早大ラグビー部 雷雨で一時中断も日大に勝利 最終節を白星で飾る!

チーム・協会

【早稲田スポーツ新聞会】

関東大学春季大会 6月12日 対日大 日大稲城グラウンド
【早稲田スポーツ新聞会】記事 塩塚梨子、写真 谷口花

 関東大学春季大会(春季大会)開幕から約1カ月が経った6月12日。早大ラグビー部は1勝3敗で日大との最終節に臨んだ。試合開始早々、今大会通算5トライを挙げているWTB槇瑛人(スポ4=国学院久我山)が先制すると、7分、21分にもNO・8相良昌彦(社4=東京・早実)、SH宮尾昌典(スポ2=京都成章)が追加点を挙げ試合のペースを順調につかむ。しかし前半25分、雷雨の影響で試合が一時中断に。再開後は相手に2トライを連続で許すが、終了間際の宮尾の得点により24―14で前半を折り返した。後半は、6分に敵陣ラインアウトからモールトライを奪ったものの攻めあぐねる時間が続き、39分にはトライを献上。しかしその直後にWTB磯崎錬太郎(商3=徳島・城東)がインゴールを駆け抜け点差を15に引き離し、36―21でノーサイド。最終節は白星を飾り、今大会を2勝3敗で終えた。

 前半開始早々、CTB松下怜央(スポ4=神奈川・関東学院六浦)が敵陣10メートル付近からゲインすると、22メートルラインでパスを受けた槇が先制トライを挙げ、幸先の良いスタートを切る。続く7分、相手のパスミスに反応した相良がそのままグラウンディングすると、その後も敵陣でフェーズを重ね、21分には宮尾が追加点。点差を17に引き離した。しかし25分に、突然の雷雨に見舞われ試合が一時中断。約45分後に再開されると、それまでの良い流れを継続できず30分、36分にディフェンスの隙を突かれ失点。相手にペースを乱されてしまう。しかし前半終了間際に敵陣22メートル付近で堅実にフェーズを重ねると、フッカー佐藤健次(スポ2=神奈川・桐蔭学園)からロック村田陣悟(スポ3=京都成章)にボールがわたり、最後はオフロードパスから宮尾がトライ。24ー14の10点リードで試合を折り返した。

開始早々ビッグゲインするCTB松下 【早稲田スポーツ新聞会】

 後半も順調な立ち上がりを見せる。6分に敵陣ゴール前でラインアウトを獲得すると、そのまま佐藤がモールトライ。このまま勢いに乗りたい早大は、何度も敵陣深くまで攻め入るが、あと一歩のところでペナルティが重なり得点に結びつけることができない。試合が動いたのは39分。相手スクラムのアタックからトライを献上し、10点差まで詰め寄られてしまう。しかしその直後、FB小泉怜史(文構4=東京・早実)が敵陣10メートルラインから一気に走り抜け、最後は磯崎がグラウンディング。試合終了間際にもCTB吉村紘(スポ4=東福岡)のキックを小泉がチェイス、相手の反則を誘い大きなチャンスをつくったが、ここは取り切れずにノーサイド。最終スコア36―21で勝利を収めた。

相手を寄せ付けないランで好機を生んだFB小泉 【早稲田スポーツ新聞会】

 一時は激しい雷雨の影響で試合が中断されるなど、思い通りのコンディションとはいかない中でも勝利を収めた早大。フィジカルの強い相手のプレッシャーを受けた場面はあったものの、BKの素早いアタックやFWのモールトライなど、随所に成長が見られた試合となった。春季大会は2勝3敗という結果で幕を閉じることとなるが、「昨年とは全く違う収穫がこの春シーズンで得られた」と松下が話すように、この春シーズンで得られた経験は、秋に向けてチームの、そして選手一人一人の大きな糧となるだろう。『荒ぶる』に向けて、早大ラグビー部の戦いは始まったばかりだ。

コメント

大田尾竜彦監督(平16人卒=佐賀工)

――今日の試合を振り返って

 試合開始後はすごく順調に行っていたのですが、雷雨後のなかなか難しい状況での試合になったものの、そこからよくしっかりとプレーしてくれたなと思います。少し流れのあるプレーをしてほしかったなという気持ちもありますが、それも仕方がなかった状況なのかなと思います。

――前回の帝京戦から戦術的にフォーカスしてきた点はどのような点でしょうか

 ディフェンスのラインスピードを上げようという話をしました。

――その点は本日いかがでしたか

 まだまだ上げられるとは思いますが、そこまで悪くはなかったと思います。

――春シーズン最終戦となりましたがチームの仕上がりはいかがでしょうか

 仕上がりはまだまだですね。もっと成長できると思いますし、また、しなければいけないかなと思います。

――夏、秋へとチームをどのように強化していきたいですか

 セットプレーや22メートルラインに入った時のスコアリフとブレイクダウンの激しさなどとやることはたくさんありますね。

――今後の意気込みをお願いします

 私も2年目ということで段々と選手とのコミュニケーションもより密になってきましたし、お互いがしっかりと1つのものを作りあげるということを大事にしながら、『荒ぶる』を狙えるチームを作っていきたいと思います。

CTB吉村紘副将(スポ4=東福岡)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 試合の中断があってすごく難しい試合でした。(試合の)再開後に2トライを取られたり、ペナルティを重ねてしまったり、自分たちの甘さがすごく出た試合だったと思います。

――吉村選手はかなり積極的に声を出している印象を受けました。今日の試合でそのようなコミュニケーションは特に意識されていたのですか

 ポジション的に、周りを生かして良さを引き出すのが僕自身の強みでもあるので、常に隣と喋る、他のメンバーと喋るというのは意識しています。今回の試合に限っては、試合が中断してペナルティも重なり、少し複雑なゲーム展開だったので、みんなを日常のグラウンドでのパフォーマンスに戻そうと思って意識して声をかけていました。

――ゲームの序盤に「アタックマインド」という言葉を発する場面がありましたが、それについて詳しく聞かせてください

 相手がプレッシャーをかけてきていたので、それを受けてしまうと接点でやられてしまうと思いました。出てきたディフェンスに対して、特に序盤は逃げるのではなく、こちらから縦に強くプレーしていこうという意味であのような声かけをしました。

――今日の試合のテーマを教えてください

 ディフェンスはこちらからラインを上げてプレッシャーをかけること、アタックはブレイクダウンのクオリティでボールをリサイクルし続けることでした。できていたシーンはトライが取れましたし、できていなかったシーンはターンオーバーされていたので、アタックに関してはそこの重要性を改めて感じた試合でした。

――フィジカルの強い相手に対してどのような対策で臨んだのですか

 外に運ぼうとした時に僕もビッグタックルを浴びて、思い通りのアタックにならなかったので、試合再開後は意識的に、相手がいてもあえて縦のプレーを選んでフェーズを重ねることは意識していました。

――特に後半、なかなかトライを取り切れないような場面が多く見受けられましたが、その点についてどのように改善したいと考えていますか

 相手がプレッシャーをかけてくる中で、特に敵陣深くだと相手のスペースもないので、パスではなく接点で押し込まないと前に出ることができません。そこのコンタクトエリアでのキャリアの強さとサポートプレーヤーの強さは突き詰めていかなければいけないと思います。ただボールをキープしていれば何度かスペースができていたので、接点の強度とクオリティはこれからもっと上げていければと思います。

――春シーズンを振り返って、成長した点と課題を教えてください

 アタックはみんな徐々にやることが共有できていて、スコアできる感覚が増えてきていると思います。ディフェンスは、セットのクオリティを突き詰めるのはもちろんなのですが、一人一人の戦うマインド、コンタクトエリアでの激しさは帝京大戦で気づかされました。今回もその意識が薄かったように感じるので、そこは今後意識していきたいです。

――夏と秋に向けてチームと個人それぞれの目標を教えてください

 チームとしては、秋冬シーズンに向けた最高の準備をすることです。一つのターゲットとして、帝京大戦は勝ちにこだわってやっていきたいと思っています。個人としては、昨年あのようなかたちでシーズンが終わっているので、定位置を確保するのと同時に、自分としてもスキルと安定感の面で大きく成長できるようにしたいです。

――自分のどのようなところを武器にしてアピールしていきたいですか

 パスキックのスキルレベルは良いところだと思っているので、そこを強みにしていきたいのと、コミュニケーションの面で、他の14人が気持ちよくプレーできているかどうかは僕の中で試合中すごく強く意識しているところなので、そこを見てほしいです。

フッカー佐藤健次(スポ2=神奈川・桐蔭学園)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 自分達のスクラムが組めなかったので、そこは秋シーズンに向けての課題なのと、もっと早大のペースでラグビーをできたと思うのですが、相手チームのペースに合わせてしまったので、そこも課題かなと思います。

――セットプレーの課題や収穫などはありましたか

 ラインアウトは成功率も高く成長を感じました。スクラムは、安定はしているのですが、ターンオーバーのチャンスであったり、ペナルティを貰ったりというところまで全然いけていないので、秋にはどんな相手でもペナルティをもらえたり、相手のスクラムをしっかり押したりできるようにしていきたいと思います。

――モールトライを取りました。かなり喜んでいるのが印象的でしたがあれは準備していたのですか

 いいえ、チームとしてFWでトライを取ろうと言っていたので、そこで取れたのは良かったのと、去年のシーズンでは僕自身がトライできる場面が多かったのですが、今年は春シーズン初トライだったので、それが嬉しかったです。

――相手は外国人選手もいてフィジカルの強い相手だったと思いますが、対策はされていましたか

 1人目がしっかり下にきて2人目がしっかりボールにタックルに入るということを意識していたのですが、2人とも高くいってしまったり、2人目がボールを殺しきれず、オフロードを繋げられた場面が多くみられました。対抗戦も外国人がいるチームがあるので、そこをしっかり修正して、秋シーズンに向かっていきたいです。

――春の大会を振り返っていかがでしたか

 自分達のストラクチャーであったり、プレーの中でのトライというのは取れたのですが、セットプレーのトライが少なかったので、FW自身もっと成長しなくてはならないところですし、まだ細かいミスが多かったり、タックルの一つ一つのコンタクトであったりが、あまり良い感じに入れなかったので、秋に向けて2段階くらいもっとレベルアップしなければいけないと思います。

――春シーズン全体を通してチームとしてはどのような収穫がありましたか

 自分達のアタックをできた時のトライはしっかり取れていて、ストラクチャーで良いアタックができている時に取れたりしているので、そこは収穫ですね。

――今後の夏、秋に向けて、チームとして個人としての目標をそれぞれお伺いしたいです

チームとしては、集中力をもって取りきるところで取ったり、どこに勝負を持ってくるかだったりで、試合でのメリハリをしっかりつけていきたいです。個人としてはもっとゲインできて、もっといいタックルも入ると思うので、個人としてチームを勝たせられる選手に成長できたらいいなと思います。

フランカー植野智也(法4=東京・早実)

――今日の試合を振り返って

 前半の入りはすごく良かったのですが、日大さんのディフェンスがすごく上手でそれにはまってしまったというか、自分たちのかたちが作れなかったのが問題かなと思います。

――セットプレーの総評は

 セットプレーは練習でも自信をもっていたので、今日の試合でも自信を持って臨んだ部分でした。前半はモールを何回も組んでなかなかトライが取れなかったのですが、後半の入りでやっとモールでトライを取ることができたので、そこが収穫かなと思います。

――FWのなかで「エナジー」という言葉が何度も聞こえましたが、そこについて聞かせていただけますか

 FWについては技術より気持ちが一番大事というか。日大さんが元気なチームだったので、気持ちで負けていたら、FW戦でも勝てないなと思っていました。日大戦のテーマとして気持ちの部分はFWは大事にしていました。

――強みであるタックルについては

 そうですね。タックルは良いかたちで入れる部分が多かったのです。後半で自分が疲れてきたときに飛び込んでしまう部分はあったので、そこが修正点かなと思います。

――ブレイクダウンについてはいかがですか

 ブレイクダウンの部分も前半の入の入りは良かったのですが、寄りが遅くて相手にターンオーバーされてしまう場面もあったので、ひとつひとつ修正していきたいです。

――フィジカルが強い日大に対して何か対策は

 春シーズンの試合に関してはどちらかというと、相手に合わせるというよりかは自分たちのかたちにこだわるというところに重きをおいてきたので、相手の対策はあまりしていないですね。

――春季大会全体を振り返って

 FWの部分を強化してきて自信を持てる部分も多くありましたが、やはり帝京さんとかには効果的なスクラムを組むことができなかったり、モールを組めなかったりしたので、これから帝京さんより2倍も3倍も伸びしろをもってやっていかなければいけないなと感じています。

――夏、秋に向けての目標をお願いします

 FWのセットプレーの部分が今シーズン鍵になってくると思うので、FWの一体感というか、チーム全体としてそこを強化していくんだという思いをもって取り組んでいければと思います。

CTB松下怜央(スポ4=神奈川・関東学院六浦)

――今日の試合を振り返って

 ディフェンスラインを上げるというところを目標にやっていたのですが、コンタクトの部分で相手の強い部分に当たってしまい、そこから乗っかかれてというように自分たちの思うような展開ができなかったということが一番ですね。

――ディフェンスの良かった点は

 前に出るというプレッシャーのところはできたかなと思います。それでもやはり一人目が高くいってしまって相手の強い外国人やプレイヤーに乗っかられてしまって、相手のペースに持ってかれたというのがあるので、前戦の帝京大を倒す上では、しっかりと一人目で仕留めるようなディフェンスにしていきたいと思います。



――復帰戦の手応えはいかがでしたか

 1ヶ月ぶりの試合だったのですが、試合感もまだまだ足りないところもあるのですが、1ヶ月ぶりにしては自分の中ではできた方かなと思っています。

――昨年悔しい敗戦を経験しています。最上級生として意識されてることは

 チームの中心となって、自分がというか4年生が先頭に立って後輩たちを引き連れていくということを意識してやっています。

――今日で最終戦です。春シーズン全体を振り返って

 アタックやディフェンスの部分でも大きく変わったところがありますし、その中で良いところも悪いところもあった春シーズンなのかなと思います。強い相手のチームでもBKの展開でトライを取ったり、FWだとモール、スクラムで。強いチームも含めて、昨年とは全くちがう収穫がこの春シーズンで得られた分、まだまだ課題にしていかないといけないところもたくさんあります。『荒ぶる』を獲るためにパスやタックルの精度であったりを最終きちんと突き詰めて調整して、荒ぶるを獲りにいきたいと思います。

――夏、秋に向けての目標を聞かせてください

 昨年はベスト8という納得のいかない結果で終わってしまったので、まずは荒ぶるを絶対に取ることを目指すと共に、自分が中心となって引っ張っていくというところをもっとプレーで体現できたらなと思います。
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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