「頂点を、つかむ。」 マリーンズ戦記 7月2日イーグルス戦 3対1 執念の野球で貯金1

千葉ロッテマリーンズ
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【千葉ロッテマリーンズ井口資仁監督】

 様々な状況を考え、最善策として送り出した。7月2日のイーグルス戦。同点で迎えた八回二死満塁のチャンス。打席には2年目の小川がいた。今季はここまで1打点。ベンチにはレアードも、マーティンもいた。それでも絶好の好機にベンチが動く事はなかった。指揮官は自ら下した判断を信じ、ベンチでグラウンドの一点を見つめていた。

 「代打も色々と考えたけど、ピッチャーは制球に苦しんでいた。小川がファウルで良く粘って押し出しをとれた。よく粘ってくれた」

 井口資仁監督は試合後の会見で貴重な勝ち越し点を押し出しという形で奪い取った場面をそのように振り返った。

 ベンチにいる外国人勢の代打という選択肢も頭にはあったが「ただ、追っかけてしまうバッター。相手を助ける可能性もある」と判断。粘り強く選球眼のある小川が、制球に苦しむ相手投手にとっては嫌なはずとの総合的見解を導き出し、小川にも「相手投手はコントロールに苦しんでいる。しっかり見極めて粘っていけ」と指示を与えた上で打席に向かわせた。四球を奪い首脳陣の期待に見事に応えた小川は一塁側ベンチに向かって大きくガッツポーズをして一塁ベースに向かった。どんな形でもいい。とにかく1点を奪い取る。マリーンズの野球がハッキリと見えた瞬間だった。

 「(小川は)最近、速いボールをしっかりと打つ練習もしている。昨日もヒットにはならなかったけど、いい打球を2つしっかりと飛ばしていた。茶谷といいポジション争いをして欲しい」としてやったりの結果に指揮官も目を細めた。

 振り返ると同点に追いついた場面も泥臭い攻撃で、もぎとったものだった。五回一死三塁から打席に岡。その2球目だった。外角高めのボールゾーンだったが、執念でバットに当てると意表を突くスクイズが成功した。

 「なんとか追いつきたい場面。しっかりと(岡)大海が前に転がしてくれた。あれでチームもグイッと来た。ある程度、ゾーンに来るピッチャーなので、こちらとしてはサインを出しやすくはあった。ああいう細かいプレーが前半は出来ていなかった。後半はこういう試合を増やしていきたいと思う」とこの攻撃にも満足気だった。

 相手先発の辛島の丁寧な投球に苦しみながらもスクイズで先制し、その後、継投に出たイーグルスから押し出し四球、暴投の間の1点とタイムリーはないものの嫌らしい形で得点を重ねていった。
 
 「ミーティングでも相手先発投手は調子がいいと。低め低めに集めてくるから打たされないようにとなっていたが、予想通り、低め低めにしっかりと集めてきてなかなか連打が出なかった。打たせるタイプのピッチャーなので足を絡めながら機動力を使わないといけないと思っていた。しっかりとみんなで繋いで得点圏を作って何とか得点をすることが出来た」と井口監督は試合全体を評した。

 これで4連勝で4月15日以来の貯金1とした。最大9あった借金を返済し、イッキに貯金に転じた。最大13・5ゲーム差あったイーグルスとのゲーム差は2である。

 「きょうと昨日の勝ちを生かすのは明日次第。イーグルス上位チーム。しっかりと勝てるようにしたい」と井口監督は天井を見上げた。それは2022年のチームスローガンである「頂点を、つかむ。」に込めた想いをジェスチャーで示したような行動にも思えた。
 
 歴史を紐解けば、天正10年(1582年)の7月2日に山崎の戦いが起きている。摂津国と山城国の境に位置する山崎(京都府乙訓郡大山崎町)から勝龍寺城(京都府長岡京市)一帯で羽柴秀吉の軍と、本能寺で織田信長を討った明智光秀の軍勢が激突した日本中世の分岐点となった戦いだ。この戦に勝利した羽柴秀吉は後に天下人となる。マリーンズも今、日本一となるための戦いの日々を続けている。この日、一進一退だった戦いを粘りの野球で制した。執念が呼び込んだ勝利だったと言える。頂点に向かう道のりに近道はない。今日のような形で白星を一つ一つ重ねていくことで、気が付けばたどり着いているのだろう。マリーンズが天下に向けて大号令を発した。日本一のチームになるべく、進撃を続ける。
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