身長がものすごく高いイメージがあります。私は159センチでスパイカーなのですが、慶大はチームとしてそんなに身長があって個人の技術があってというチームではないので、そこがうらやましいなって思っています。

中澤 慶應さんはみんな可愛い感じで女の子らしいなっていう印象があって、そこはちょっと早稲田に欠けているなって思います(笑)。学校も早稲田よりキラキラしているイメージでそこがうらやましいです。


――オフの日はどのように過ごしますか

金子 私たちは週2回オフがあるのですが、基本的にアルバイトと授業と後は体力回復のために寝るっていう感じで一日を終えていて。コロナの影響もあって、そんなに外に遊びに行く機会がないので、ひたすら体力回復に努めてっていうオフを過ごしているかもしれないです(笑)。

中澤 私は大体月曜日がオフなのですが、下級生のときは授業がパンパンで結構時間がなかったです。上級生になってくると授業も余裕が出てきたりして、月曜日の時間を使っておいしいものを食べに行ったりとか、就活も最近終わったので、友達と日帰りで旅行行ったりとか、リフレッシュの機会にする時間にしています。


――最近のマイブームは

金子 すごくくだらないことなのですが、私今免許を取るために教習所に通っていまして。オフの日にも行っているのですが、それでちょっと道路を走っている初心者マークの車を見たら応援するっていうのがマイブームです。道路を見て「初心者マークだけど駐車頑張ってる!」とか、「頑張れ頑張れ」って応援しています(笑)。

中澤 今リーグが終わってビーチバレーの選手権にも出してもらっていて、練習でちょっと遠いところに行っています。電車で行くと疲れてしまうのですが、去年の12月に免許取ったので車で行きました。日帰りの旅行などでも運転する機会が最近多くて、初心者マークを付けながらなんですけど、頑張って上手い運転を意識しています。後は料理とかしています。


――得意料理はありますか

中澤 得意料理は絶対失敗しないカレーとか(笑)。煮込むと何でもおいしくなるので、肉じゃがとか煮物とかそこら辺を作って食べたりしています。


――金子さんはお料理されますか

金子 あっ私も一昨日作ったのはカレーです!絶対失敗しないのでルーとか使う系のものとか、冬はひたすら鍋とか作って食べはするのですが、全然料理は上手くないですね。


――練習場所やキャンパス付近のおすすめのお店は

金子 日吉キャンパスの近くでバレー部とよく行くのは2つあります。カレーナンのお店はナンが食べ放題なので、部活後に3枚4枚おかわりして食べられるので人気です。「達吉」といううどんそばのお店もあるのですが、そこの肉付けそばが部内の人気メニューで、並中大とあるのですが、そばにご飯も付くので、よく食べる部員には人気で、後輩とかとも一緒に行ったりすることが多いです。

中澤 西武新宿線の上井草駅の近くの体育館で練習していて、駅から真っすぐ行った道に「スワズ」というカレーナンのお店が1つあるのと、「熙宴(きえん)」という中華料理屋さんがあります。大体700円くらいで結構がっつりバランスよく食事がとれるので、お昼はその二択になってくるかなと思います。夕ご飯になるとちょっと遠いのですが、後輩を連れて「しゃぶ葉」に行ったり、「MORI MORI」っていう中国人がやっている中華料理屋さんに行って、たまに上級生だけだとお酒を飲んだり。結構昼と夜で分かれてくる感じではあります。

バレーボールについて

春季リーグ戦にてスパイクを打つ中澤主将 【早稲田スポーツ新聞会】

――それぞれ早大、慶大に進学した理由を教えてください

中澤 私は高校で結構本格的にバレーボールをやっていて、日本一にも何度かなっていたので、Vリーグのチームや、1部の大学からも実際声がかかっていました。けどそこには行かず早大を選んだ理由は、勉強でもスポーツでもトップクラスの人がいる早大に入って、自分がいろいろなことを経験して、社会人に入っていきたいなと思ったからです。プレー面的にも女王みたいな感じでずっと上にいるのではなくて、自分が頑張った分だけ伸びていけるというか、挑戦者としてどんどん上のチームを倒していける立場として頑張りたいなと思いました。

金子 私はバレーボールをすると考えて慶大を選んだわけではなくて、鹿児島出身で田舎の方だったので、東京に出てきたいという気持ちがすごくありました(笑)。自分は部活動をずっとやってきたので、勉強もスポーツもどちらもできるところに行きたいという思いがあって慶大を選びました。バレー部をやっぱり続けたいなと思ったのは、体験練習に行ったり、ホームページを見たり、実際先輩方がバレーをやっている雰囲気を見て、ここで私も4年間しっかりバレーをやって大学生活を終わりたいなと思いました。


――主将に就任した経緯は

中澤 自分は3年生で副将だったのですが、副将という立場から見て、チームに足りないとずっと感じていた泥臭さ、地道さのような厳しい部分を、来年は自分がキャプテンとして言葉と姿で引っ張りたいなという思いがありました。それを監督や同期に伝えて、任せてもらえたというのが経緯です。自分はずっとバレーをやってきて、キャプテンを一度もやったことがなかったので、バレーボール人生の中で、キャプテンとしてチームを引っ張って、自分の代で成績を残したいと強く思っていました。

金子 慶大は、先輩方が引退した後に監督やスタッフの方々から指名されるという形で主将になりました。私は自分がなるとは思っていなかったので、言われて「あ、私か」と思って(笑)。本当に引退試合の後に言われたので、中澤さんが副キャプテンをしていたというような、方針の決まった状態からのスタートではなくて。その後代替わりオフの間に、自分も同期と話し合って気持ちを作って、これからどうしていこうというのを話すところからの新チームスタートという感じで(笑)。戸惑いもありつつ、みんなで話し合って紆余曲折ありながら、チームを作ってきました。


――主将として意識していることはありますか

中澤 2つあります。1つ目はコミュニケーションです。技術指導だけでなく、1人1人に試合に向けての思いや悩みを聞くことや、面倒を見ることを大切にしています。一緒に練習する中で、できたときに感じられる達成感や、もっと上手くなりたいという気持ちを持ってもらいたいです。2つ目は、自分の姿で示すことです。自主練習や動画でのバレーの勉強など、自分がもっと上手くなろうとすること、辛い方を選んで頑張る姿を後輩にみせることをしています。私が最後決める立場であることを強く意識して、練習しています。

金子 慶大は部員が21人いるのですが、試合に出るのは6、7人です。その中でも試合に出ない他のメンバーが、部活でバレーをしていて良かったと思えるようにしたいという思いがあります。勝つために練習はしますが、やはり試合に出られない人や後輩にも、何かをしっかり残せるような部活動にしたいと思って、バレーをしています。


――スポーツ推薦がほとんどいない中での苦労はありますか

中澤 早大はスポーツ推薦が金蘭会から自分と秋重がいるだけで、あとは自己推薦と一般入試で入ってきた子が多いです。みんな目標を達成したいとは思っているのですが、そこにかける思いや、授業とバイトと部活の優先順位の差が出てきて、1回それで悩んだこともありました。1部のチームはバレーボールをするために大学を選んで、バレーボール中心の生活をしている人たちが多いですけど、その1部に行く、そしてそれに勝って成績を残していくということを目指している以上、高い意識でやっていかなければならないですよね。これをどんな経験の人にも厳しく伝えて、厳しさの先の楽しさも感じてもらえるように引っ張っていこうという共通意識で4年生としてやっています。

金子 慶大はスポーツ推薦という制度自体がないので、そういう部員はいないのですが、バレーをやってきた人と、最近本格的に始めた人が半々くらいなので。人数は多くてAB戦とかはできることはある一方で、どうしても質が落ちてしまうというのが最初の方は課題でした。ひたすらパスだけする期間とか、ボールなしでフォームを確認する時間を長くとって、基礎的なことは全員ができるようにというのを代が変わってから徹底しました。基礎の基礎を固めるというのは苦労しましたし、個人によってできることや習得スピードが違うので、全員でできることのラインをそろえることで、今やっと部活動のバレーボールをやっていけているなと思います。


――主将に就任してから1番苦労したエピソードは

中澤 最近になるのですが、自分たちは1部昇格をずっと1年生から目指していても達成できなかった中で、大きな節目として入替戦がありました。でも自分が教育実習で3週間母校に戻っていて、もどかしくてチームにも申し訳なかったです。副将の山下がめちゃめちゃ頑張ってくれましたが、それで山下にストレスを与えてしまったので、つらい時期に近くにいてあげられなかったということと、チームの大きな試合の時にキャプテンとして残れなかった申し訳なさが1番つらかったです。

金子 私たちはコートに4年生が2人しか入っていなくて、リーグ戦ではセッターとかリベロ、エースといった主要なポジションが後輩でした。後輩だからという甘えを出さないでついてきてもらって、一緒に勝つために頑張ってもらうという気持ちを作るところで苦労しましたね。4年生になって初めて、最後だからという気持ちが生まれたりするのを自分自身感じているのですが、後輩が頑張ってくれないと勝てないチームだということは2年生の頃からわかっていたので、そこを後輩とコミュニケーションをとって、頑張ろうと思ってもらえるような4年生であることに、今もすごく苦労しています。


――逆によかったところはどこですか

中澤 今年の成績は私たち代の成績だということです。今まで1番得点を決めて優勝してもそれは先輩たちの成績でしたが、今年の成績は一生ついてきます。今年2部で優勝できたことは、春休みから厳しく練習してきた成果が形として出たのが嬉しくて。最終目標として1部昇格はできなかったのですが、秋に向けてすごくポジティブな結果だと思います。あと個人的に、スタッフの方とコミュニケーションをとる機会がすごく増えました。今までタイムアウトのタイミングやメンバーの使い方など、自分の考えと違うことが多かったのですが、日頃の練習からバレーの話を深くたくさんしたことで、リーグの時もそこのストレスはありませんでした。キャプテンになったからこそ増えたコミュニケーションで気持ちの面も安定したのかなと思います。

金子 私も似ているところはあるのですが、キャプテンや最高学年になったことで、関わり方が大きくなったというか、練習メニューや試合中のベンチワークとかメンバーとか全部に関われるようになったというのがすごく大きいなと思っていて。今まで自分がしたいと思っていたことが実際にやってみることができた上半期でした。思いついたことをやってみて、だめだったらほかのことで挑戦できる機会が多かったというのがやりがいを感じたところです。


――早大バレーボール部、慶大バレーボール部の特徴は

中澤 早大は、プレー面的には絶対的エースがいるということと、身長が高いということです。秋重と私がどんな苦しいトスでも乱れた時でも、ハイセットになれば打ち切れるというところが強みだと思うので、どんなに経験がない子が入っても、みんなで2本目をカバーすれば得点になるというのがチームの特徴でもあると思います。また、1、2年生だった頃のメンバーとは結構変わって、全体的な平均身長がすごく上がったので、ネット際のスパイクとブロックの強さが出てきているなと感じていて。それによってレシーブの負担が軽減されています。人の面でいうと、早大はまじめな子が多いです。ミスは反省して練習しますし、日々の練習でさぼっている子は少なくて。さぼっている子が目立つ雰囲気がすごくいいなと思っています。勉強をちゃんとやってきた子が多いので、成功するためにどうやって努力すればいいかちゃんとわかっているし、小さいことを努力できるので成果もついてくるという、みんなの人間性がバレーボールというスポーツに合っているなと思います。チームの雰囲気もまとまっていてキャプテンとしても助かっています。

金子 慶大は、身長はすごく小さいのですが、一人一人がつながなきゃとか拾わなきゃという意識がすごく高いチームだと思います。どんなにブロックの上から打たれたり脇を抜かれたりしても、あきらめずに追いかけて触りに行くというところが自分たちの強みだと思います。チームの雰囲気は、部員が多い分お互いが指導しあえるというか、一人の指導者がみんなに教えるという感じではなくて、全員学年関係なくお互いにわかることを教えてという雰囲気があるというのがいいところであって特徴かなと思います。


――リーグ戦の総括をお願いします

中澤 春リーグを振り返ると、私がいなかったことに加え、25点の展開の中でどうやって戦っていくかという経験が必要な部分が足りなかったと思います。秋に向けて同じ目標を立てているのですが、しっかり2部で全勝優勝して1部昇格できるように、夏はコート内外のメンバーが全員同じ意志で向かっていけるよう頑張っています。コロナで棄権になるチームが多かった中で、早大では体調管理をしっかりして試合を延期にせず、けがもなくやり抜けたというのが、良かったなと思います。夏は熱中症も出てきますが、けがや体調不良で抜けないように声を掛け合っていきたいと思います。

金子 私たちは3部残留を目標に戦っていたのですが、今回4部降格になってしまって達成できなったというのが結果としてあります。さっきの特徴で「つなぎ」を挙げたものの、圧倒的な高さとか攻撃力の前で対応しきれなかったところが反省として出ました。まず身長が小さくても思いっきり攻撃できるサーブをこれから極めたり、サーブレシーブをもっと徹底したりしていきたいです。3部と4部では平均身長も全然違いますし、3セット先取から2セット先取に変わるので、変化に柔軟に対応して、3部に復帰するため秋に向けて頑張っていきたいなと思っています。

早慶戦について

――久しぶりの有観客はいかがですか

中澤 すごく楽しみにしています!友達や先輩が見に来てくれることや、観客の方々とのつながり、応援部が盛り上げてくれること、いろいろな子が出場できることが楽しみですね。

金子 有観客でバレーボールをしたのは、多分私たちが1年生の頃以来とかになります。久しぶりでどきどきする半面、1点取るだけであんなに会場が沸くことはリーグでもなかなかできない経験なので、すごく楽しみです。男女一緒にやるということで、お互いに応援しあって思い出に残る一戦にできたらいいなと思います。


――早慶戦の見どころを教えてください

中澤 1年生が出場するので、キーマンになってくるかなと。下級生をたくさんコートに入れたいです。思いっきりやってくれるのが盛り上がるし、小さな成功体験にもつながると思います。今まで外で見ていた子たちも、コートに立って自分が点を取るという経験を積んで欲しいです。それが自分を成長させてくれると思います。家族の応援もみんなが日々頑張っていく中ですごく大切で。もう1回頑張ろうと思う機会になってくれるといいなと感じています。

金子 リベロに注目して欲しいです!早大さんのすごいスパイクをたくさん受ける機会があるのですが、早慶戦って1本上げるだけですごく盛り上がってくれる場だと思うので。リベロ以外にも後衛の選手が、早大の高い打点からのスパイクを一本一本食らいついて上げるというプレーを見ていて欲しいなと思います。


――最後に意気込みを!

中澤 まずは、絶対に負けないということです。普段と違って全員に出場の機会があるので、練習からしっかり準備したいです。慶大さんは粘ってくるので、早大は粘り負けせず1点をもぎ取るということが勝敗やリズムに関わってくると思います。点の取り方は幅広く、誰が出ても盛り上がれるように、全員が笑顔で戦い抜きたいです。

金子 もちろん勝つつもりで臨みます! メンバーの入れ替えもありつつですが、昨年は2セットを取っているので。今年は3セット取ることを目標に、粘りだけは負けないように。1人1人が粘って会場を沸かして、勝利につなげられるように頑張ります!


――ありがとうございました!

ガッツポーズをする両校主将 【早稲田スポーツ新聞会】

◆中澤恵(なかざわ・めぐみ)(※写真上)
2000(平12)年5月28日生まれ。171センチ。大阪・金蘭会高出身。スポーツ科学部4年。趣味はドライブ。昨年免許を取得し、日帰りの旅行やビーチバレーの練習など、遠出する際に運転するそうです!

◆金子奈津実(かねこ・なつみ)
1999(平11)年6月24日生まれ。159センチ。鹿児島・鶴丸高出身。理工学部4年。現在、自動車学校に通っている金子選手。最近のマイブームは初心者マークが付いた車の運転を応援することだそうです!

★早慶戦の場所と日程

場所
早稲田アリーナ

日時
7月30日(土)

タイムスケジュール
12:30 会場
13:00 開会式
13:30 女子戦
15:00 パフォーマンス(早慶応援部、ショッカーズ)
16:00 男子戦
17:30 閉会式
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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