夏の北海道シリーズが開幕! 函館スプリントSを分析!

JRA-VAN
チーム・協会

【2020/6/21 函館11R 函館スプリントステークス(G3) 1着 6番 ダイアトニック】

今年の北海道シリーズは通常通り函館→札幌の順番で開催が予定されている。したがって、今週日曜日に行われる函館スプリントSは2年ぶりに函館で行われることになる(21年は札幌で施行された)。いつものように過去10年のデータを分析し、レースの傾向を探っていくことにする。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

過去10年の函館スプリントSの好走馬(札幌開催だった21年は除く/前走着順は入線着順)

■表1 【過去10年の函館スプリントSの好走馬(札幌開催だった21年は除く/前走着順は入線着順)】

表1は過去10年(札幌開催だった21年は除く)の函館スプリントSの好走馬一覧。年齢や人気、前走レースの着順(入線)・4コーナー(角)の位置取りを記載し、さらに注目したい実績を備考に記した。まず、気づくのは1番人気があまり勝っていないということ。20年のダイアトニックしか勝利していない。一方で12年はロードカナロアが2着(単勝1.3倍)、19年はタワーオブロンドンが3着(単勝1.8倍)に敗退。また、14年はストレイトガールが11着(単勝1.6倍)と惨敗している。スプリントG1を勝つ力があるような馬が、単勝1倍台のオッズで続々と敗れているのだ。どんなに実績上位の馬であっても全く油断ができないレースだ

過去10年の函館スプリントSの年齢別成績(札幌開催だった21年は除く)

■表2 【過去10年の函館スプリントSの年齢別成績(札幌開催だった21年は除く)】

表2は年齢別の成績。3歳は勝率・連対率・複勝率すべてで優れている。単勝回収率も310%、複勝回収率も243%と非常に高い。一方、7歳以上も単・複の回収率が100%を超えている。5歳は最多となる4頭の勝ち馬を出しているが回収率は低めだ。4歳は複勝率が38.9%と3歳の次に優秀だった。

過去10年の函館スプリントSの前走クラス別成績(札幌開催だった21年を除く)

■表3 【過去10年の函館スプリントSの前走クラス別成績(札幌開催だった21年を除く)】

続いて表3は前走クラス別成績。前走G1組が4勝を挙げていて、複勝率は30.6%でトップ。また、単勝回収率は236%、複勝回収率は179%と優秀だった。さらにレース別の好走馬数は高松宮記念組が4頭、桜花賞組・ヴィクトリアマイル組・NHKマイルC組がそれぞれ2頭、オークス組が1頭だった。高松宮記念組はシンプルに前走5着以内に入っていた馬が有力という印象。前述のダイアトニックは前走高松宮記念4着入線(繰り上がり3着)だった。一方、マイルのG1組の前走着順はあまり関係がなさそう。16年1着のソルヴェイグは前走桜花賞で17着に敗れていた。

仮にマイルG1で大敗していても、スピード能力が高くてスプリント戦に適性がある馬であれば、十分巻き返してくる可能性がある。例えば、15年に12番人気ながら3着と激走したレンイングランドは、前走NHKマイルCは逃げて(3角・4角を1番手で通過)16着と惨敗していた。しかし、芝1200mで2勝を挙げていたので、距離短縮が功を奏して好走したと言えるだろう。

前走G1組の前走4角位置別成績

■表4 【前走G1組の前走4角位置別成績】

表4は前走G1組の前走4角位置別成績。前走4角で1〜3番手だった馬は勝っていないが、複勝回収率は高い。レンイングランドのような伏兵の激走が見込めるというわけだ。前走の4角位置が1/3頭以内(出走頭数に対して)だった場合、複勝率は46.7%と非常に高い。そして同1/2頭以内だと、単勝回収率が188%、複勝率が151%という結果だった。つまり前走G1組は前走着順よりも前走の4角位置に注目したいところ。中団よりも前目で競馬をしていた馬をマークした方がいい

表3に戻って前走G2組を見ると、単勝回収率が217%と高い。レースの内訳は前走京王杯スプリングC組が多かった。同レース組も先行力を見せていた馬に注目。13年1着パドトロワは前走京王杯スプリングC14着だったが、3角・4角は2番手で通過していた。18年1着セイウンコウセイも前走京王杯スプリングCは12着だったが、3角は2番手、4角は3番手で通過していた。また、この2頭は前年の函館スプリントSにも出走していて、4着という成績だった

同じような成績の馬が他にいないか調べてみたところ、17年3着エポワスや20年2着ダイメイフジがいた(表1の備考を参照)。15年2着アースソニックは前年の函館スプリントS6着だったが、勝ち馬とはわずか0.3秒差だった。

重賞では、前年の同レースで好走していた馬はリピーターとして注目されることが多い。しかし、本競走では3着以内に好走した馬だけでなく、善戦した馬もマークした方がいい。配当的にも魅力のあるケースが多く、人気薄でも決して軽視できない。また、前年に函館2歳Sを勝っていた馬も有力候補。14年にクリスマスが3着、19年はアスターペガサスが2着と好走している。前年の函館スプリントS善戦馬・前年の函館2歳S1着馬がいた場合は、かなり狙い目になることを覚えておきたい。

文:小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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著者プロフィール

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