【四国インターハイ / 現地レポート3】男女 2 回戦 – 進化し続ける大型ガードが導いたインターハイ初勝利 (北海道・白樺学園) –

日本バスケットボール協会
チーム・協会

【© Japan Basketball Association.】

 香川県高松市を中心とした「令和 4 年度 全国高等学校総合体育大会 バスケットボール競技大会 (以下、インターハイ)」の大会 2 日目が終わりました。きょうから男女のシード校が登場し、初戦の緊張感に多少苦しめられながらも、その多くが本来の実力をしっかりと発揮していました。
 一方で、きょうの試合でインターハイ初勝利を挙げたチームもあります。男子・北海道代表の白樺学園です。今年のインターハイは 2 年連続 4 回目の出場となりますが、これまで夏に勝ったことはありません。冬 (ウインターカップ) は昨年度の大会でも勝利を挙げていますが、インターハイは昨年度もチーム初戦となった 2 回戦で桐光学園 (神奈川) に敗れています。それだけに今夏にかける思いは強かったようです。

 なかでも、チームを率いる宮下真和コーチに「彼は昨夏、不完全燃焼で終わったから、今年の夏にかける思いは強いと思います」と評された彼 ――188センチのポイントガードで、チームのキャプテン、#17 山田哲汰選手の思いは、きょうの実践学園 (東京都) 戦で爆発していました。前後半に各一本、チームが持ち味とする “ 走るバスケット ” からダンクシュートを叩きこんでいるのです。しかも 2 本目はボースハンド (両手) のダンクシュートです。
「これまで全国大会でダンクをしたことはなかったので、今年は絶対やってやろうという気持ちがありましたし、チームとしてもこれまでインターハイでの勝利がなかったので、キャプテンとしてしっかりチームを勝利に導こうと思って、その勢いをつけるためにも叩き込みました」
 今春、U18 日本代表候補にも名を連ねた山田選手。母は元 W リーグ選手で、叔母は元女子日本代表 (オリンピック出場経験あり)。「サラブレッド」と言われてもおかしくない山田選手ですが、彼の一番の持ち味は、その人間性にあると言っていいでしょう。チームメートや対戦相手に関係なく積極的に声をかけ、手を差し伸べます。さらにはコートスイーパー (モップ担当) の地元高校生にも、礼儀をもって対応していました。宮下コーチはそれを彼が元来持っているものとし、さらに「(彼の出身地である) 帯広の中学校の先生方も、彼がうまくなって、どんどん上のレベルに行っても、彼のそういう姿勢を高く評価しているんです」と言います。
 彼を知る誰もが認める謙虚で、人の言葉を素直に聞ける山田選手だからこそ、プレーヤーとしてもどんどん成長しています。第 4 クォーターで19点のリードを保っているときでさえ、「気持ちを切らすな。もっとできるぞ」とチームメートを鼓舞するなど、リーダーシップの面では昨年よりも数段レベルアップしていました。スキル面では、初戦の緊張もあってか、本人も「多すぎた」と認める (11本の) ターンオーバーや、宮下コーチが「もっと放ってもらいたい」という 3 ポイントシュートの試投数や精度など、まだまだ未完成なところもあります。しかしながら、注目の大型ポイントガードとしてインターハイというビッグトーナメントでゲームをコントロールする貴重な経験を積んでいることは、きっと彼の未来に大きな好影響を与えるでしょう。

 チームをインターハイ初勝利に導いた山田選手のいる白樺学園は明日、洛南 (京都) と対戦します。洛南は今年度の高校バスケットボールシーンで注目される高校のひとつです。しかし山田選手はこう言います。
「洛南は近畿大会でも全試合を大差で勝っていて、身長の大きい選手も多くいます。ウチはスターターに190センチオーバーがいないので、高さでは厳しい戦いになるかもしれません。でも僕たちは走るバスケットが得意なので、相手のオフェンスをしっかり止めて、自分たちのいい速攻に結びつけられれば、勝利するチャンスはきっとあるかなと思っています」
 初戦の緊張をダンク 2 発で振り払った山田選手が明日、どんなプレーを見せてくれるのか。彼とともにプレーする白樺学園の選手たちがどんなプレーを見せてくれるのか。対する洛南はどう対抗するのか――。その1試合だけを切り取ってみても、大会 3 日目の明日も “ 熱盛 ” 必至です。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

公益財団法人日本バスケットボール協会情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント