フロンターレ組のE-1選手権レポート〜中国戦

川崎フロンターレ
チーム・協会

【©JFA】

Jリーグでプレーする選手を中心に編成された日本代表が東アジアの頂点を目指して戦うEAFF E-1サッカー選手権2022決勝大会。24日に豊田スタジアムで行われた第2戦で中国代表と対戦した日本代表は、5-4-1の強固なブロックを敷く相手を崩しきれずスコアレスドロー。3連勝での優勝を目指した中で苦い結果となってしまったが、その中で前半から攻撃の中心として輝きを放っていたのが、川崎フロンターレから招集されている脇坂泰斗だった。

香港との初戦後、「もう少しゴールに迫るプレーが必要だった」と反省点を口にしていた脇坂がイメージしたのは、自身のアグレッシブさを出すことに加えて、周囲と的確に連動していくこと。ボールを多く受けて、周りの選手とつながっていくことで攻撃の厚みやバリエーションを出せると考えつつ、立ち上がりから積極的にゴールを目指した。

脇坂泰斗は日本代表3試合目にして、初の先発出場 【©JFA】

まずは10分、相手を背負った状態から鋭くターンして前方へ力強く持ち出しての右足シュートでCKを獲得。続く16分にはロストしたボールを即時奪回して受け直し、ペナルティエリア左からカットインして右足を振り抜いた。21分には狭いエリアを割って入ってペナルティエリア内へ飛び出し、右サイドを突破した宮市亮(横浜F・マリノス)の折り返しを受けて決定機を迎えた。残念ながらいずれも決められなかったが、前半から巧みな立ち位置でボールを受けて攻撃をコントロールするだけでなく、ゴールという結果を求めて意欲的なプレーを披露し続けた。

その後も相手DFの頭を越えるループパス、右サイドで瞬間的に時間と空間をコントロールした宮市へのスルーパスを供給。「出し手になることが多いので、より多くの選手を視野に捉えることを意識していた」と自らのストロングポイントをピッチで表現していく。

そして53分、ペナルティエリア付近で右足アウトサイドで細谷真大(柏レイソル)に絶妙なラストパスを通し、この日最大の決定機をもたらした。しかし、このシュートはゴール上に外れてネットを揺らすことはできず。74分には猛ダッシュで相手GKまでプレスを仕掛けるなど攻守に貢献したが、81分でピッチを退くことになった。

チーム最多タイとなる3本のシュートを放つなど、攻撃面で存在感を発揮した 【©JFA】

チームとしても個人としても「結果が一番求められるゲーム」と考えていた試合。脇坂自身は十分に持ち味を発揮しながら、守りを固める相手を崩しきれず、最も欲しかった“結果”を手にすることはできなかった。

2試合を終えて1勝1分けの日本代表は、27日に韓国代表との最終戦に臨む。中国戦で出場機会がなかった谷口彰悟、山根視来は万全のコンディションで大一番に向かえるだろう。そして悔しさを胸に秘める脇坂にも途中交代でチャンスが巡ってくることが期待される。

中国戦前のメディア対応で「ワールドカップへのラストチャンスだと思って、自分のキャリアの分岐点だと思って、日本代表のE-1優勝のために自分の力をピッチに置いてくるだけ」と奮起を誓っていた。ピッチでの借りはピッチで返すしかない。そして日本代表が優勝という目標を達成するためには、次の試合で勝利するしかない。川崎フロンターレで14番を背負った覚悟と日本代表としての責任を抱き、脇坂が韓国との最終戦で捲土重来を期す。

取材・文=青山知雄
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著者プロフィール

神奈川県川崎市をホームタウンとし、1997年にJリーグ加盟を目指してプロ化。J1での年間2位3回、カップ戦での準優勝5回など、あと一歩のところでタイトルを逃し続けてきたことから「シルバーコレクター」と呼ばれることもあったが、クラブ創設21年目となる2017年に明治安田生命J1リーグ初優勝を果たすと、2023年までに7つのタイトルを獲得。ピッチ外でのホームタウン活動にも力を入れており、Jリーグ観戦者調査では10年連続(2010-2019)で地域貢献度No.1の評価を受けている。

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