【柏レイソル】7/2鹿島戦プレマッチコラム『仲間隼斗から大嶽拓馬へ、背番号33の意志』

柏レイソル
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 7月2日(土)、18時30分から明治安田生命J1リーグ第19節「柏レイソル vs 鹿島アントラーズ」が開催されます。
 今年でクラブ創立30周年を迎え、マッチデープログラムのコラムでは、レイソルと対戦相手にまつわる選手のエピソードを紹介しています。
 今回は、昨年までレイソルに在籍し、今季からアントラーズに籍を移したMF仲間隼斗選手(30)と、アカデミーの後輩に託した背番号33についてのコラムです。

『戦う意思を示した仲間隼斗』

 2020年7月、コロナ禍による約4か月の中断が明け、リーグ戦が再開された。2月のJ1開幕戦では北海道コンサドーレ札幌を4-2で下し、好スタートを切ったレイソルだったが、リーグ戦再開後は3連敗と苦しんでいた。
 迎えた第5節の湘南ベルマーレ戦、レイソルはようやくトンネルを抜ける。再開後初勝利をもたらしたのは、10年ぶりにレイソルに帰ってきた仲間隼斗だった。

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 仲間はU-15から6年間をレイソルアカデミーで過ごした。彼が高校3年のときには、日本クラブユース選手権準優勝という成績を収めてはいるものの、仲間曰く「僕たちは谷間の世代」。彼の前後の世代を見てみると、二つ年上には酒井宏樹(現•浦和)、工藤壮人(現•宮崎)、武富孝介(現•京都)、一つ上に茨田陽生(現•湘南)、すぐ下には山中亮輔(現•C大阪)、二つ下に中村航輔(現•ポルティモネンセ)、秋野央樹(現•長崎)といった選手たちが名を連ねている。
「僕たちは他の代と違って上手い代ではなかったので、レイソルアカデミーのパスサッカーをやるというよりは、バチバチと戦う泥臭いスタイルでした」(仲間)

 そんな“戦う姿勢”は、仲間が2012年からロアッソ熊本でプロキャリアをスタートさせた以降も、信念として貫き続けてきたものである。その姿勢があるからこそ、仲間はロアッソ、カマタマーレ讃岐、ファジアーノ岡山と、所属した全クラブでレギュラーポジションを掴み取り、主力として活躍してきた。

 2020年のレイソル加入時、仲間はその思いを次のように語っている。
「自分の特徴を前面に出していかないと生き残れない。アカデミーの自分たちの代には泥臭さがあり、それが今でも続いているのは確かで、自分のアピールポイントでもある。最後の1センチまで寄せる、そういう細かい部分を出していきたい」

 開幕3試合はメンバー外となり、忸怩たる思いもあったはず。ただ、第4節の川崎フロンターレ戦は1-3で敗れはしたが、後半から出場した仲間の闘争心剥き出しのプレーは、確実にリズムを変えた。前述のベルマーレ戦のスタメン出場は、そんな仲間の戦う姿勢をネルシーニョ監督が高く評価したからだろう。そして仲間は、決勝ゴールを決めて指揮官の期待に応えた。

 70分、右サイドの神谷優太のクロスをファーサイドで受けた仲間は、胸でトラップした後、ハーフボレーを突き刺した。得点が決まった直後、雄叫びを上げ、大きなガッツポーズで喜びを爆発させた。レイソルの選手として10年ぶりに立つ日立台のピッチ、初スタメン、J1で生き残るという思い…。この試合に懸ける仲間の思いと覚悟が凝縮された魂の込められた一撃だった。

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 仲間は今年から鹿島アントラーズへ移籍。それでも彼の戦う姿勢は確実に後輩へと受け継がれている。昨年まで仲間が背負っていた背番号33を、今年背負うのはプロ2年目の大嶽拓馬だ。背番号変更の理由を大嶽に聞くと「尊敬する隼斗さんが付けていた番号。自分もあのように戦える選手になりたいので、33にしました」と、自身の強い希望で選んだことを話してくれた。

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 それだけではない。アカデミーの選手に対しては、仮にU-18から直接トップチームに上がれなかったとしても、信念を貫き、直向きにプレーを続けていれば、10年という月日が経ってもレイソルに帰れるということを仲間は身をもって証明してくれた。さらにコロナ禍で先行きが見えず、不安が募った時期。あの試合を見ていた多くの人が、仲間の咆哮の一撃に勇気づけられたのではないだろうか。

(文:鈴木 潤/柏レイソルオフィシャルライター)
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著者プロフィール

1940年に母体となる日立製作所サッカー部が創部、1995年にJリーグに参戦。1999年ナビスコカップでクラブ史上初タイトルを獲得。ネルシーニョ監督のもと、2010~2011年には史上初となるJ2優勝→J1昇格即優勝を成し遂げる。さらに2012年に天皇杯、2013年に2度目のナビスコカップ制覇。ホームタウンエリアは、柏市、野田市、流山市、我孫子市、松戸市、鎌ケ谷市、印西市、白井市の東葛8市。ホームスタジアムは、柏市日立台の「三協フロンテア柏スタジアム」。主な輩出選手は、明神智和、酒井宏樹、中山雄太。

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