2021/22シーズンのブンデスリーガの台風の目、1.FC ケルンの激動のシーズンを振り返る(2/2)

1.FCケルン
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1.FC ケルンの2021/22シーズン後半戦をプレイバック

 2021/22シーズンのブンデスリーガで、大躍進を果たし、見事に来季のヨーロッパカンファレンスリーグへの出場権を獲得したFCケルン。派手なシーズンを送ったFCケルンの2021/22シーズンの後半戦を見ていこう。

 前半戦を8位という好成績で終え、ファンやチーム関係者の中でもうっすらと「ヨーロッパ」の文字が見え始めた中で迎えた後半戦の初戦。新年初戦のヘルタ・ベルリン戦は3-1で快勝を収め、なんと順位はヨーロッパリーグ出場圏内の6位に。おそらくここで一度は、もう一歩先のチャンピオンズリーグを意識したファンもいるのではないだろうか。

 しかし、その夢の前に立ち塞がったのは、やはり王者のバイエルンだった。新型コロナウィルスの影響でスタジアムへの入場規制が行われていた中、ホームでバイエルンに挑んだケルンだったが、その力の差は圧倒的だった。前半のうちにレヴァンドフスキのゴールを含む2点のビハインドを背負うと、後半も立て続けに失点し、0-4という大差で敗北してしまう。

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 王者に完敗したケルンだったが、そこでへこたれることはなくリーグ戦を戦った。バイエルン戦の次の試合のVfLボーフムに2-2で引き分けると、次節で同じく上位争いをしていた今季好調のSCフライブルグにホームで1-0で勝利し、再びリーグ戦順位を6位まで押し上げた。ここまでくるとケルンの力は本物であり、彼らがヨーロッパ大会への出場権争いを演じているのは一時の勢いやまぐれではないことを証明していた。

 そしてケルンは、さらに上のステップであるトップ4にの位置まで手をかけようとしていた。相手は前年度のチャンピオンズリーグでベスト4まで勝ち進んだRBライプツィヒであり、この試合で勝てば順位が入れ替わる重要な一戦だった。

 しかしながら、トップ4の壁は想像以上に大きかったと言わざるをえない。この試合で、今シーズン大ブレイクを果たしたクリストファー・エンクンクの先制点を含む3点をライプツィヒに奪われ、ケルンは試合終了直前に1点を返すのが精一杯だった。結果は1-3だったが、数字以上に両チームには歴然とした差を感じる試合内容だった。

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破竹の4連勝

 ライプツィヒに敗れたケルンだったが、それは旅の終わりを意味していたわけではない。彼らには明確にヨーロッパリーグ出場の目標があり、その目標に向けてチームは一丸になって進んでいた。それが結果となって現れたのが、シーズン終盤の圧巻の4連勝を達成した時だろう。

 ケルンは浮き沈みを繰り返しながら、リーグ戦順位の7位と8位を行き来していた。第29節でコロナの入場規制が全面的に解除され、ラインエネルギーシュタディオンに満員のファンの入場が許されたマインツ戦で、ケルンは今シーズン最もドラマティックな試合と言っても差し支えのない試合を展開する。

 試合はマインツに前半の早い時間に先制されると、後半にも1点を追加され、2点ビハインドを背負う苦しい展開となった。それでも詰め寄せた満員のファンの声援を受けて諦めなかったケルンは、ここから怒涛の反撃を見せる。60分にエリス・スキリのヘディングゴールで1点を返すと、78分にデヤン・リュビチッチがゴール左隅に弾丸シュートを蹴り込み同点に追いつく。勢いの止まらないケルンは、その3分後にコーナーキックからルカ・キリアンが押し込んで2点差をひっくり返す劇的な逆転勝利を収めたのだ。

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 この逆転勝利で勢いに乗ったケルンの行手を阻むチームは、その時のブンデスリーガにはいなかったのではないだろうか。この次の試合はアウェイのボルシア・ メンヒェングラートバッハとのダービーマッチだったが、ここでもケルンの爆発は止まらなかった。

 この試合は開始早々の5分にエースのアントニー・モデストが先制点を決めると、前半だけで3点をケルンが奪い勝負あり。今シーズンはラインダービーでシーズンダブル、さらにレヴァークーゼンを含むライン地域のチームには負けないという快挙も達成した。

 勢いそのままに続く試合のアルミニア・ビーレフェルトに3-1、さらにアウグスブルクにも4-1で勝利し、飛ぶ鳥も落とす勢いだったケルンのこの時の順位は6位。来季のヨーロッパリーグへの出場が射程圏内になったところで、ブンデスリーガ残り2試合を迎えた。

シーズン終盤は2連敗...それでも掴んだヨーロッパへの切符

 残念ながら4連勝の勢いはシーズン終了までは持たなかった。若干の息切れの様子を見せたケルンは、33節のVfLヴォルフスブルクに敗れ連勝がストップすると、最終節のVfBシュトゥットガルトには試合終了間際に、奇跡の残留を決める劇的な勝ち越しゴールを入れられてしまい、決して華やかな終わり方ではなかった。

 それでもVfLヴォルフスブルク戦で敗れはしたものの、他チームの結果によってケルンが今期ブンデスリーガを7位以上で終了することが決まった瞬間、ファンたちは喜びを爆発させ、ピッチになだれ込んだ。

 本来ピッチへの侵入はルール違反ではあるが、この時ばかりは、コロナでスタジアムへの観戦を我慢し続けてきたファンや奇跡のヨーロッパトーナメントへの出場権を手に入れたチームに対して、色々な感情が混ざり合った結果であろうから多少は大目に見ないといけないかもしれない。

 今シーズンは怒涛の1年を過ごしたFCケルン。来シーズンはカンファレンスリーグも日程に加わりさらに楽しみが増えたが、来季もリーグ、そしてヨーロッパでも波乱を巻き起こす存在となれるか要注目だ。
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著者プロフィール

1.FCケルンは1948年に設立された、ドイツ西部の大都市ケルンに本拠地を置くサッカークラブで、ブンデスリーガに所属しています。1963年に発足したドイツ・ブンデスリーガの初代王者であり、日本人海外移籍の先駆者である奥寺康彦が所属していた頃には2度目のリーグ優勝を成し遂げました。また近年では、槙野智章や鄭大世、大迫勇也も所属していました。

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